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私たち、地方議員になりました

選挙カーには乗らず、コンパクトな選挙活動で

LEE読者も地方議員に!きっかけは子どもの発達障害。「LEEでブログを書いたことが 自分の背中を押してくれました」

2024.08.10 更新日:2024.08.12

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LEE100人隊も!

暮らしの不便を変えたくて!

私たち、地方議員になりました

元LEE100人隊 地方議員 桜井たか子さん

このところLEE編集部まわりで「議員になりました」というお知らせが!

今回は元LEE100人隊で現市議会議員の桜井たかこさん(仮名)に「議員」のなり方や仕事にまつわる疑問を聞きました。「議員」がぐっと身近な存在になるはず!

教えてくれたのは?

桜井たかこさん(仮名)
元LEE100人隊
夫と保育園に通う子どもの3人家族。子どもの発達障害がわかったことをきっかけに市政に疑問を持ち、当時勤めていた民間企業を辞めて市議会議員選挙に立候補。2023年8月の統一地方選挙で当選を果たし、9月より市議会議員としての活動をスタート。

100人隊時代は ブログ、記事が話題に

桜井さんが子どもと自分の発達障害について書いたブログには多数コメントが寄せられました。それをきっかけにLEEでも「発達障害」の特集を組むことに。桜井さんは記事の中でも自身の経験や思いを語ってくれ、大きな反響を呼びました。
※LEE2023年3月号「本音で語る、発達凸凹な子どもとの暮らし」

選挙カーには乗らず活動も時短。 それでも思いは伝わりました

子どもの発達障害で、支援につながれず悩んだのがきっかけ

元LEE100人隊 地方議員 桜井たか子さん

LEE100人隊として活動中にお子さんと自分に発達障害があると診断された桜井さん。そのことが地元で市議会議員に立候補するきっかけになったといいます。

子どもの発達について悩み始めてから公的な支援につながるまで9カ月かかりました。悩みすぎて私の心が折れてしまって、うつになって休職したんです。
休職中に市民活動として、子どもの発達について悩む親子のために何かできないか市に提案もしたのですが、市民の立場になって動いてくれる感触がなかったんですよね。
県の施設にも相談に行ってみて、これは市民活動で変えるのはかなり難しいので、中に入って変えるしかないと思ったんです

選挙に出る決意を最初に話したのは夫。思いがけない妻の行動に驚き、「本当に議員になるしか市政を変える方法はないの?」と当初は難色を示していましたが、桜井さんの思いを聞くうちに納得してくれました。ところが両親からは猛反対されます。

親の立場からすると、わが子がリスクのあることに挑もうとしていたら、反対する気持ちもわかるるんです。
“どうしていいことをしようとしているのに応援してくれないの?”と、私も反発して衝突しましたが、地域の活動にも積極的に参加している親戚のおじが“市政をよくしようと志を持っているんだから応援してやろう”と両親を説得してくれたんです。
そこで風向きが変わって、選挙期間も父と母、母のママ友2人が活動をサポートしてくれました

元LEE100人隊 地方議員 桜井たか子さん

立候補を決意したのが4月で、選挙は8月。無所属での立候補なので選挙のノウハウを教えてくれる人もいません。主にインターネットでリサーチしながら、手探りで活動を進めました。

公職選挙法違反になるといけないので、どういうことがダメなのか調べました。何人か女性議員のホームページを見て、どんな活動をされているか、どんなデザインのパンフレットを作っているかも参考にさせてもらいました

まずはSNSでの発信から開始。さらには、たすきをかけてゴミ拾いをしながら駅前まで行き、パンフレットを配る活動も。

最初は恥ずかしかったですが、少しずつ“こんなことを考えています”と話すようにすると、声をかけてくれる方が増えました。
子育て世代の市民に知っていただけるように、駅前だけでなく許可をいただいて幼稚園や保育園の前でもパンフレットを配布しました

元LEE100人隊 地方議員 桜井たか子さん

大きな後援団体があるわけではなく、活動ができる時間は基本的に子どもを保育園に送ってからお迎えまで。選挙活動自体もかなりコンパクトに。

選挙を手伝ってくれたのは、両親と姉、母のママ友、そして私の友達を合わせて10人くらい。選挙事務所は自宅でしたし、選挙カーは用意しませんでした。
名前だけをアピールしても意味がないと思っていましたし、子どもが生まれたばかりのときに選挙カーの音で子どもが起きてしまったことがあったんです。
街頭演説も子育て世代の多そうな地区は大きな音が迷惑になると思って、あえて避けるようにしていました

選挙でかかった主な支出は、選挙管理委員会に支払う供託金30万円とパンフレットの制作費、活動中のボランティアのお弁当代、そしてネット通販で拡声器を買ったくらい。地道な活動でしたが、桜井さんの思いはしっかり市民に届き、見事当選!



