【浜島直子さん×料理家 渡辺有子さん対談】「有子さんの丁寧で美しい暮らし、永遠の憧れです」
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浜島直子
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渡辺有子
2023.07.29
本日のゲストは、はまじが「心から尊敬していて、憧れの人」という料理家の渡辺有子さん。二人は、仕事で知り合ったのをきっかけに、プライベートでも交流を深めてきた間柄。渡辺さんが日頃、お料理教室や仕事を行っているアトリエにおじゃまして、育児や料理などたくさんお話を伺いました。
「有子さんが作ってくれた春巻き、息子が解体しちゃったときは冷や汗でした(笑)」(はまじ)
「気にしないで。子どもは、そのくらい元気なほうがいいんだから」(渡辺さん)
Yuko Watanabe
東京都生まれ。料理家。書籍、雑誌、広告などを中心に幅広く活躍。2015年、料理教室「FOOD FOR THOUGHT」をスタート。2017年には、自らがディレクションする同名のショップをオープン。『365日。』『渡辺有子のおいしさのもと』など著書多数。
Instagram:yukowatanabe520
公式サイト:https://520fft.tumblr.com/
Naoko Hamajima
1976年、北海道生まれ。18歳でモデルデビューし、LEEをはじめ、さまざまな雑誌や広告で活躍。また、TBS系『世界ふしぎ発見!』、NHK『あさイチ』をはじめ、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。服にまつわる物語を綴ったエッセイ集『けだま』が好評発売中。
Instagram:hamaji_0912
公式サイト:http://hamaji.jp/
この日、はまじが渡辺さんへの手土産に用意したのは、地元・神楽坂の老舗「梅花亭」のレモン大福。「生地にレモンの果皮と果汁が練り込んであって、じめじめしたこの季節にぴったり」とはまじ。一方、渡辺さんからはまじにもプレゼントが。「FOOD FOR THOUGHT」のおしゃれな小皿が家族分3枚。「わ! うれしすぎる〜。私はこのシリーズの少し大きいお皿を持ってるんだけど、シンプルで使いやすくて、何をのせても料理が素敵になるんです。ありがとうございます」とはまじ大興奮。
5歳の息子とのケンカは、彼氏とのケンカみたい!?
はまじ 有子さんと初めてお会いしたのは、『暮らしのレシピ』(TBSテレビ)にゲストで出ていただいたときでしたね。それが5年前。
渡辺 そうそう、覚えてる。
はまじ あのとき、有子さんがかぶのスープとか野菜のマリネを作ってくれたんだけど、テレビって、やっぱり楽しく盛り上げるのが大事だから、私は「うわぁ、おいしそう!」「いい香り!」って、うるさいくらい大声を出してて(笑)。でも、有子さんはきっとこういうガチャガチャしたノリは嫌だろうなと思いながら撮影してました。
渡辺 いやいや、私はあのとき、はまじのプロ根性を見ました(笑)。「スタート!」って声がかかると急にスイッチが切り替わってテンションが上がるの。プロって、こういうことなんだなと思った。
はまじ それがきっかけで、有子さんがご自宅に招待してくださって。当時3~4歳だった息子と二人で遊びに行ったんですよね。
渡辺 うちの息子が、まだぷくぷくの赤ちゃんだった頃ね。
はまじ そのとき、有子さんが春巻きを作ってくれたんだけど、うちの暴れん坊が、春巻きの皮を全部はがして、具で遊びだして(笑)。しかもおしゃれな椅子の上で、トランポリンみたいにジャンプしはじめて、「私、切腹しなきゃならないからやめてー!」って(笑)。でも、有子さんは、まったく嫌な顔せず、「男の子って、こうなるんだね。楽しみ~」ってニコニコ笑ってたの。
私なんか子どもに対して、すぐガミガミ言っちゃうけど、すごくおおらかに受け止めていて、「この人はすごい!」と思った。
渡辺 ううん、私も子どもに対して、すっごい嫌な怒り方をするよ。
はまじ ほんと? そういう話、大好き。もっと知りたい(笑)。
渡辺 昨晩も寝る直前にケンカっぽくなったんだけど、私、5歳の男の子に対して、全然すじが通ってないことを言ってて、なんか付き合ってる彼とケンカしてるみたいなの。「最後まで仲よしでいたかったのになんで?」とか言って。
はまじ 彼氏だね、それ彼氏だ(笑)。
渡辺 それで普段は、絵本を読むとき、抑揚をつけて読むのに、「新幹線がピューンといきました」って、すっごい棒読みして(笑)。でも、息子はその棒読みが大好きでゲラッゲラ笑うわけ。それで私も思わず笑っちゃったら、息子が「ママ、大好きだよ」って。
はまじ キムタク期だ!
渡辺 そう、キムタク期。新しい服を着てると、「それ新しい服? 似合ってるよ」とか言うし。
はまじ わかる。うちは一緒にお風呂入ったとき、私の手をスッと取ってマニキュアを見て、「いいね、この色」って。もうドキッてする。
渡辺 本当に。息子はお父さんっ子で、お風呂もパパと一緒、「どっちと寝る?」って聞いても「パパ」。「なんで!?」って、私が悔しがっていたら、「ママ、泣かないで。明日はママと寝てあげるから」って。
はまじ 有子さん、完全にもてあそばれてますね(笑)。
息子に合わせていたら、料理がしょうゆと塩味だけに
「野菜嫌いで偏食の息子。それを解決できないなんて、料理家失格だなと思って」(渡辺さん)
「有子さんの息子さんも野菜嫌いと知って、今、全国のお母さんが安心してると思う(笑)」 (はまじ)
はまじ うちの息子は、お肉とお米は好きなんだけど、野菜を全然食べないのね。カレーも玉ねぎをすりおろして入れたりして。有子さんのところはどう?
