激務のなかでの子どもたちの朝食、人間関係、若さの秘訣……
NYの朝食の女王・サラベスさんが、80歳になっても輝き続ける理由とは?【インタビュー】
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石川晴美
2023.11.08
新メニューの発売に合わせてサラベスさんが来日
2012年にニューヨークから日本へ進出したベーカリーレストラン『サラベス(Sarabeth’s)』。パンケーキやエッグベネディクト、フレンチトーストなど、長年に渡って食ブームを牽引しているレストランのひとつです。
今回、新メニューのローンチに合わせて、創業者のサラベス・レヴィーンさんが来日! 取材会に参加しました。働くママとしても私たちの大先輩であるサラベスさんの、プライベートトークにも注目!
“朝食の女王”が一日中楽しめる食事の時間を提案
サラベスさんは“ニューヨークの朝食の女王”と称えられ、2012年に日本初出店するやいなや、連日行列店となりました。今回、久しぶりの来日とお聞きしましたがその目的は?
「お酒に合うアペロメニューの提供開始に合わせて日本へ来ました。『サラベス』にはモーニングやランチの印象があると思います。でも、ディナーも大切にしていきたくて、お酒に合うメニューを新しく始めました。
いつもここに来るのはとても楽しいです。日本の『人』が特別で、日本店舗の運営をしているWDIのチームで働く人たちが本当に素晴らしいので、毎回会えるのが楽しみです」
新しいメニューのインスピレーションはどこから?
「昔は料理番組をTVで観ていたけれど、今はインスタグラムでスクロールすると次々と面白いものが出てきますね。シンプルなものをアレンジしたり、ひねりを加えたものも見つかります。他には、何か見たり食べたりしたときに、自分だったらどうアレンジするかを常に考えています。
例えば、ニューヨークのサラベスで出していたバニラアイスもそうです。自家製のオレンジマーマレードジャムとチョコレートチップを混ぜ込み、ひとひねりアレンジを加えて、クラウドクッキー(雲の形で中が空洞になっている)を割って一緒に食べるメニューを提供していました」
サラベスさんから見た世界の朝食事情
世界7か国に出店されていますが、国によって朝食事情、朝食文化は違うのでしょうか。
「例えば、中東の方では豚肉を食べない、お酒を飲まないことはわかっています。日本では生卵を食べるでしょう? でも、アメリカや中東では生卵を食べないのが大きな違いです。中東に出店した当初、(半熟卵が乗った)エッグベネディクトを出したところ、お皿に卵が残ったまま戻ってきました。ですから、中まで火を通したハードボイルのエッグベネディクトを出しています。その地域ごとの文化を大切にしながらやっていくのが大事だと考えています」
日本には、食事を三食しっかり食べる文化が根付いています。朝食をしっかり食べる、家族にも食べさせなくてはと気負ってしまいます。二児の母であるサラベスさんはどうお考えですか?
「どの国でも関係なく、朝食をしっかり食べる人もいれば、仕事などで忙しくて食べずにスキップする人もいます。でも私にとって朝食はとても重要で、毎朝必ず食べます。しっかり食べるかというとそうでもありません。でも、毎週金曜はサーモンベネディクトを食べるのが習慣ですね」
シングルマザーの時期を経て、長年働きながら子育てをしてきたサラベスさん。お子さんが小さい頃の朝食はどうしていましたか?
「家族に伝わる秘伝のフルーツスプレッドを販売したことが評判になったのをきっかけに、ベーカリーショップをオープンしたのは、娘が12歳と15歳のときです。朝早く仕事へ行くようになって、そこから我が家の朝が大きく変わりましたね。
朝食を家で用意できない代わりに、コーンマフィンが好きな下の娘は、登校前にベーカリーにやってきてはそれを朝食にしていました。そんな姿を見て、私や家族は、娘がどのマフィンを選ぶか予想をするのが楽しみに。当時は仕事で忙しくて、家に帰ってから夕食を作るのも難しかったので、家族がお店に来て一緒に食事を囲むようにしました」
何事も楽しんじゃうのが若さの秘訣
今年で80歳のサラベスさんが、年齢を重ねても元気でいられる秘訣は?
「自分の好きなこと(事業やメニューを考えたり)ができていることです」
ニューヨークで長年に渡ってお店を経営されていますが、人間関係で大変なことはありましたか?
「大変なことはありません。うちで働いている人はみんな20年、30年と長くて、料理長は43年間も居る。だから従業員というよりは家族だと思っています。
日本に出店する話が出たときも、初めてフルーツスプレッドを売り始めたときと同じように、夫のビルが『楽しんじゃおうよ!』と迷っている私の背中を押してくれました」
朝食に対するサラベスさんの想い
朝食に対する思いと、日本のみなさんへメッセージをお願いします
「朝食というのは、みんなで顔を合わせて食卓を囲める場で、本当に特別なもので大好きです。当時、知っているホテルで出される朝食は流れ作業で作ったようなもので、私が求めるものではありませんでした。最初はベーカリーとフルーツスプレッドを用意したお店でしたが、ある日思い立って夫のビルに『明日から朝食を売り出すわ!』と言い、12席ほど席を用意してスタートしました。するとすぐに行列店になったのです。42年前は朝食をビジネスにしている人がいなかったので、私が『朝食文化』を作ったと自負しています。
サラベスの朝食を大好きでいてくれてありがとうございます。でもディナーも良いですよ! 10月からアペロメニューをローンチしました。私が大好きなフルーツを使ったカクテルメニューもあります。どの時間帯に来てもおいしいこだわりのメニューをご用意していますので、ぜひいらしてください」
サラベスさんの真摯なお人柄を感じるメニューを味わって
サラベスさんのお話、いかがでしたか? 朝食についての考え方や、お子さんの話も親近感を持ちました。最後に自宅の冷蔵庫に常に入っているものを質問したところ、「自家製ジャム、卵が大好きなので常にありますね。あとは、ハーフアンドハーフ(クリームと牛乳が半々ずつ入った商品)。ルッコラと自家製ドレッシング、バニラアイスクリームも欠かせません」とのこと。サラベスさんの自家製ドレッシング、気になりますね!
世界中のどの国でも同じクオリティのメニューを提供し続けられるのは、サラベスさんの明るい人柄とパワフルさ、どんな状況も楽しむポジティブさに、周りの皆さんが魅了されているからかもしれません。そして物事に真摯に向き合う姿は、提供されるメニューの見た目や味にも表れていると感じました。家族や友人を誘って皆さんも訪れてみてはいかがでしょう。
サラベス 東京店
住所:東京都千代田区丸の内1-8-2 鉃鋼ビルディング南館2・3F
電話番号:03-6206-3551
※一時的に営業時間を変更中。東京店のほか、新宿・品川・名古屋にも店舗あり。
最新情報は公式サイトでご確認ください。
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石川晴美 Harumi Ishikawa
ライター・消費生活アドバイザー
1975年生まれ、湘南在住。自動車業界、消費者センター勤務を経て、ライフスタイル誌ライターに転身。主婦のお悩み解決記事を数々執筆。日々の癒しは、カフェ巡りとアジアドラマとK-POP。
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