新NISAで、より自由に「自分に必要な投資」が可能に
2024【新NISAのメリットと活用法】ファイナンシャルプランナー風呂内さんが解説
2024.03.03 更新日:2024.10.31
30代・40代が気になる!
『新NISA』で長期的に
お金をじっくり育てる
話題の新NISAが1月からいよいよスタート! お金を貯めながら増やす重要性が増している今、あらためて新NISAのメリットと活用法を解説!

教えてくれたのは…
風呂内亜矢さん
ファイナンシャルプランナー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者の資格を持つ。わかりやすい解説が人気。近著『誰でもできるNISAの教科書』(ナツメ社)やYouTube「FUROUCHI vlog」も好評。

『新NISA』って?
投資の際に利用できる非課税制度。最大のメリットは、投資の利益に通常かかる約20%の税金が、この制度を使えばゼロになること。2024年1月から従来のNISAよりも金額や期間が拡充し、より進化して利用しやすくなりました。
投資枠が大きく拡大、非課税期間が無期限に

※2 利用者それぞれの非課税保有限度額については、金融機関から一定のクラウドを利用して提供された情報を国税庁において管理
※3 金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買への勧誘行為に対し、金融庁が監督指針を改正し、法令に基づき監督及びモニタリングを実施
新NISAでは、従来のつみたてNISAが「つみたて投資枠」に、一般NISAが「成長投資枠」に機能が引き継がれ、年間投資枠が大幅にアップ。1年間に投資できる上限金額が「つみたて投資枠」は従来の3倍で120万円、「成長投資枠」は2倍の240万円となり、併用ができるので年間投資上限が360万円まで拡充します。生涯における非課税限度額は1人あたり1800万円までで非課税期間は無期限。より長期的にライフイベントを見据えて、資金準備がしやすい制度になっています。
新NISAで、より自由に自分に必要な投資が可能に
ここ数年の物価高で「同じ金額で買えるものの数や量が減った」と実感した人が多いのではないでしょうか。同じように、預貯金だけでは資産の価値が下がる可能性があるのです。そのため、一部の資産を値動きに連動した形で保持する=投資が重要視されています。
「投資をする際にぜひ活用したいのが、より使いやすい制度になった新NISA。制度そのものの期限がなくなったので、自分の都合に合わせて、いつでも利用できるようになりました。今すぐに使わないお金を長期的に置くことができるので、経済の動きに合わせて少しずつ増える運用益に期待ができます。また、値上がりなどで得た利益に対して税金がかからない=非課税期間も期限がありません。
いつ売却などをしてもいいので、より自分のニーズに合った資産形成が可能になります。また、1人につき、運用できる枠のタイプが2つあるのもメリット。 毎月コツコツと『つみたて投資枠』で積立をし、ボーナス月など余裕があるときにまとめて『成長投資枠』に入金するなど、自由で柔軟な投資ができるようにもなっています。今後、さまざまなライフイベントに対応できるように、まずは少額から始めてみては?」(風呂内亜矢さん)

\「投資・新NISA」のここが知りたい/
お金に愛されている人の多くが投資をしている理由は?
資産の価値を維持するため、現金以外の種類に変えて分散
お金の価値は時代によって変化するため、同じ金額で買えるものやサービスの量が減る可能性が。お金を現金だけに偏らせることなく、株式や債券、不動産や金などさまざまな形に分散させておくことで、資産の価値を守っているのです。
値動きを、こまめにチェックして管理する必要があるの?
つみたて投資枠でコツコツ積み立てる場合、年1回でOK
株式は1日に何度も値動きがありますが、投資信託は1日1回のみ。価格のチェックは年に1回で十分です。資産の置き場所を性格が違うものに変えているという認識で、目先の変動に惑わされずに管理できると、長く投資と付き合えます。
投資に回してもいいお金ってどんなお金?
生活費の半年~1年分を残したうえで、10年以上使わないお金
投資には値動きがあり、お金が増えることがあれば減ることもあります。減っている時期に引き出す必要に迫られると損失に。まずは現金の形で、生活費の半年~1年分を確保。そのうえで10年以上使う予定がないお金で行うようにしましょう。
今までのつみたてNISAやジュニアNISAは、どうなるの?
新規の取引はできないけれど、期間内は非課税運用が可能
旧NISAを利用していた人は、新NISAの口座が自動的に開設されますが、もともと保有していた資産を新NISAの口座に移すことはできません。ただし、つみたてNISAの20年の非課税期間が終了するまで非課税で運用できます。ジュニアNISAも旧NISA内で新規取引はできませんが、18歳になるまでは非課税での運用が継続可能。
新NISAを不安なくスタートさせる3ステップ
NISA口座を開設する金融機関の選び方から、投資にあてるお金の目安、金融商品の購入まで、投資初心者に向けてFP風呂内さんがアドバイス!
Step
1
まずは証券口座を開設。ネット証券が手軽でおすすめ

