今、「短歌」が注目を集めています。
LEE編集部まわりでも始めている方が続出! 今回は、浜島直子さんにその魅力を語っていただきました。
PROFILE
モデル・タレント
浜島直子さん
1976年、北海道生まれ。『LEE』をはじめ、雑誌、広告、ラジオ等で活躍中。文筆業でも才能を発揮。2冊目のエッセイ『けだま』(大和書房)も好評発売中!
●Instagram:hamaji_0912
●公式サイト:http://hamaji.jp
浜島さんの短歌
追いかけてくる
君の声
へその奥に
ぐっとしまう
「歩いていると、よく息子に『待って~!』と。子どもは、いつかは親を追い越すので、後からついてくる今の小さな存在の愛おしさを、自分の中にしまっておきたい、ずっと覚えていたい。その気持ちを、かつてつながっていた、へその緒にかけました」(浜島直子さん)
よけた人参
数きそう
並んだおでこの
つむじが笑う
「私はおでこにつむじがあるんですが、息子も同じ場所につむじが。そして野菜の中では人参が苦手なのも一緒。
ごはんを食べているときにお皿の隅によけてしまい、それを夫が食べるのを見て、お互いニヤッとすることも。私と息子の“おそろい”を、表現しました」(浜島直子さん)
短歌は"自分遊び"。さらっと気負わずに作っています。
感情を短い言葉にすることで、日々を俯瞰する力がついた!
「気がついたら、短歌に親しむ時間が増えています」と教えてくれた、はまじ。最近、寝る前のひとときに、歌人・東直子さんの短歌日記『十階』を読むのが楽しみのひとつなのだとか。
「今年の春頃、私のラジオ番組にゲストでいらしてくれた、コトゴトブックスというオンライン書店の店主・木村綾子さん。そのときおすすめしてくださったのが、この歌集でした。
『はまじさんはエッセイも書くので、より短い言葉で瞬間をすくい取った、短歌も楽しめると思いますよ』と。そのアドバイスどおり、日常の何気ない風景の歌に、日記が添えられた世界観に魅せられました。
それと前後して、TVの短歌番組に出演する機会があり、人生で初めて短歌を作ることに! 偶然ですが、自分にとってワクワクする流れが続いています」(浜島直子さん)
そして今回は2作品を披露してくれました。
「どちらも息子との日々をテーマに詠んだもの。自分で短歌を作ってみると、エッセイを書くのとはまったく違うなと思いました。
エッセイは、誰かに伝えたいことを、長い文章で説明していくおもしろさがあるけれど、短歌はその真逆。毎日の中にあるなんてことのない時間を切り取り、自分らしくラッピングしたり、色をつけていくような感覚に近いかもしれません。人のためにというよりも、私のために綴る言葉という感じです」(浜島直子さん)
また、こんな気づきも!
「言葉をぎゅっと凝縮させる作業の中で、物事を俯瞰してみる力がついた気がします。例えば『まってまって~』の歌も、愛おしさと同時に、歩くのが遅い息子に対して、イラ~ッとしちゃった記憶も含まれているんですよ(笑)。
『皿のすみ~』の歌もそう。嫌いなものを残す息子を見ると、つい強い口調で『食べなさい!』と言っていますが、歌にしてみると、『いや、私も同じことやってるな~』と(笑)。
そしてこれらはきっと、今だけの出来事なんだなと、肩の力が抜けた感じがしました。短歌って、周りにも自分自身にも優しくなれるものかもしれません」(浜島直子さん)
そしてはまじならではの、短歌の楽しみ方も教えてくれました。
「私にとって短歌は、自分遊びのようなもの。感動作を作って褒められたいとか、みんなの前で発表するために詠んでいるわけではないです。気負わずに、さらっと作るのが一番。そのうえで、日常を少し客観的にとらえる視点を養ってくれるものだと思います」(浜島直子さん)
他にも「もっと気軽に、日常を『短歌』に」を公開中!
次回は「桑原亮子さんに聞く、『日常を短歌にする』ヒント」をご紹介。
※今特集の短歌の表記は、デザイン上の都合により、行を分けて掲載しています。
撮影/馬場わかな ヘア&メイク/ナライユミ スタイリスト/岡本純子 イラストレーション/酒井真織 取材・文/石井絵里
こちらは2023年LEE8.9月合併号(7/7発売)「もっと気軽に、日常を『短歌』に」に掲載の記事です。
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