現在配信中の実写ドラマも話題!
漫画『アオハライド』が30代・40代もキュン♡とさせる理由とは?作者の咲坂伊緒さんにインタビュー
2023.10.09
映像化が楽しみなものも続々と!
秋の夜長は
心ゆさぶる「漫画」に癒されたい
この秋は、30代・40代が心惹かれてやまない漫画作品が次々とドラマや映画に! 映像化された話題作の原作者の咲坂伊緒さんに創作への思いをインタビュー。疲れた夜や休日に、どっぷり浸れる漫画を紹介します!
『アオハライド』咲坂伊緒さんに直撃
30代・40代もキュン♡とさせる理由とは?
映画やアニメ化もされた『アオハライド』がドラマに! 執筆への思いを聞きました。
『アオハライド』
高校生になった双葉の前に現れた男の子・馬渕洸。彼は中学時代の同級生「田中くん」だった。苗字だけではなく、あの頃とは性格も変わった洸に、双葉の気持ちは揺れ動いて――。累計発行部数1300万部の超胸キュンラブストーリー。
登場人物たちの気持ちの流れや行動を決めすぎないほうが、ときめきが色濃く出る気がします
咲坂伊緒さん
『アオハライド』は、咲坂さんの、10代の思い出から生まれた!
現在、WOWOWで配信中のドラマも大好評の『アオハライド』。2011年から2015年まで『別冊マーガレット』で連載されていた作品で、完結から10年近くたった今も、多くの人たちの心をキュンキュンさせています。
「今回のドラマ版は、主演・双葉役の出口夏希さんの何気ないセリフの言い方にかわいい!となったり、監督さんの光の使い方の美しさに感動したり……と、私自身も視聴者として楽しく観ています」
作品が生まれたきっかけは?
「私の体験が原点です。小学校の同級生に高校で再会したら、とても大人っぽくなっていて。『彼女に何が起こったんだろう?』と感じた気持ちを、ヒロインの相手役・洸(こう)という男子に託してキャラを膨らませました。双葉は“かわいいのにガサツな子”ですが、これも、実際に高校の同級生にいたんです。彼女は美人だけどいつもギャグっぽいことをしていました。あるときに『もしかして周りから浮かないように、あえて三枚目を演じている?』と感じた瞬間があったんですよね。こうした思春期の子たちの心の揺れや葛藤を、作品にはたくさん詰め込みました」
男子が苦手だった、中学時代の双葉。そんな彼女が洸(こう)を意識する姿は、大人になってから読み返すと、純度の高さにドキドキしてくる!
双葉と洸は近づいては離れ……と、このもどかしさも『アオハライド』を読む醍醐味。執筆中はこんなことを意識したとか。
「『アオハライド』に限らないのですが、登場人物たちの気持ちの流れや行動を、作者の私が理論ずくで動かさないようにしていました。プロットも決めすぎないほうが、ドキドキ感やときめく気持ちが、より色濃く出るような気がして。もちろん漫画的には二人の思いがすれ違うほど、通じ合ったときは盛り上がる、というセオリーはあるんですけれどもね。
それに私は物語といえども、ヒロインのことを過保護にしたくないタイプなんです。現実の恋愛みたいに、ある程度は苦しい思いもしてほしいので、双葉にも厳しめの試練を与えがちでした(笑)。そのうえで、彼女を取り巻く登場人物がどうしたいのか、みんなの心の声も探りながら物語を進めました。おもしろいことにどのキャラクターも、自分の思いどおりに動かないことが、何度もあったんですよ! そのたびに頭の中で一人ずつと対峙していくと『双葉が何か言いたそう』『洸のセリフの裏にはこんな思いがあるのでは?』となり……。想定外の物語が広がっていきました」
再会した洸は、双葉の心をかき乱すような言動を取る男子に! そのキャラ変っぷりと、少女漫画だからこそ体験できる俺様なセリフ。いつ読んでも、やっぱり胸がキュンとする♡
こうして咲坂さん自身が、登場人物の感情を丁寧にすくい取っていったところ、『アオハライド』の執筆中には、今でも忘れられない思い出があるそう。
