物価がどんどん上がり、お金についての不安が増している人も少なくないはず。そんな今だからこそ、投資の始め時。投資について、お金のプロに教えてもらいました。
答えてくれたのは
カン・チュンドさん
1999年にFP資格を取得後、2000年に独立。投資信託クリニック代表。完全オンラインでの個別アドバイスのほか、講演等を通じて長期・積立・国際分散投資のメリットを広める。著書に『積立て投資術』(明日香出版社)等。
Twitter:4649kang
公式サイト:https://toshin-clinic.com
来年から始まる新NISA。これまで投資をしていなかった人も、いよいよ投資をやるべき? リスクが気にはなりますが……。
- お金のことはよくわからない、難しくて苦手
- 損をしたくない。値下がりするのが不安
- お金は身の丈分あれば、無理に増やさなくてもいい
- コツコツ貯金をしていけば、それで十分では?
収入が十分にあり、安定して伸びていく人は「投資は不要」。ですが……
2024年から新NISAが始まることもあって、世の中が投資ムード。でも、本当に必要なのでしょうか。リスクもありますよね?
「仕事が順調で、収入が安定してどんどん上がって、貯金もしっかりあれば投資はしなくてもよいと思います。ただ、そういう方がどれくらいいるでしょうか。もちろん投資には元本割れのリスクはありますが、将来、年金と貯金だけでは足りないかも、と心配している人にこそ、お金を自分で増やすことを考えてもらいたいですね」(カン・チュンドさん)
でも投資って難しそうで、つい後回しに……。
「今の時代、投資は“将来の暮らしを守るためのもの”と言えます。自然災害への備えが苦手だから何もしない、という人はいないですよね。面倒でも備えをしているはず。投資もそれと同じなんです。今は貯金をしても、大手銀行で年0.002%程度しか増えません。投資信託などでお金に働いてもらうこともやっていきたいですね。実は、投資は始めてしまえば拍子抜けするほど簡単。少額で試しながら慣れていきましょう」(カン・チュンドさん)
1 物価高が進んで、「貯金だけだと損する」リスク
「皆さんも最近の物価上昇をリアルに感じていますよね。世界では、ゆるやかに物価が上がっていくのは普通のこと。むしろこれまで、長年物価が上がらなかった日本が特殊な状態だったんです。仮に年3.5%ずつ物価が上がれば、20年ほどで2倍になる計算。貯金を100万円を持っていても、20年後には現在の50万円くらいの価値に下がってしまうリスクがあります。今、持っているお金の価値をキープするには、ある程度投資もしなくてはならない時代なのです」(カン・チュンドさん)
2 人生100年時代。長生きするリスク
「長生きはおめでたいことですが、お金の面ではリスクでもあります。昔のように65歳くらいの寿命なら、65年分のお金で足りますが、今は100年近く生きるのが当たり前なので、100年分のお金が必要。もし、65歳で仕事を卒業するなら、その後30年以上を年金と自分の資産でやりくりしなくてはなりません。老後を楽しめるくらいの資産にしっかり増やしていくには、投資は必要だと考えましょう」(カン・チュンドさん)
3 国もカツカツ! 国が面倒を見てくれないリスク
「少子高齢化は日本だけでなく、世界のさまざまな国でも問題になっています。高齢者の割合が増えると、年金がなくなるまではいかなくても、受け取る金額が減ったり、年齢が先送りされたりする可能性が。健康保険の窓口負担割合も、昔の現役世代は1割でしたが、今は3割ですよね。国が私たちの面倒を見るのは今後さらに大変になると思いますし、社会保険料の負担も増えることが予想されます」(カン・チュンドさん)
イラストレーション/船越谷 香 取材・原文/西山美紀
こちらは2023年LEE8・9月合併号(7/7発売)「まだ始めてない人も、今こそ「投資」!」に掲載の記事です。
MONEYの新着記事
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。