視力を守るのは毎日の習慣から
子どもの目を悪くさせないために
親ができること5
成長期は近視が進む時期。今日からすぐに始められる「目にいい習慣」を紹介。今と未来の子どもの目を守ろう!
教えてくれたのは…
富田 香さん
日本眼科学会認定専門医
小児眼科専門医。「平和眼科」(東京・池袋)院長。子どもの目の発達や病気に詳しく、弱視や斜視、先天性疾患による視力障害の治療を中心に行う。メディア出演も多数。
外活、大きな画面、距離、休憩…親子で一緒に意識づけを
近視は一度なると完全に“治る”ことはなく、それだけに予防や進行抑制がとても重要。
「屋外での活動が近視抑制に効果があることが世界中の研究で明らかに。実際に近視大国だった台湾では、子どもが1日2時間以上外にいられるように学校のカリキュラムを組み直したところ、近視の子が減少。デジタルデバイス自体が悪いのではなく、使い方が問題。なるべく大きな画面で離れて見る、見続けないで休憩を入れるなど工夫しましょう。大人の目にもいいことなので、親子で一緒に取り組んでみてください」(富田さん)
1
スマホやタブレットからは30㎝離れて見せる
子どもは腕が短い分、手でスマホやタブレットを持つと画面との距離が必然的に短くなり、近視を招く原因に。「見させるときは手で持たせるのはNG。テーブルの上など、画面と目が30㎝離れる位置にスタンドなどを利用してセットしましょう」(富田さん)
iPhoneでも「画面との距離」のアラートの新機能が!
昨年からiPhoneやiPadで、画面と顔の距離が30㎝以下になると警告が出て一時的に使用が中断される機能がiOS 17に追加されました。ファミリー共有グループに参加している13歳未満の子どもに対してはデフォルトで有効に。「設定→スクリーンタイム」から簡単に設定できる。対応するのは「TrueDepthカメラ」搭載モデルで、詳しくはHPで確認を。
富田 香さん
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動画やゲームは、スマホよりは大きなテレビ画面で見せるのがベター
画面が小さいと近づいてしまうので、画面は大きいほど◎。「小さな画面を見続けると眼球運動の発達を妨げ、黒板や教科書の文字が追いづらくなってしまう可能性も。画面からの距離は、視力1.0程度の子は画面縦幅の3倍、2歳児なども含め0.5程度の子は1.5倍を目安に。スマホやゲーム機はテレビにつなぎましょう」(富田さん)
3
「近くを30分見たら、5分目を休ませる」を約束に
目を休ませるには焦点を変えることが大事。「わざわさ遠くを見たりしなくても、席を立って何かをするだけで焦点は変わります。5分でできるお手伝いをいくつか用意しておくのもおすすめです」(富田さん)
4
理想は1日2時間。近視を抑える効果がある「外活」の機会を増やす
屋外の光環境(太陽光の照度や波長)が近視抑制に大きな効果が。「直射日光に当たる必要はなく、日陰や曇りの日でも十分。学校の行き帰りや体育の時間も合算して、1日2時間は外にいる時間を作れるように心がけたいですね。晴れの日は読書やゲームを木陰などでやってみても」(富田さん)
5
目を酷使した後は温めても。ピント調節機能が向上
目を温めると、まつげの内側の「マイボーム腺」から油分の分泌が促され、角膜を守ってくれるほか、ピント調節機能の回復にも効果的。「まぶたの上からホットタオルやお風呂、市販の温熱シートでも。結膜炎やものもらいがある場合は避けて」(富田さん)
読者からの「これはOK? NG?」Q&A
iPadやSwitchを見るときは、ブルーライトカットの眼鏡をつけさせたほうがよいのでしょうか?
LEE100人隊No.099 aimiさん
ブルーライトは視力ではなく睡眠の妨げに
「ブルーライトは視力に直接悪影響を及ぼすわけではなく、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を妨げる作用が。ブルーライトカット眼鏡は小児には推奨されませんし、就寝1時間以内にデジタルデバイスに触れなければ不要です」(富田さん)
右目0.3 左目0.9。左目がそこそこ見えるため、眼鏡をかけたりかけなかったり。
それだと、近視が進んでしまいますか?
元LEE100人隊 ロンゴアミーゴさん
近視進行とは関係なし、でも定期検診を
「眼鏡をかけたりかけなかったりで近視が進むことはありません。弱視の場合は終日装着が必要ですが、そうでなければケースバイケース。左右差がある場合、その差が自然に広がっていく場合があるため。定期的な検査がマストです」(富田さん)
「ルテイン」のサプリメントが目によいと聞きますが、摂取することで本当に効果があるのでしょうか?
LEE100人隊No.093 まいちさん
高齢者の眼病予防にはOK、子どもは「?」
「ルテインに含まれる抗酸化物質は、高齢者に多い加齢性黄斑変性の予防には効果があるといわれますが、子どもの目への効果はわかっていません。ただ、抗酸化作用は確かなので、飲んではいけないということはないでしょう」(富田さん)
これはNG
目を近づけて作業し続けると近視が進むリスク大
\傾いていると視力に左右差が出てしまうことも!/
「特に集中すると姿勢が傾く子が多いのですが、続けていると傾いた側の近視が進んだり、その結果左右で視力に差が出てしまうことも。寝転んで本やタブレットを見るのも同様です。姿勢に気づけるよう、時々声をかけてあげて」(富田さん)
Staff Credit
イラストレーション/miho miyauchi 取材・原文/遊佐信子
こちらは2024年LEE3月号(2/7発売)「子どもの目が危ない!?」に掲載の記事です。
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