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映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』トップモデルから写真家へ転身、情熱的な生きざまを描く感動作。他3本
2025.05.09
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CINEMA
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折田千鶴子さん
映画ライター
『メダリスト』に高2息子2人も号泣。『チ。―地球の運動について―』も彼らと夢中で鑑賞しました!
『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』

トップモデルから写真家へ転身
情熱的な生きざまを描く感動作
リー・ミラーという名を知らずとも、昨年話題になった『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の主人公のモデルと聞けばイメージがわくだろうか。本作は、そんなアイコン的存在のリーが、いかに20世紀を代表する報道写真家になりゆくかを、観る者の感情を揺さぶりながら激動の時代とともに目撃させてくれる。恋に友情に人生に情熱を傾けた彼女に、圧倒され魅了されずにいられない。
1938年、南仏ムージャン。芸術家や詩人の親友たち(マリオン・コティヤールほか)と休暇を過ごしていたリー(ケイト・ウィンスレット)は、イギリスからやってきた芸術家兼アートディーラーのローランド(アレクサンダー・スカルスガルド)と知り合い、瞬く間に恋に落ちる。戦争の足音が近づく中、故郷に戻る彼から一緒に来てほしいと懇願されたリーは、友人らと別れてロンドンへ。英国版VOGUEの編集長を訪ね、撮りためた写真を見せたリーは仕事を得ることに成功。戦争で傷ついた街を撮り始める。その最中に知り合ったアメリカのLIFE誌報道記者のデイヴィッド(アンディ・サムバーグ)と協力、チームを組むように。しかし前線や軍基地内部に女性が入ることは許可されず、何度も阻まれては怒り狂う。遂に奥の手を思いついたリーは、引き留めるローランドを振り切って、ナチスの残虐行為が吹き荒れるヨーロッパ大陸へ向かう。
元はVOGUE誌などでトップモデルをしていた恋多き彼女が、なにゆえ他とはひと味違う写真を撮り得たのか。当時、活躍していた多くの男性写真家や報道記者がスルーしそうな被写体に向ける視線、そのユニークな目のつけどころが、カメラを構える彼女とともに映し出され、興味深くワクワクさせる。「写真を撮られる側でなく、撮る側でありたい」と転身した、その深い含意がいろんなシーンに滲み出る。そう、これは偏見や差別に抵抗し“自由に生きるための闘いの記録”でもあるのだ。主演のウィンスレットを中心に、何年も温め続けてきたからこそ“硬軟”を併せ持つ多面的かつ親密さを覚える人物像に成り得たリーが実に魅力的だ。驚くほど無鉄砲で勇敢かと思えば、傷つき震えて涙する。ウィットに富み辛辣でもあり、常に人に寄り添う人間味あふれる彼女だからこそ撮り得た数々の写真。特に有名な一枚——ヒトラーが自死した当日に彼のアパートの浴室で自分が被写体となった写真が、どんな状況でどんなふうに撮られたのか目撃できる瞬間は思わず興奮してしまう。冒頭、上裸で友人らとくつろぐ場にローランドが現れたときのリーの変化、詳細には描かれないデイヴィッドとの関係など、さりげない演技やその描写も心をくすぐる。老齢のリーが取材を受ける回想形式の構成も秀逸で、終盤思わぬ感動&感涙をもたらす。ウィンスレットが『エターナル・サンシャイン』(2004年)の現場で知り合い、当時は撮影監督だったエレン・クラスを抜擢、本作で彼女が監督デビューしたのも、なんとも素敵な逸話!
5月9日より全国ロードショー
『サブスタンス』

賞レースをにぎわせたデミ・ムーア
美と若さに取り憑かれた姿に悲鳴
50歳を越えた元人気女優のエリザベス(デミ・ムーア)は、容姿の衰えと仕事の減少を気に病み、未知の再生医療薬〈サブスタンス〉に手を出す。接種するや背中が割けて脱皮がはじまり、若い自分(マーガレット・クアリー)が現れる。エリザベスの経験を持つ彼女は、瞬く間にスターダムを駆け上がるが、人生の春を謳歌する彼女は〝一週間ごとに入れ替わる〞ルールを破り始める。いわゆる〝自分同士の闘い〞が怖いのなんの。若かりし自分にしがみつきたい願望はきっと誰もが理解できるだけに、他人事と思えずわが身を振り返る機会にも。終盤の予期せぬホラー展開に悲鳴を上げて楽しむべし!
5月16日より全国公開
『金子差入店』

ハラハラ動悸がはやる、丸山隆平主演のヒューマン・サスペンス
金子真司(丸山隆平)は、刑務所などの収監者へ代行で差入をする「差入屋」を営んでいる。ある日、息子の幼馴染みでよく知る女の子が殺害される事件が発生。一家は衝撃を受けるが、その犯人の母親から差入を依頼されてしまう。激しく葛藤しながらも、金子は頼まれた品を持って犯人と相対するが――。初めて知る差入屋という仕事、差入の厳しいルールなどに驚きつつ、金子の葛藤や苦悩をともに体験することに。また、金子が出会う拘置所に通う女子高生など、苛酷な境遇に置かれた人の思いにもどうしようもない焦燥を覚える。共演に真木よう子ほか。
5月16日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
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配信 ANIMATION
『メダリスト』

すでに第2期制作が決定した魅惑の感動作
’25年1月に放映開始後、瞬く間に人気を博したフィギュアスケート・アニメ。アイスダンスの全日本選手権の出場経験はあるものの、アイスショーの仕事が決まらない司は、遅いスタートながらスケート愛に燃える小学5年生・いのりのコーチを引き受ける。いのりの性格に合わせた指導のお陰で才能はぐんぐん開花。2人はタッグを組み、栄光の〝メダリスト〞を目指す。単純かつ感激屋という似た者同士の愛すべきキャラが最高! まっすぐにお互いを信頼し合う2人が愛しくて、毎回笑い、そしてウルウル感動!
ディズニープラス、Netflix、Amazonプライムビデオほかで配信中
※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。
Staff Credit
イラストレーション/SAITOE
こちらは2025年LEE6月号(5/7発売)『カルチャーナビ」』に掲載の記事です。
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