駐妻ライター佐々木はる菜の 海外で見つけた「暮らしのヒント」Vol.18
24時間診察可、在宅診療やペーパーレスが進み注射も自宅で!?想像以上に便利だった南米病院事情
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佐々木はる菜
2024.02.09
南米に来てから、病院のお世話になる機会がものすごく増えてしまった私…… 特に前赴任地のブラジルから今住んでいるアルゼンチンに異動する直前は、なんと2ヶ月で15回の通院!
その中で驚いたのが、想像以上に便利だった南米の進んだ病院事情です。
南米への赴任が決まった際、心配だったことの1つが医療でしたが、良い意味で期待を裏切られました。
今回は、病院に通いまくった(笑)おかげで実感した日本との差や面白かったエピソードを中心に、海外に来て学んだ健康に生きる秘訣についてレポートしたいと思います!
24時間営業で無料。気軽に受診できる良さ
ブラジルで住んでいた街には、24時間365日いつでも開いている病院がありました。
夜間や休日の特別診療ではなく、夜中も含め1日中いつでも普通に受診できる体制。特に体調を崩している最中は本当にありがたかった…… 小さなお子さんがいる場合などは、夜中に体調を崩すことが多いため、なおさら安心感があるのではないでしょうか。
また、保険制度や受診スタイルも日本のシステムとは異なります。
公的医療保険に入っていれば、公立病院の診察は無料。
ただその結果いつでも非常に混んでいるため、個人で民間の保険に加入し、その保障を使って自分の好きな私立病院に行く人も多いそうです。
ブラジルで通っていた大きめの病院の場合、まずは医師による問診や検温などをする部屋に必ず通されます(上記写真の奥の小部屋)。そこで担当した先生の判断で各科へ行くと決まっているため、導線がスムーズだと感じました。
白衣にピンヒール&赤いパンツ!病院内もラテンを感じる
日本人の感覚からすると、病院の雰囲気も全体的にラテンなイメージでした。
例えば一般の外来スペースでは、比較的元気な患者さんと看護師さんや、スタッフ同士がかなり高めのテンションで喋ったり大声で笑ったりしていました。
私が食あたりからの高熱で運ばれ点滴を打たれている時、もうろうとしながら「目をつぶっていると周りのがやがや感が居酒屋みたい……」と思い、明るい雰囲気に少し救われた気がしたことをよく覚えています。
またファッションもおしゃれで、 特にブラジルは身に着けている洋服の色使いなども非常に華やかでした。
某人気ドラマみたいですが、白衣の下に柄もののワンピースや赤いパンツ、ピンヒールを履いていたり、髭を生やしていたり…… 日本のお医者さんも素敵ですが、病院で身に着ける衣服や髪型などへの感覚が少し違うと感じました。
白衣自体が凝ったデザインのものを着ている女医さんが多かったことも心に残っています。
どこで買うのかなぁと思っていたら、その後、高級ショッピングセンター内に素敵な白衣専門店を発見。おしゃれなセレクトショップのような雰囲気でした。
上半身ブラ1枚でランニングしながら心電図!細かすぎる健診
大人・子ども共に健診・検診など健康状態のチェックが詳細だったことにも驚きました。
ブラジルで受けた年1回の健康診断で特に印象的だったのが心電図。一般的なプランでも上半身はブラジャー1枚になり、心電図のモニターを20個くらい付けられてランニングマシーンに乗り、15分程度走りながら検査を受けました。
これは子どもの場合も一緒です。
今住んでいるアルゼンチンでは、現地校や習い事に入る時は必ず、「健康である」という医師の診断書が必要です。そのため子どもたちもランニングマシーン&心電図の検査、エコーによる臓器チェックなどを受けました。
そして各病院で行う治療が、日本よりもかなり細分化されていることも特徴。
以前、歯科医療先進国ブラジルの歯医者さん事情ついてレポートした際、「レントゲン専門」「インプラント専門」「矯正専門」など専門分野が細かく分かれているとお伝えしました。
