海外での評価も高まっている額賀章夫さんの陶器
「プリーツワークの笠間焼」優美な曲線と温かな質感は唯一無二【石井佳苗さんのインテリア名品】
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石井佳苗
2024.02.19
連載
KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、海外での評価も高まっている、額賀章夫さんの陶器です。
file
12.
[陶器]Ceramics
Designer:Akio Nukaga
額賀章夫
Item:Pleated work ceramics
プリーツワークの笠間焼
優美な曲線と温かな質感は唯一無二。アートピースとしての存在感もある陶器です
額賀さんの作品は、ただ置くだけで凛ときわだち、周りの空気までも変える力があります。
プリーツワークと名付けられたこちらのシリーズは、表情豊かに削り出された縞模様が美しい、額賀さんの代表作と言えるもの。すでにいくつも持っているのに、アトリエに遊びに行くたび、「今日、この場で買えるものはある?」なんて、欲張りに新たな出会いを求めてしまう私です。
出会った頃は器を主に作っていらっしゃったので、私も最初に手に入れたのは器だった記憶があります。けれど、最近手に取りたくなるのはもっぱら花器などオブジェにもなるアイテム。しかも、より大きなものに惹かれます。ここ数年の額賀さんの作品は、料理を盛るといった実用的な使い方よりも、空間に置いてただ眺めて愛でるという接し方が、よりふさわしいように感じるのです。
シンプルでいてモダンさを感じる曲線美。その佇まいは、どこかミッドセンチュリー的でもあります。近年アメリカでは、この時期のデザインの人気が再燃していて、額賀さんの作品がマッチするよう。海外のインテリア本を開くと、ふいに額賀さんの作品が目に入り、意外なところでばったり出会えたようで、うれしくなることもしばしばです。
シンプルなデザインゆえにどの空間にもなじみ、それでいて確実にインテリアの空気を変える、その存在。「器は好きだけれど、オブジェは少しハードルが高い」……そんな人にも、ぜひおすすめしたい名品です。
「こちらとは少しデザインは変わりますが、アメリカ・ポートランド発の『エースホテル京都』の宴会場のランプも額賀さんの作品。加えて、客室の湯呑みも彼の作品が採用されています。今の日本を代表する作家の一人であることは間違いないと思います」(石井佳苗さん)
プリーツワークの一輪挿しと、以前手に入れた器を組み合わせて。「額賀さんの器は、それひとつでもしっかり存在感がありながら、草花や食材の美しさを引き立てるおおらかさを漂わせているところが好き」(石井佳苗さん)
Designer:
Akio Nukaga
Japan, 1993-
お気に入りを組み合わせれば自宅の一角が、ギャラリーのように
繊細な縞模様は、表面を削ることで素地の色を浮き立たせる“掻き落とし”の技法で施される。額賀章夫氏は1963年、東京都生まれ。現在は茨城県笠間市に工房を構える。近年は個展活動を主とし、アメリカ・サンフランシスコの「Heath Ceramics」で毎年個展を開催するなど、海外での活動が多い。国内での個展の開催スケジュール等は、インスタグラム(nceramicstudio)にて確認を。
Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2024年LEE3月号(2/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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