渡辺 うちも同じで野菜がダメ。サーモンのお刺し身が大好きで、それだとごはんを2膳くらい食べるけれど(笑)、すごく偏食で困ってる。
はまじ それ聞くと、安心する(笑)。母親の料理の腕は関係ないってことだもんね。
渡辺 でも、私としては、「これが解決できないって、料理家としてどうなの?」って思うわけ。しかも息子が食べられるものってなると、「餃子、カレー、スープ」の繰り返しみたいになるでしょう? レパートリーがどんどん減っていって、そうなると仕事のメニューも出てこなくなるのね。これまでは意外と自分の生活の中からレシピが出来上がっていたから。
はまじ アイデアが出なくなっちゃうんだ。
渡辺 そう。ハーブとかスパイスも使わなくなって、味つけも塩かしょうゆばかりになって。料理家、廃業しようかと思った時期もあった。
はまじ それはたいへん。そこからはどうやって抜け出したの?
渡辺 今までは仕事と実生活との区別があまりなかったけれど、まず子育てと仕事はしっかり分けて考えようと。そして栄養バランスは気をつけつつ、子どもには、自分の理想をあまり押しつけないようにしようって。そう決めたら少しラクになりました。
得意なことを役割分担する、渡辺家のスタイルとは
「子どもを通して、自分の世界が広がるって、すごく素敵なことですよね」(はまじ)
「ママ友は仕事で出会わないタイプの人たち。新鮮で、すごく楽しいの」(渡辺さん)
はまじ 今日、おじゃましたアトリエもすごく気持ちのいい、素敵な空間だけど、ご自宅も本当にきれいにしているでしょう? 小さな子どもがいて、あの美しさをキープしているのは奇跡だと思う。
渡辺 全然きれいじゃないの。以前は頑張って片付けてたけど、やってもやっても、すぐぐちゃぐちゃになるから、無駄な抵抗のような気がしてきて。最近は、散らかってる期間が延びてきた。
はまじ 有子さんの家が散らかってるなんて信じられない!
渡辺 子どもができて、諦めることができるようになったというか、おおらかになったなと思う。
はまじ 旦那さんもきれい好き?
渡辺 いや~。通販の箱の中身だけ出して、ダンボールを置きっぱなしにしてるタイプ。それで私が根負けして片付けるという。
はまじ うちと逆だ(笑)。それはフラストレーションがたまりそう。
渡辺 でも、前に夫に言われたの。「こうしたい、ああしたいっていうのは、あなたのルールだから、それを強要しないほうがいいよ」って。それでハッとしたの。快適だと思う空間は人それぞれで、片付けたいのは私。それを無理強いするのは、自分勝手だなって。
はまじ 自分のルールを相手に押しつけたらいけないってことね。
渡辺 だから片付けたい人が片付ければいいし、得意なことをそれぞれがやればいいんじゃない?っていうのがわが家のスタイル。家事全般は私がやるけど、不動産とかお金とか保険とか、生活設計は、私は苦手だから、全部夫に任せてる。役割分担ができてからは、「私だけが家事をやってる!」みたいな気持ちからは解放されたかな。
はまじ そういえば、キッチンまわりのものを集めた有子さんのセレクトショップ「FOOD FOR THOUGHT」も旦那さんのすすめで始めたとか。二人はすごくいいコンビネーションなんだね。
渡辺 夫は私にはない視点からアドバイスしてくれるので、そういう意味では、すごく頼りにしてる。
はまじ 私、ショップも大好きなの。ギャラリーみたいな空間が素敵で、アンティークのものがあれば、作家さんのものもあって、LEEの読者もみんな大好きだと思う。子育てとか仕事に追われてるとき、スーパーで買ってきたお総菜をちょっと素敵な器に盛るだけで、救われるときってあるもんね。
渡辺 そう言ってもらえるとすごくうれしい。ただ、今は、子育てのことがあるので、お店のほうは、少しセーブしているのね。「夫はバリバリ仕事をしているのに、なんで私だけ!?」って、うじうじ悩んでたときもあったけど、子育てを終えた周囲のお母さんたちが、「子どもが小さいときに、なんでもっと一緒にいなかったんだろう」って口をそろえておっしゃって。確かに男の子なんて、すぐに手もつないでくれなくなるし、こんなに密に過ごせるのも今だけかもと思って気持ちを切り替えることにした。
はまじ わかる。私も8月はいつも1カ月、休むことにしてるの。いつか「親と旅行? うぜえ」みたいな時期がくるから、一緒に過ごせる夏休みは今しかないと思って。
渡辺 今年はどこに行くの?
はまじ 去年、初めて和歌山の白浜に行ったら、息子はすごく楽しかったみたいで、「白浜に1年泊まりたい」って(笑)。今年も同じところに行こうかなと思ってる。
渡辺 素敵ね。私も早く夏休みの計画、立てなくちゃ。
食卓を中心に、暮らしを豊かにするヒントを提案している「FOOD FOR THOUGHT」(フードフォーソート)。LEEの取材で、渡辺さんがおもてなししてくださった茶器などもショップの商品。コロナ禍に、ネット通販もスタート。https://foodforthoughttokyo.com/
撮影/馬場わかな ヘア&メイク/ナライユミ スタイリスト/岡本純子 取材・原文/佐藤裕美
こちらは2023年LEE8・9月合併号(7/7発売)「はまじのずっと好きでした」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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