「洸は過去の経験から、感情を抑圧しがちな男の子でした。コミックスだと4巻になりますが、彼が、自分自身の押し殺していた本心に気づく展開があって。その回の洸の気持ちの動きや、家族との何気ないシーンを描いている間は、私自身も、感情移入してしまい、一緒に泣いてしまいました。『アオハライド』は私が描いてきた作品の中では、キャラクター設定も、物語展開も、そこまで悩まずに描き上げられたものなのですが、この回を描いていたときの、心の奥からこみ上がるような、なんとも言えない感情は、お話が完結してから長い時間がたった今でも、鮮やかに覚えていますね」
過去の体験が原因で孤独を感じていた洸を、双葉は受け止める。咲坂さん自身も、この回の執筆は思い入れが深いとか。
連続ドラマW-30『アオハライド Season1』
双葉役は出口夏希さん、洸役には櫻井海音さん。ブレイクが期待されている俳優さんたちの演技にも注目! 毎週金曜 午後11時から放送中。WOWOWオンデマンドでは全8話を配信中。TVerでは最新話を見逃し配信中。
現在配信中の実写ドラマも話題!
高2になった二人は、同じクラスで学級委員をすることに。何かと優秀な洸と要領のよくない自分を比べて、へこむ双葉。洸が双葉のことを励まし、思わず接近する名シーンが、ドラマでも再現! 原作と映像を見比べて、さらに心ときめかせるのも楽しそう。
『サクラ、サク。』
咲は「桜亮介」という人から助けてもらったことで、自分の居場所を見つける。高校生になった咲は、同級生・陽希の兄が「桜亮介」と知り、陽希を通じて彼にお礼の手紙を渡したいと望むが――。咲と陽希、両方の気持ちに没頭できる!
『別マ』にて連載中の『サクラ、サク。』も話題沸騰中!
最初は陽希の兄・亮介に憧れていた咲。だが身近にいて、うれしい気持ちや何気ない行事を共有できる陽希に惹かれていく。恋するときの心の動きが丁寧に描かれていて、自分自身の学生時代の思い出や、淡い恋心も蘇る。
大人になるとスルーするような、たわいもないことも気にする10代の感情に寄り添っています
咲坂伊緒さん
「思春期のピュアな感情」は、作品執筆の根底にあるもの
そして連載中の『サクラ、サク。』も、高校生たちの思いが交錯し、現在、クライマックスに!
「この作品は“普通の10代たちの恋”がテーマ。ヒロインの咲は目立つ子ではないし、相手役の陽希も学校一のイケメンでもないんです。そんな二人の思いがどんどんあふれ、当初のプロット以上の展開に発展していきそうです」
私たち30代・40代の心を、ずっとドキドキさせる咲坂さんの作品。その根っこにあるものは?
「高校生たちの恋愛を、愛おしく思い続けている気持ちかもしれません。LEE読者の皆さんも経験があると思うのですが、高校時代って、好きな人がいるとそれだけで幸せだし、家に帰っても『彼も今頃ごはん食べてるかな~』なんて、ずーっと考えていましたよね。それでいて小さなことで大ショックを受けちゃったり。
大人になるほど“たわいもなかったな”とスルーしてしまうような気持ちこそが、実は大切なことなのではと思っています。それに思春期の不器用な恋ほど、作品の中で『頑張れ!』って、応援しながら描きたくなっちゃうんですよね。その中で読み手の方にとってリアルすぎず、ファンタジーにもなりすぎないバランスを考えています。この先、大人の恋愛作品を描く機会もあるかもしれませんが、今のところは高校生たちのピュアな思いに、寄り添っていたいです」
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Staff Credit
撮影/佐藤健太(書影) 取材・原文/石井絵里
こちらは2023年LEE11月号(10/6発売)「秋の夜長は心ゆさぶる「漫画」に癒されたい」に掲載の記事です。
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