コロナ禍を経て、オーストラリアで体験した最新プラントベース食事情
2023年3月にオーストラリアはシドニー、そしてタスマニアンデビルで有名なタスマニア島に、全日程3週間ほど滞在してきました。
私にとって海外渡航は、実に4年ぶり。コロナ禍を経て、初でした。
そしてオーストラリアを訪れるのはもっと久しぶりで、2014年以来。
渡航の目的は夫と私がレースに出場するためだったのですが(この話はまた別記事で)
最新のプラントベース/ビーガン食事情をリサーチするのも、旅の楽しみの一つでした。
今回は、シドニーとタスマニア島で経験できたビーガン食を、そして驚きの⁉︎ 価格帯についても皆さんにお届けできたらと思います。
ANAの進化した機内食、ビーガンミールをご紹介
ビーガン体験は、離陸後から始まっている!ということで、まずは機内食からご紹介です。
ご存知の方も多いと思いますが、無料でビーガンミールに変更することができます。
私はいつも航空券を購入すると同時に、オンラインでこの手続きを行っています。
今回はANAを利用したのですが、往路のみTHE CONNOISSEURSの髙山シェフとのコラボレーションメニューということで、見た目も味付けも工夫がされていました。
特別食を選択できるだけでもありがたいことなのですが、これまでビーガンミールは簡素なメニューが多かったので(失礼!)ようやっと……という嬉しさが込み上げてきました。
余談ですが、隣に座られていたオーストラリア人の方も偶然にもビーガンミールを予約していました。5年前からビーガンに切り替えたそう。
座席には、CAさんからもわかりやすいように、特別食のシールが貼られます。
シーフードレストランでビーガン料理
まずは、タスマニア島でのビーガン体験をご紹介します。
第一印象として、今回訪れた地ではビーガンが実践しやすい環境であるということ。全然、食べるものに困らない!
例えば、タスマニア島は海に囲まれている環境からもシーフードが有名なのですが、シーフードレストランに行ったとて、ビーガンの主食メニューがありました。
「え、シーフードのお店でベジ食べていいの?」と驚きました。
友人が事前に「ビーガンチョイスもあるから」と調べてくれていて、レース後に仲間達と訪れました。
お互いに遠慮なく、一緒に食卓を囲めるのは、やはりいいものですね。私は、ビーガンボウルを注文しました。
よくある「サラダ」や「フムス」(前菜でよくある豆のペースト)などのサイドメニューだけではなく、メイン料理にビーガンの選択肢があることが、オーストラリアを旅して感じたことでした。助かりましたし、心の底から嬉しかったです。
そう、ストレスがなく皆と一緒に食べられることも大事なのだと改めて感じました。日本も早く、こういう環境になってくれると、ありがたいです。
逆に、普段肉や魚を食べる人も気軽に菜食を選択することができるのも、いいところ。
「今日は胃に負担をかけたくない」「野菜をたくさん食べたい気分」なんて時に、行き慣れたカフェのメニューから選択できる環境なのです。
分かりやすいように表示はありますが、ビーガンorノンビーガン、と食べる側に日本ほど分け隔てがない印象を受けました。
友人も店員も「ビーガン希望ね、OK!」というライトな?反応。
お店から「少し時間はかかるけど、こうすればビーガンになるわよ。とっても美味しいからおすすめ!」なんて提案もいただいたりしました。
全てが植物性食材のカフェ&パントリーで、テンションマックス!
ここからは、シドニーでのプラントベース事情をおすすめのお店と共にご紹介します。
まずは、一押し!全ての商品が植物性食材で構成されているカフェ&パントリー【way2live】です。
これがビーガンでできちゃうの!?と驚くほど、食事メニュー・スイーツ共に、とってもクリエイティブ。
実は今回宿泊させてもらった友人姉妹が営んでいるお店なのですが、だからというわけではなく。本当に推しのお店です!