公務で子どもの行事に行けず悲しい思いをしたことも

いざ議員になってみると、女性議員はわずか4人で、未就学児を持つ子育て真っただ中の女性は桜井さんひとりだけ。

土地柄として、女性は外で活躍するのでなく家にいるものという考えが根強いのかもしれません。議員になるまでは仕事を休んですべて参加していた子どもの行事ですが、公務が重なったときに、“休みます”とは言えず、観られなかったのは本当に悲しかったです。
でも、夫が仕事を調整して行ってくれ、それでよかったと気持ちを整理できました。これまでも夫も子どもの行事を観たい気持ちがあったはず。ずっと私が譲ってもらっていたので、今度は夫に行ってもらう番だと思えたんです

公務を優先する理由は、将来的にもっと子育て中の議員が増えてほしいという思いも。

今は私しか子育て世代がいないので、“やっぱり子育て世代だと公務ができないのか”と思われたくない気持ちも。私が結果を残すことで市政を動かす方たちにも、市民にも“子育て世代議員の力が必要だ”と思ってもらいたいです。
私の意見だけが市民の意見ではないですし、子育て世代の声が多く集まれば、市政でも子育て政策が強化されるはずです。
そして子育て世代の議員が増えたら“子どもの行事で公務を休みます”が当たり前になると思います

議員を目指す人も、そうではない人も、今の政治に疑問があるなら、地元の市区町村議員について調べてほしいと願う桜井さん。

子育てや仕事で忙しいと思いますが、どんな人が自分が住む市区町村のリーダーや議員なのか関心を持ってほしいです。そうでないと“みんな関心がないから大丈夫でしょ”と、一部の人だけが得をする方向に政治が向かってしまうので。
議員のことについてはホームページやSNSで活動報告を見るとよくわかります。選挙中に配るチラシはいいことが書いてあって当たり前なので普段の活動に注目を。
私も市議会が終わった後はどんなことが話されたかをまとめた議会報告を必ず発行しますし、普段からブログやSNSで自分の考えを発信しています

現在は、子育て支援や障害のある人たちの支援、商店街など、商業支援を軸に活動を続けています。

医療ケアが必要なお子さんを受け入れられる保育園や幼稚園、小学校が市内にない、と実際に医療ケア児を持つ保護者の方から聞いて、昨年9月の市議会で質問をしました。
その結果、市の担当課と教育委員会とでどうしたら受け入れが可能になるかの話し合いが進んでいます。
本当に困っているときって、誰かに助けを求める余裕もないと思うんです。その結果、誰にも気づかれないまま長年放置されている困りごとがたくさんあると議員になって気づきました

LEEでブログを書いたことが 自分の背中を押してくれました

最初はご両親も反対したように政治の世界に飛び込むのはリスクもあるもの。それでもやろうと思えた原動力は?

LEEに支えてもらった部分は大きいです。
うつになって休職して家にこもっていたとき、100人隊のブログを書くことで自分の気持ちが整理できましたし、いろいろな方がコメントをくれたのが社会とのつながりになりました。
特に発達障害のことを打ち明けてからは、同じように障害のあるお子さんを持つ方がたくさんいて、悩んでいるのは自分だけではないとわかり、未来を少しでも変えるために自分が動くべきだと思えたんですよね。
あのときにブログを書いていなかったら議員にはなっていないはず。背中を押してくれたLEEには心から感謝しています

私たちが未来を変えるためにできることは?

⚫︎議員になる人もそうでない人も声を上げることを続ける

⚫︎議員のホームページやSNSでどんな活動をしているか見る

⚫︎自分の考えや活動をしっかり発信している議員を応援する


次回は、「地方議員の ホントのところ教えて!」をご紹介します。

Staff Credit

撮影/名和真紀子 イラストレーション/オリハラケイコ 取材・文/古川はる香
こちらは2024年LEE6月号(5/7発売)「私たち、地方議員になりました」に掲載の記事です。

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