時を超えて織り手と会話するようなロマンが感じられます
床を彩る、美しい文様。ラグは、直感でお気に入りを選んで【石井佳苗さんのインテリア名品】
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石井佳苗
2024.11.03
連載
KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は「石井さんといえば!」のひとつである、パイル織りのラグ愛を語ります。
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19.
[ラグ]Rug
Made in: Caucasus, Turkey
Item: Short pile rugs
毛足の短いパイルラグ
床を彩る、美しい文様。ラグは、直感でお気に入りを選んで
自他ともに認めるラグ好きです。たっぷり持っているにもかかわらず、先日も自分が開催したイベントで、ひそかに目を奪われっぱなしの1枚がありました。お客さまに何度もおすすめしたのですが、なぜかご縁がなく……「それなら私が」と最終日に買い取ってしまったほど。
ラグは大まかに、「ベニワレン」や「チュル」に代表される毛足の長いタイプ、平織りで文様が描かれる薄手の「キリム」、そして今回紹介する、毛足の短いパイル織りのラグに分けられます。中でも、1年通して敷くならパイル織りがおすすめ。毛足の長いものは夏には暑いし、キリムよりは秋冬にぬくもり感が欲しいという人にもちょうどいい。また、文様も個性豊かなものが多いので、宝探し感覚でお気に入りを見つける楽しみが。よく見れば途中で糸の色が突然変わっていたりもして、「何か思うところが?」など、時を超えて織り手と会話するようなロマンまで感じられます。
ラグを選ぶときは、直感を信じるのが一番。暮らしの中で、いつも視界に入ることになるので、ヴィンテージとしての価値や希少性よりも、「好き!」という感覚を最優先するのが正解だと私は考えています。
ラグは部屋で占める面積が大きいだけに、一気に雰囲気を変えられるアイテム。1枚買うと、その魅力に取りつかれて2枚、3枚と増えがちです。言い換えれば、その数が増えるだけ空間を彩るインテリアの表情も豊かになる……と、増えていくラグを前に、私は言い訳を続けています。
石井さんが特に惹かれるのは“トライバルラグ”と呼ばれる、遊牧民が自家用に織るタイプ。約10年前、初めて手に入れたのがこちらの’60〜’70年代トルコのもので、東京・青山「グランピエ」で購入。その後も知識豊富で信頼できる同店で、よいラグとの出会いが多いそう(今年9月、ラグを中心にした新路面店「Granpie nómada」もオープン)
デッドストックのパイルラグの毛足をカットし一度脱色して染め直した“オーバーダイ”という手法の1枚は、キャビネットの下に。
Item:
Short pile rugs
Caucasus, etc.
願いを込めて織られたラグは、ラッキーアイテムでもあるのです
自身のイベントで出会ったコーカサス南部のラグは、スターカザックと呼ばれる伝統的な幾何学模様で、縁起のよい八芒星があちらこちらに。「遊牧民が織るラグには、お守り的な意味を込めてラッキーモチーフが織り込まれていることが多いので、いいことを呼び寄せてくれているような気がします」 10/3~11/4(中1日休み予定)に東京・新木場「CASICA」で開催される石井さんのPOP-UPショップでも、ラグを多数取り扱い予定。
Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE11月号(10/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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