新NISAで投資を始めたい!という人がはじめに必要なのは、NISA口座の開設。ネット証券は新NISAで購入できる商品の数が多く、少額からでも始められ、手数料が安いのが特徴。取り扱い商品の数が充実していて手数料が手頃、さらにスマホひとつで口座開設から取引まで完結できるので、初心者にはもっとも適していると言えます。店舗がないとはいっても、困ったときやわからないことは、電話やチャットでの相談ができるのも安心でうれしいポイントです。
ほかにはこんな方法も
銀行で開設
つみたて投資のみで専門用語が不安なら商品の取り扱いは、投資信託のみ。本数が少なめで、手数料も高めだが、窓口で相談できるので専門用語が心配で、つみたて投資枠のみを考える人にとって、多少コストがかかっても安心。
店舗型証券会社で開設
対面で相談したい人に店舗で対面でのサービスが受けられる。投資信託や株式など銀行よりも商品の取り扱いが幅広く、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらも活用が可能。ネット証券より、手数料などのコストが高め。
Step
2
投資にあてても、家計が苦しくない金額を決める

投資でお金を運用するのは、預貯金とは違う性格の資産で持つことと心に留めてください。今、不足している生活費を補うためやすぐに増やす目的で投資を始めるのは避けましょう。初めて投資を始める場合、最初の年は資産全体の5~10%を目安に。それでもお金の値動きが心配で価格を頻繁にチェックしてしまう人は、もっと金額を下げるべき。放っておいても心が平常心でいられる金額まで、投資額を下げることが長く投資を続けるコツ。無理なく1年継続できたら翌年は15%、20%と割合を上げてもOK。目安は30%程度まで。
- 投資デビュー年は 現在の資産の5~10%
- または毎月の貯蓄の 5~10%
王道から始めるなら、つみたて投資枠を!
つみたて投資枠で投資できるのは、金融庁の一定の基準を満たした投資信託のみに限定されています。長期・積立・分散投資に適した、比較的長期で運用しやすい商品に絞られているので、最初のステップにおすすめ。ネットの証券会社によっては、月100円など少額から始められるところも。投資枠は拡充されましたが、あくまで自由度が広がっただけ。無理のない金額を毎月コツコツ積み立てて!
Step
3
新NISAデビューには、分散型の投資信託の商品を

投資信託のメリットは、少額で分散投資ができるところです。商品を選ぶ基準は大きく3つ。まず、世界中にエリアが分散している株式投資の「全世界株式型」。次に、ひとつの商品で株式だけでなく債券や不動産など、種類の違う資産に分散投資する「バランス型」。最後に自分で好きなエリアと資産の種類を選ぶ「アセットクラス型」です。はじめはひとつで完結する「全世界株式型」や「バランス型」から始めるのがおすすめ。慣れてきたら自分のこだわりに応じてアセットクラス型を選ぶ方法も。商品は3つ以内に抑え、長期保有していくと管理も簡単です。
\まずはコレを!/
全世界株式型
ひとつで世界中の株に投資ができる!
世界全体の株式の値動きを示す指数に連動した投資信託。全世界とは、先進国、新興国のこと。世界経済の成長の恩恵を受けつつ、世界中に分散投資することができ、手軽に世界中の株に投資をした効果を得られます。
[商品例]
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・たわらノーロード 全世界株式
ほかにはこんな方法も
バランス型
複数の資産への分散投資が叶うから楽ちん国内外の株式や債券、不動産など、複数の異なる資産に分散投資できる投資信託。代表的な商品に、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)、ニッセイインデックスバランスファンド(6資産均等型)があります。
アセットクラス型
こだわりを反映させて楽しむ上級向けアセットクラスとは、似た特性の商品を集めて、グルーピングする考え方。一般的に値動き幅がゆるやかなのは株式よりも債券、エリア別では国内がもっともゆるやかで、先進国、新興国、と続く傾向です。
アセットクラス型の分類
国内 | 先進国 | 新興国 | |
株式 | 国内株価指数の日経225やTOPIXに連動した商品など | 米国の株価指数S&P500に連動した商品など | 新興国株式市場に連動した商品など |
債権 | 日本国債、国内公社債の関連指数に連動した商品など | 先進国国債の動向を表す指数に連動した商品など | 新興国の債券市場の値動きに連動した商品など |
Staff Credit
イラストレーション/onsa 取材・原文/佐久間知子
こちらは2024年LEE3月号(2/7発売)「マネすれば貯まる!お金に愛される人の習慣」に掲載の記事です。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。