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KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、幼い頃から気になっているもの。最近は、オブジェとしても人気です。
file
15.
[オブジェ]Objects
Item:Stone objects
石のオブジェ
一番身近なアートかも? まずは道端の石からお気に入りをひとつ、探してみて
何しろ、私の名前は「石」井佳苗なものですから、小さな頃から石には自然と興味を惹かれていたのです。通学路で、あるいは旅先の水辺で、気になるものを目にすれば、時には家に持ち帰ることも。大人になってからしばらくはその感覚を忘れていたのですが、ここのところ、“石愛”が再燃しています。
色合い、形、手触り……石にはふたつと同じものはありません。水によって磨かれ、風化し、はるかな年月を経て私の手元にある。そんなふうに考えると、実に大きなロマンを感じます。ちなみに、私の好きな画家、ジョージア・オキーフも石を愛でる一人。彼女の家を撮影した写真集では、窓辺にずらりと並んだ石の姿が確認できます。
心惹かれた天然の石を集めてインテリアにも取り入れてきましたが、数年前からよく手に取るのが、石にひと工夫加えた作品。「HOW TO WRAP_」の≪WRAPPED STONE≫(下写真)は、伝統的な結びの技法による革ひもと石の表情の組み合わせが見事。
一方、竹細工作家の安部仁美さんによる作品(下写真)は、竹の素材感からか、凛とした和の空気が漂います。
わが家に来る友人に「どの石が好き?」なんてたずねると、おもしろいことに答えはさまざま。意外に石というものは、好みがはっきり出るアイテムなのです。あなたの心に響く、世界にたったひとつのオブジェ。ひょっとしたら家のすぐ近くに、コロンと転がっているかもしれません。
右は“やたら編み”にした竹で石を包み込んだオブジェ。「ペーパーウェイトとして置いても、味わいある表情に。重量感のある石と軽やかな竹とのバランスがおもしろいですよね」(石井佳苗さん)。左は金工作家の宇都宮檀さんによるもので、石に真鍮をまとわせた作品。「オブジェとして眺めるほか、お茶会では茶針置きとしても使っています」(石井佳苗さん)
石井さんが少しずつ集めた石の数々。「旅先で拾ったり、人からいただいたり。つるんとした石は、握っているだけで心が落ち着きます」(石井佳苗さん)
Brand:
HOW TO WRAP_
Japan, 2020
石に異素材を組み合わせて、新しい表情をたたえたオブジェたち
石と革、自然素材をシンプルに組み合わせた姿に、不思議な力を感じる。左2つは、伝統的な結びの技法を凝らした〈WRAPPED STONE〉。右は、庭園や神社仏閣などで立ち入りを遠慮してもらう意味で置かれる“関守石”を現代的にアレンジした〈TOMEISHI〉。どちらも年月とともに石と革がなじみ、風合いを増していく。今秋、東京・新木場のCASICAにて開催される石井さんのポップアップショップでも取り扱い予定。ブランドの最新情報はInstagram(howtowrap_)にて。
Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE6月号(5/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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