LIFE

床座文化ならではの手頃なサイズ感

「韓国骨董の小家具」素朴ながら鮮やかな意匠が魅力【石井佳苗さんのインテリア名品】

  • 石井佳苗

2025.01.04

この記事をクリップする

連載

KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items

スタイリスト

石井佳苗の「インテリア名品」

テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、最近とみに通い詰めるようになったという韓国のアイテムです。

石井佳苗さん

石井佳苗さん

Kanae Ishii

スタイリスト

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。

file

21.

[小家具]Small furniture

韓国骨董の小家具

Made in:Korea
Item:Korean small antique furniture
韓国骨董の小家具

床座文化ならではの手頃なサイズ感と、素朴ながら鮮やかな意匠が魅力

初渡韓は、実は昨年。韓国の工芸や骨董にはずっと興味があったけれど、これまで不思議と、訪れるきっかけがなかったのです。一度出かけると弾みがつき、すでに渡韓歴は5回ほど。今や、現地の骨董街を自在に歩き回っています。

さて、通常ヴィンテージ家具を手に入れるとなると、なかなかの勇気が必要。ところが韓国に関しては、そのハードルがぐっと下がります。それは、小ぶりな骨董家具がたくさんあるから。韓国は日本と同じく床座の文化を持つため、おのずと床に座った状態で使う背の低い家具が多く見つかります。シンプルに徹した日本の古い家具と比べると、カッティングによる意匠の見せ方が秀逸で、どこか丸みを帯びた素朴さ、大らかさも魅力。洋のテイストのインテリアと組み合わせると、ほどよい加減に東洋の香りが漂い、手軽にこなれたミックス感が楽しめるのです。

中でも取り入れやすいのは「ソバン(小盤)」。脚付きの小さなテーブルで、日本でいう箱膳のような使い方をされていたもの。基本は丸形ですが、私は四角も好み。現在わが家にあるソバンは、おそらく食事用ではなく、薬と水を置くような、高貴な階級の人が使っていた品のようです。

ひとつあると何かと重宝で、壁づけにすれば“床の間”のような、特別感ある空間を作り出せますし、飾り台的な役割も得意。日本国内のヴィンテージショップでの取り扱いも増えているので、見つけたらぜひ手にとってみてください。

昨年、韓国の骨董街で購入。本来は書道の道具を入れるものだとか。
(W27×H13×D16㎝)

昨年、韓国の骨董街で購入。本来は書道の道具を入れるものだとか。「こういった卓上家具は、飾り金具や螺鈿など豪華な装飾が施されたものも多いのですが、シンプルなものを探して手に入れています。私は御朱印帳などを収納」(石井佳苗さん)

今年、現地で購入した小机。
(W48×H22×D28㎝)

今年、現地で購入した小机。「玄関先にお気に入りのガラスランプとともに置けば、おもてなしの印象に。日本の文机よりも小ぶりで、わが家の壁の幅にぴったりでした」(石井佳苗さん)

Item:

Soban

Korea

部屋の一角に、趣きある小家具をひとつ。周囲の空気がゆるやかに変わります

ひとり用の食事テーブルとして、昔の韓国では日常的に使われていたソバン
(W40×H27×D27.5㎝)

ひとり用の食事テーブルとして、昔の韓国では日常的に使われていたソバン。日本の箱膳よりやや高さがあるのは、韓国特有の、器を持たずに食事をする文化が影響している。こちらは石井さんが日本国内のアンティークショップで5年ほど前に購入。「現地でも、年代が古くて質のいいものは手に入れづらくなっているそう。見つけたときが買いどきだと思っています」(石井佳苗さん)

猫

Staff Credit

撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2025年LEE1・2月合併号(12/6発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。

石井佳苗 Kanae Ishii

インテリアスタイリスト

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも行っている。

この記事へのコメント( 0 )

※ コメントにはメンバー登録が必要です。

LEE公式SNSをフォローする

閉じる

閉じる