2022年12月1日から2023年6月30日まで、LEEwebで反響の大きかった記事ベスト20を発表します。LIFE部門の第2位はこちら!(初公開日 2023年3月28日)
紙の健康保険証、今後は?
全国のマイナンバーカード取得申請が3月1日時点で人口の74.8%に達したと、総務省が発表したそうです。
カード取得者を対象にした「マイナポイント第2弾」用の締め切りが迫り、申請が一気に増えたためでしょう。
あまりの多さに受付が混乱したため、本来はポイント付与の対象となるカード申請期限を2月28日としていたのを3月1日まで延長する騒ぎに。
私も、2月中旬に用事で区役所に出向いたところ、あまりの人の多さに驚いたことがありました。今から思えば、マイナカードの受け取りと、マイナポイントの申請のため押し掛けた人だったのでしょう。特に、なかなかポイント申し込みの手続きが難しい年代の方は、担当者がアシストをしてくれる窓口に行くほうが安心ですから。
このように、ポイントが受け取れるからという動機でカードを取得した人が多かったと思いますが、もう一つ、「健康保険証がマイナカードに一体化され、紙の保険証が廃止になるから」という理由もあったのではないでしょうか。
どうせマイナ保険証に変わるなら、ポイントがもらえるうちに…という声をちらほら聞いたからです。
生活になくてはならない健康保険証、いざ紙の保険証が使えなくなると困るという気持ちはよくわかります。
新制度は病院側にも浸透していない様子
デジタル庁・総務省・厚生労働省の連名が入ったパンフレットによれば、マイナ保険証には次の7つのメリットがあるそうです。
- 定期検診や投薬情報が共有でき、より適切な医療を受けられる
- マイナポータルで特定検診情報や薬剤情報を閲覧できる
- 確定申告の医療費控除の入力がオンラインで簡単にできる
- 限度額を超える医療費の一時的な支払いが不要になる
- 病院側の保険資格の確認手続きが楽に
- 病院側の事務コスト削減に役立つ
- 就職や転職、引っ越しでも同じマイナ保険証が使える。
利用者にとって、どれがどのくらい便利なのか、まだピンときませんね。
しかし、④はかなり助かるメリットです。
私たちが医療費を払う場合、年齢や所得に応じて支払い上限が設けられています。たとえ100万円の医療費がかかったとしても、世帯所得が600万円以下なら負担する額は9万円程度で済むのです。
これが健康保険の高額療養費制度という仕組み。ただし、そのためには「限度額適用認定証」を事前に申請して病院に提示する必要が(認定証がない場合はいったん支払いをして、後日その差額を戻す手続きをする)。
認定証は企業の健保組合に入っているなら勤務先を通じて、国民健康保険なら自治体の窓口を通じて申請するのですが、マイナ保険証ならその申請が不要だと書いてあるのです。
私事ですが、近々簡単な手術をすることになっていたので、入院先の病院にまず確認してみました。しかし、どうもはっきりしない回答だったので、今度は自治体の国保の窓口に聞いたところ、「まだ浸透していないので、当分は病院に紙の保険証と認定証を持参したほうが確実」と言われました。病院側もそこまで対応が追い付いていないのでしょうね。
病院に行くなら、当分マイナ保険証と従来の保険証の両方を持参したほうがよさそうです。
【連載】 松崎のり子さんの「知らなきゃ損するお金の話」
この連載コラムの新着記事
松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。