味も食感も卵や乳製品を使っていないと感じさせないリッチさ。いい意味で、何も知らずに食べたら、卵や乳製品不使用とは気が付かないのではと感じました。
完全ビーガンのグロッサリーストア
シドニーには【Vegan Grocery Store Sydney】という、陳列している商品の全てがビーガン商品のみという食料品店があります。
地元の方曰く少々割高ではあるのですが、豊富な品揃えと、どれを手に取っても全て植物性原料でできているもののみということで……
パッケージの裏を見て「お肉のエキスが入っている」と棚に戻すこともないのが、私にとっては新鮮でした。
通常だと動物のゼラチンが使われるグミやマシュマロも、たくさんの種類がありました。
マシュマロとチョコレートをビスケットでで挟んで焼く、BBQの締めとして欠かせない⁉︎ あの、スモアもできちゃいます。
そして特に面白かったのがVeganとFishをもじった、 [ Vish] なるビーガンの魚もどきを発見。
主な原材料は大豆で、皮目は、海苔(海藻類)でできています。私は実際手に取るのは初めてで、せっかくなので購入しました。
冷凍のままエアフライヤーに入れて、数分で完成。おお、焼き目がリアルについてます。
前日に友人が作ってくれたスープをカレー風味にアレンジして、添えてみました。
皆と「うん、魚だねこれは。植物って分かっていてもなんだか頭がバグって……面白いね」と盛り上がりました。
ちなみにこのビーガン専門食料品店のほぼ向かいに、ビーガン100%のペイストリー店【oh my days glebe】があります。
サックサクのクロワッサン系が中心。おしゃれな店内で、イートインも可能ですので、こちらもぜひおすすめです。
シドニーで味わえる本格ビーガン中華料理店
魚もどきが食べられるのは、偶然見つけた中華料理店【Tian Ci Vegan 天慈素食樓】でも。
なんと100を超える豊富なメニュー数で、その全てがビーガンで構成されています。
こちらでは、海鮮焼きそば風とチャーハン、卵スープ風、エビ天心風などを食べました。
そして泣くほど感動したのが、チャーハン。
いわゆる町中華的なチャーハンで、懐かしみながら味わいました。
店内は今どきの青年や、オートバイク姿のゴツイ男性同士、おしゃべりを楽しむ若い女性たち、ご年配の夫婦、アジア系の方も東洋系の方も、老若男女ひっきりなしに訪れ、賑わっていました。
ついにここまで!ビーガンのエッグベネディクトが食べられる日が来た
そして、ビーガン専用カフェではないのですが、モールの中に入っていたおしゃれなカフェ&レストラン【7th Heaven Café Kirrawee】では、ビーガン・エッグベネディクトに出会いました。
なんと、溶けるビーガン卵!思わず「メルティ〜」と叫んでしまいました。ここでも海老もどきがありました。
ぷりぷり食感!ランチは大概、メイン料理とドリンク1杯を合わせて30AUドルはします(肉魚料理は更にお高め)。消費税と合わせると、大体3000円位。
メルボルンに住んでいる叔母にも聞いたのですが、やはり同じ位とのこと。ここ最近ですごく物価が上がったと話していました。
最低賃金も20ドルほどだそうですが、比べてみると日本の外食の平均価格は安いですね。むしろ安すぎ、なのかもしれません。それはそれで、心配。
外食も充実。気軽に取り入れられるオーストラリアの環境
こんな風に、外食や自炊、買ってきた調理済みのものを食べたりしながら、3週間過ごしました。
冒頭でもお伝えしたように、特に外食でビーガンを実践するのに日本ほど苦労しない、というのが印象です。
また、ビーガンに対する一般的な認識も高く、線引きが無いようにも感じました。
今回私たちが滞在したのがシドニーやホバートという大きな町だったのも、実践しやすい環境の要因だったかもしません。
選択肢がない場合も、もちろんあると思います。
ただ、今後また数年後にはもっと増えているのではないかという勢いみたいなものも感じました。
日本でも、その勢いは少しずつ増していますね。
世界のビーガン事情に触れる機会があればまた、レポートしたいと思います。
miniコラム
友人宅で見つけた、プラントベースの食用品ラップフィルム。45%がサトウキビを中心とした植物原料できていて、その分石油由来の原料を減らすことにつながる商品。電子レンジや冷凍庫での使用も可能で、使い勝手は至って普通のものと変わりませんでした。プラントベースというワードを日常的に目にする機会が多いことも、認知度が高まっている原因に一つかもしれません。
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池田清子 Sayako IKEDA
アスリートフード研究家
ビオトープ株式会社代表。夫は7年連続日本代表マウンテンバイクプロライダー、池田祐樹。菜食・プラントベースを主とした「細胞から健康的に強く美しくなる」食事の研究と発信を行う。2014年より自身もサイクリング・ランニング・筋トレを中心とした運動をスタートし、国内外での大会出場経験も多数。著書に『EAT GOOD for LIFE』至上最高の私をつくる「食」×「ながらトレーニング」』『野菜のおいしい食べ方』https://biotope-inc.co.jp https://biotope-inc.co.jp