サラダチキンを代表とする低温調理はやわらかな食感やヘルシーさで若い世代にも人気の調理方法。とはいえ、一般的なスティック型の低温調理器は深鍋にたくさんの水を張って使わなければならず、案外面倒なんですよね。今回、ご紹介するアイリスオーヤマの「ポケットシェフ」は9月下旬に発売されたばかりですが、水を一切使わないユニークな低温調理器なのです。その実力はいかに? 使い勝手なども含めてのレビューをお届けしたいと思います。
Vol. #
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アイリスオーヤマ 低温調理器「ポケットシェフ」
まるで薄型のサコッシュみたいな“袋型”低温調理器
高温で加熱するフライパンやオーブンレンジでの調理は、旨みや栄養分が含まれる肉汁を流出させてしまいがちですが、低温調理では、肉汁が流出しない温度帯で調理をするので、ジューシーでやわらかな料理を作ることができるのが特徴です。
その多くはスティック状になっていて、大きな鍋に水を入れ、水温を一定に保ちながらじっくり加熱する方法になっています。0.5度刻みで細かく温度設定ができ、ローストビーフやコンフィ、プリンなど幅広く使えますが、水が適温になるまでの予熱が必要なため、1000Wなど消費電力が高いこと、たっぷりの水と大鍋(深鍋)を別途用意しなければならないことなど、使いこなすには案外ハードルが高いのも事実。水もエネルギーもけっこう使う点も気になるところです。
ところが、「ポケットシェフ」は一目見ただけでは調理家電には見えない、まるで薄型のサコッシュみたいな形状の袋型の低温調理器なのです。内側にはフィルムヒーターが張り巡らされていて、チャック付きのビニール袋(密封袋)に入れた食材をこのヒーターで包み込んで、低温でじっくりと加熱する仕組みになっています。
鶏むね肉300gで作るサラダチキンや、200gの牛もも肉で作るローストビーフなど、縦230×横240mm、手のひらより一回り大きいサイズの本体に収まる量しか作れませんが、鍋も水も火(ガス)も使わずに済むのだから本当にお手軽。調理になれていない方や、1人暮らしの人にも向きそうです。
使い方はとても簡単!
さて、実際にポケットシェフでサラダチキンを作ってみることにしましょう。プレーンなものでもいいですが、せっかくなので私が気に入っているイタリアンテイストのサラダチキンをご紹介しますね。
まずは鶏むね肉300g(程度)の皮を取り除き、チャック付きの密封袋に入れて、砂糖小さじ1、塩小さじ1/2を入れてよくもみ込みます。続いて、トマトペーストを大さじ1、マジックソルト(ガーリックタイプ)を適量入れて、空気をしっかり抜いて口を閉じ、さらによくもみ込みます。
これで下ごしらえは終了。ポケットシェフ本体に密封袋の上部を折り畳んで入れ、ファスナーを閉めます。この時、食材が本体の2/3より下側に収まるようにしっかり奥まで入れるのがポイント。
電源プラグをコンセントに差し込み(いつもの通り、ポータブル電源を使いました)、80度、120分に設定してスタートボタンを押すと加熱が始まります。設定温度に達するまでの予熱の間は、操作部の表示が点滅し、調理が始まると残り時間がカウントダウンされていきます。
本体は起こしたりせず、「IRIS OHYAMA」の文字が上になるように置いて加熱すること、120分+予熱時間と、長時間なのでうっかり忘れてしまうことのないようにすることが注意点でしょうか。低温調理された食材は傷みやすいので、調理後にそのまま放置するのは厳禁。その点は気をつけてくださいね。
ちなみに調理中にうっかりお子さんが触ったりしても、ほんのり温かさを感じる程度で火傷の心配はありません。
イタリアンテイストのサラダチキンがやわらかで美味しい!
120分のカウントダウンが終了するとブザーが鳴って、操作部にEndの文字が着表示されます。「スタート/取消」ボタンを押したら、電源プラグをコンセントから抜きましょう。
さあ、中はどうなっているでしょうか。スパイスとトマトの色がほんのりついていますが、鶏肉は白くなって火が通っていることがわかります。粗熱を取るために保冷剤の上に置いて少し冷ましてからスライスしてみました。
中心部まで白くなってきちんと加熱されていますが、食べてみるとパサパサしないでやわらかくジューシーな仕上がりです。今回、トマトペーストを入れましたが、これは天日干しのドライトマトを使っているのでとてもコクがあって美味しいのです。今回のサラダチキンでもいい仕事をしてくれていました。先ほどもお話したように、すぐに食べない場合は、そのまま放置しないで冷蔵庫に入れてくださいね。
時間はかかるものの、下ごしらえの手間はほとんどかからないし、普通の低温調理器のように、空気の抜きが足りなくて食材が浮いてきてしまったりというような心配もないので、かなり使いやすいなと思います。食材の厚みを3cmまでに抑えるようにするのが上手に作るコツかもしれません。
せめて本体だけでも真っ黒ではなくて、オフホワイトだったらもう少し心が弾む気もしますが、これは今後に期待することにしましょう。
お手入れも簡単。ピクルスやチャーシューなども作れます
お手入れは本体が冷めてから、柔らかい布やウェットティッシュなどで表面や内側、操作部を拭けばOK。万が一、中に汁気がこぼれたりした場合も洗濯はできないので、よくふき取るだけにしてくださいね。
今回はサラダチキンを作りましたが、そのほかにも、ローストビーフやピクルス、チャーシューなども作れます。豚肉や鶏肉で作った低温調理のチャーシューは、仕上げにフライパンで焼き目を付けるとさらに美味しくなります。
これまで低温調理に興味はあってもなかなか手が出なかった方にもおすすめです。
製品DATA
- ブランド:アイリスオーヤマ
- 商品名:低温調理器「ポケットシェフ」PLTC-M01-B
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