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【医療費の自己負担アップ!】2025年8月から高額療養費制度の限度額が引き上げに

  • 松崎のり子

2025.02.25

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約370~770万円の人で自己負担の限度額が10%アップ

松崎のり子連載【医療費の自己負担アップ!】画像①

入院や手術などで医療費が高額になったとしても、一定の金額までしか負担しなくていいという制度が「高額療養費制度」です。その人の収入に応じて限度額が決まっており、収入が増えれば自己負担の限度額も高くなります。

いざという時にとてもありがたい制度なのですが、社会の変化に対応するための見直しが始まりました。

まず、2025年8月に行われるのが、自己負担の限度額の引き上げです。

引き上げ幅は、年収が約370万円以下の人で現在より+5%、約370~770万円の人で+10%、約770~1160万円の人で+12.5%ほど。これまで月に5万7600円までの負担だった約370万円年収の人は6万600円に、約8万100円ですんでいた約370~770万円の人は8万8200円へアップします。

ただし、これだけではありません。

来年2026年8月からは5区分となっている年収別の区分けを、なんと13区分まで細分化。

例えば、多くの人が当てはまると思われる約370~770万円(月収で28万円~50万円)のゾーンは3段階に刻まれます。

例えば、年収370~510万円の人は8万8200円のままですが、年収510~650万円の人ではなんと10万円越えの負担額に。

かなり負担がアップする印象ですね。

2027年からはさらなる引き上げも

松崎のり子連載【医療費の自己負担アップ!】画像②

これでおしまいではありません。

その1年後の2027年8月には、もう一段階の引き上げが予定されています。

2026年に10万円越えの負担額となった年収510~650万円の人は、なんと11万3400円までアップ。今の負担額である8万100円と比較すると、2年でなんと3万3300円もの上昇に!

年収約650~770万円の人だと、実に5万8500円もの負担増になってしまいます。(数字は月額。70歳未満の場合)。

なぜこうした見直しが起きているかと言えば、一つは高齢化の問題、そして医療の高度化等により高額療養費の総額が年々増加していることが背景にあります。

厚生労働省の資料によれば、前回実質的な見直しを行った約10年前に比べて、賃上げ等による世帯収入は増加している一方で、保険料負担の軽減を求める声も多く上がっているとのこと。そのため、負担できる能力に応じた見直しをするべきではないかというのです。

つまり、収入が多い人にはより多く自己負担してもらい、低所得者には押さえるという考え方ですね。

制度を維持するには必要な見直しかもしれませんが、一方で家計の負担が重くなることが危惧されます。

特に、年齢とともに年収は上がりますが、一方で入院率も上がるもの。その時の自己負担額を想定してお金を確保することが、これまで以上に求められそうです。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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