Dear my Love…
竹下玲奈さんの
娘に受け継ぐものがたり
vol.7
無水鍋
娘がこのお鍋を手に自立する日が来ること。私の小さな夢です
モデルの仕事を本格的に始めた10代後半で、私はひとり暮らしを始めました。自立って、大変なこともたくさんあるけれど、自立することでしか味わえない喜びもそれ以上にある。娘に自立してほしいと願うのは、その経験をしてもらいたいから。と思いつつ……ずっと家にいたいと言うならば、それはそれでありかなって、心のどこかで思っている私もいるのです
竹下玲奈さん
多分、どのお宅にも、“とにかくよく使うお鍋”というものがあるかと思うのですが、わが家の場合、それはHALムスイの『KING無水鍋』。70年以上前に広島で生まれたアルミニウムの鋳物鍋で、大、中、小、すべてのサイズがキッチンに揃っています。
最初に手に入れたのは、一番大きい24㎝でした。最大時には6人の大家族で育った感覚が残っているからでしょうか。迷いなく、大きいサイズを購入。肉じゃがや白菜のミルフィーユ鍋などの無水調理だけでなく、ごはんを炊いたり、カレーやおでんを作ったり、パスタをゆでたりと、私が日常に作る料理なら、なんでも作れてしまう。フタはフライパンとしても使えて、ブロッコリーをゆでるのにも便利。ということで、次に一番小さい18㎝、最後には真ん中の20㎝も購入し、あっという間に全サイズが揃ったのです。
今年で12歳になる娘は、物心ついたときから、私がこのお鍋を使って日々料理をする姿を見て育ちました。娘の心の中に、いくつかの母の姿が残るとしたら、“キッチンと無水鍋と私”は、そのひとつかもしれません。
思えば、娘はまだ幼いときから、よく料理のお手伝いをしてくれていました。お手伝いといっても、お鍋を混ぜる程度ですが(笑)。大きいお鍋は、小さな子どもが不器用にかき混ぜるのにも適していて、サイズ違いのお揃いのお鍋は、火加減を教える教材としてもぴったりでした。その成果もあってか、今では私が見守る中、ひとりでミネストローネが作れるように。無水鍋、“様様”ですね。
いつかこの無水鍋を、娘自ら欲しいと言ってくれる日が訪れることが、私の小さな夢なんです。なぜならそれは、娘の自立の証だから。このお鍋を手に私のもとから巣立って、何かひとつでも、愛する人のために心を込めた料理を作ることができたなら。それが、母の切なる願いなのです。その日が来るまで、この無水鍋たちと一緒に、娘の成長をしっかりと、見守っていきたいと思っています。
竹下玲奈
Rena Takeshita
モデル
1981年、鹿児島県生まれ。14歳でデビュー以来、トップモデルとして活躍。群を抜いたセンスに業界内のファンも多く、“モデルが憧れるモデルNo.1”との呼び声が高い。『LEE』では、モデルとしてはもちろん、その愛情あふれるライフスタイルが読者の心をつかんでいる。
Staff Credit
スタイリング/竹下玲奈 撮影/長山一樹(S-14) 取材・原文/磯部安伽
こちらは2024年LEE11月号(10/7発売)「竹下玲奈さんの娘に受け継ぐものがたり」に掲載の記事です。
竹下玲奈 Rena Takeshita
1981年、鹿児島県生まれ。14歳でデビュー以来、トップモデルとして活躍。群を抜いたセンスに業界内のファンも多く、“モデルが憧れるモデルNo.1”との呼び声が高い。『LEE』では、モデルとしてはもちろん、その愛情あふれるライフスタイルが読者の心をつかんでいる。
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