歯科に限らず、例えば病院受診時に必要な血液検査、体の値や臓器の状態チェックなどだけを行う「検査専門の病院」がある点も面白いと感じました。
注射もおうちで?!在宅診療やペーパーレスも便利
在宅診療やペーパーレス化が進んでいる点も便利です。
アルゼンチンでは、医師が自宅まで来て診察してくれたり、 子どもたちに予防接種をしてくれたりするサービスは、コロナ禍の前から一般的に浸透しているそうです。
年齢の小さなお子さんの場合は特に、病院で長時間待つだけでも大変なので、非常に良いシステムだと感心しました。
保険証はスマホで表示され、アプリを開くと名前や保険番号が出てきます。加えて5分ごとに変わる暗証番号があり、受付で入力してもらい受診します。
検査結果などもメールで送付され、再度病院へ行く必要はありません。
余談ですが、痛い・苦しい・我慢が嫌いなのも南米の特徴かもしれません。
私がブラジルで胃カメラ検査を受けた際は、意識がなくなるほどの麻酔をかけられて気づくと終わっていたし、抜歯も希望すれば安定剤を内服できました。日本では珍しいので治療前に飲んでみたところ、うっすら記憶が残っているくらいのふわふわな状態に…… (笑)
いろいろな意見があると思いますが、私は怖い思いをしないで済んで良かったと思っています。
1番心に残ったのは、先生たちとの距離の近さ
これまでご紹介してきたような便利さに加え、私が1番心に残ったのは「先生との距離の近さ」です。
街なかには、個人がオフィスビルや普通のマンションの1室などで開院しているような小さなクリニックが多くあります。そして、先生とおしゃべりをしに行くような感覚で、定期的に通院している人が多いそうです。
私はブラジルで始まった生理不順を相談していたのですが、受診後も日常の中で気になったことをその都度確認できることで、海外生活の不安やストレスが格段に減りました。
ポルトガル語もスペイン語も南米に来て初めて学び始めた初心者なので、時に通訳の方もお願いしながらでしたが、気になる症状だけではなく、生活スタイルや悩みなども含め親身になって話を聞いてくださることに驚きました。
1時間以上話すことも珍しくなく、病院と言うよりリラクゼーションサロンのような雰囲気。絵画やアート作品が飾られているなど、内装にもこだわりを感じるクリニックがたくさんありました。
医師にメッセージアプリなどを使って直接、気軽に相談をしている方が多いことも、日本との違いとして印象に残っています。ひどくなる前に対策できる「予防」としてはもちろん、日々の安心感に繋がる点が素晴らしいと感じました。
信頼し気軽に相談できる「かかりつけ医」を持ちたい!
日本での私にとって「病院」は、ほとんどの場合「子どものために行く場所」。私自身は年1回の健康診断や本当に体調が悪い時でないと足を運びませんでした。
しかし「元気があれば何でもできる!」とはよく言ったもの。日本とがらっと生活環境が変わり、加えて昨年40歳になり、これまでなかった体調不良の連続を経験し、心身ともに健やかであることの大切さが身に沁みた1年でした。
LEE世代の女性は家事・仕事・育児とさまざまな役割を抱え忙しく、まさに家族や職場の「要」!その分、自分の事となると「これくらいならば大丈夫かな……」と先延ばしにせざるを得ない方も多いのではないかと思います。
でも、普段からすぐに安心して健康の相談ができる相手や場所、いわゆる「かかりつけ医」のような存在を見つけ、信頼関係を作っておくこと。それはもしかしたら、忙しい方こそ無理にでも時間を割いて実践した方が良い、大切なことなのかもしれません。
海外生活で文字通り「痛感」した、かかりつけ医の大切さ。「人生100年時代」でまだまだ先は長いはずだからこそ、日本に帰ってからも意識し続けていきたいと思います!
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佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。
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