LIFE

不妊治療のリアル ~夫婦関係、お金、治療のやめどき~

今あるものを大事にしたいと心から思えるように

「不妊治療をやめて今思うこと」LEE100人隊メンバーのなっちんさんインタビュー

2024.08.11

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Interview

そこに至るまでの葛藤、やめてみて今思うこと

不妊治療をやめる決断

「治療をいつまで続けるか」は経験者の多くが悩む問題です。授からずにやめる決断をした100人隊のメンバーが、その胸の内を明かしてくれました。

なっちんさん

お話を伺ったのは

なっちんさん

LEE100人隊TB

ファッションコンサルタントとして活動し、100人隊のTBとして、ファッションやおいしいものにまつわるブログ投稿が好評。休日は夫と車で出かけることが多いそう。

40歳が目前に迫り、治療を続けるかどうか迷いが

31歳から不妊治療を始めたというなっちんさん。治療中は仕事との両立に苦労したと言います。

「妊活を始めてすぐに自然妊娠したのですが、病院に行くと流産が判明して……。そこからまずは家の近くのクリニックでタイミング法をスタート。当時はアパレルの販売員として働いていたので、通いやすいことを第一条件に選びました。約1年間続けて、人工授精も5回しましたが妊娠には至らず。周りの友達の妊娠ラッシュで焦りを感じて、34歳で体外受精ができるクリニックへ転院。仕事帰りに寄れるよう、夜の診療があるところに。ここでの検査で、卵巣年齢が実年齢よりも高いことがわかって。2回の体外受精をしても妊娠できず、先生との相性のことも考えて、今度は地元で有名な不妊治療専門クリニックに転院しました。

大きな病院であらためて調べると、私は子宮にポリープができやすく自然妊娠が難しいことや、免疫不全が原因で着床しにくいことが判明。ここで治療をしようと思ったのですが、昼間の診療しかないので仕事との両立の壁が。体外受精だと急に病院に行くこともあれば、採卵時には休まなければいけない。好きな仕事で続けたかったのですが、休むことでほかの人のシフトを動かしてもらうのも心苦しく、退職を決めました。治療に集中する日々が続き、サプリを飲んだり鍼治療をしたりといろいろと試しましたが、5回の体外受精を行ってもいい結果にはつながらず……。またタイミング法に戻したりもしながら、無理のない範囲で妊活を続けました」

「子どもは人生のすべてではない」カウンセリングでの言葉が、心に残りました

なっちんさん

イラスト カウンセリング

40歳が目前に迫り、今後について考えることも増えたのだそう。

「通っていたクリニックでカウンセリングを受けられることを知って、心理カウンセラーさんと話す機会が。『子どもは人生のオプション。いることがすべてではないから、夫婦2人を主役に考えて』というアドバイスが心に残りました。また、これからどうしようかなと思っているときに応募したのが、LEE100人隊。身近な友達はみんな子どもがいたのですが、100人隊には夫婦2人で楽しく暮らす先輩がいてそれが励みに。100人隊で仲よくなった友達に『子どもがいてもいなくても、なっちんはなっちんだから』と言ってもらって、救われるような気持ちになったことも。いい出会いとみんなからの言葉で、本当に少しずつですが“子どもがいない人生”に目が向いていった気がします」



保険が使えてもしんどい、自然に治療を終えることに

2022年4月、なっちんさんが41歳になるタイミングで、不妊治療の保険適用がスタートすることに。あらためてクリニックとの話し合いが必要になったときに、自分の気持ちが変わっていることに気づいたとか。

「また夫婦で病院に出向いて、どんな治療がしたいかなどを話すのが、素直にしんどいなと思いました。保険が使えれば費用は安くなるし、続けたい気持ちがあれば積極的に病院に行こうとしたと思うのですが、自分の気持ちが不妊治療から離れていることを感じて。夫は、私が注射を打って痛かったら一緒に苦しんでくれたり、仕事を前倒しで終わらせて病院についてきたりといつも寄り添ってくれていたのですが、『落ち込むのを見るのがつらい』とは言っていたんです。夫との生活や、今あるものを大事にしたいと心から思えるようになり、自然に治療をやめることになりました」

約8年間続けた不妊治療を終えて、今思うこととは。

「可能性があるうちは、自分の意志できっぱりと諦めることはできないと思うんですね。私もそうでしたが、自分が納得できるまで治療を続けたほうが、後悔せずに済むと思います。私はこうして不妊治療と全力で向き合う中で、自分が人生で何を大事にしたいのかがクリアに。それまで治療に割いていた時間で大好きな祖母の介護をしたり、週末は夫婦で出かけたり。治療のために好きだった販売員の仕事を辞めたことは残念だったのですが、やっぱり自分にとって好きを仕事にすることが生きがいだとわかり、その後に資格を取得。今はまたファッションにかかわる仕事ができているのも、大きな収穫だったなと思っています」

Staff Credit

撮影/名和真紀子 イラストレーション/pum 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2024年LEE4月号(3/7発売)「不妊治療のリアル ~夫婦関係、お金、治療のやめどき~」に掲載の記事です。

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