テイストの変遷や引っ越しを重ねた今も、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月一点ずつ紹介します。今回は、あの名作照明。小さくポータブル式になり、いっそう魅力が増しました。
石井佳苗さん/Kanae Ishii
「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。
Instagram:kanaeishii_lc
公式サイト:https://www.kanaeishii-stylist.com/
file 02.[照明](Table lamp)
Brand: ルイスポールセン(Louis Poulsen)
Item: パンテラ ポータブル(Panthella Portable)
時代を象徴する名作は色褪せることない魅力を放ちます
私にとって照明は、インテリア作りにおいて大きな意味を持つアイテム。照明というと、「各部屋の天井にひとつあれば」と考える人も多いようですが、雰囲気を出したいのなら、部屋のあちらこちらに大小バランスよく置くのがおすすめ。数カ所をスポット的に照らすことで、空間に自然な立体感が出せます。
今回紹介する「パンテラ ポータブル」は、発売と同時に「これは絶対!」と手に入れたアイテム。このヴァーナー・パントンらしい特徴的な照明は、デザインとしては1971年に発表されたもの。2021〜22年にかけては、誕生50周年を記念してカラーバリエーションが増えるなど、新たな動きがありました。この“ポータブル”登場もその試みのひとつです。
私が照明に求めるものは、空間を照らすという機能はもちろん、“デザインの美しさ”。あの名作「パンテラ」が、こんなに手頃なサイズに、しかもコードレスで場所を選ばず置けるなんて、画期的!と感動したわけです。
ちなみに「パンテラ」に初めて出会ったのは、友人の別荘。こちらより少し大きめのデスクランプでした。スペースエイジ(1960年代に登場した近未来的なスタイル)を代表する、そのユニークなたたずまいは、当時25歳前後だった私の心に強い印象を残しました。
照明は実用品であり、オブジェ。誕生から約50年を経て登場したこのアイテムは、手にとりやすく、現在の生活に寄り添う新たな機能を備えた、魅力的な存在だと思います。
充電式のため、コンセントの位置を気にせず置ける。「暗くなりがちな本棚などに置けば、それだけで特別なコーナーに。照らすと、ベース部分がまるで浮き上がるように見えるのも美しいんです」(石井佳苗さん)
テーブルの中央に置くことが叶うのもコードレスならでは。明かりをつけない状態でも、さまになる。「ニュアンスある乳白色とこのサイズ感なので、ナチュラル系のインテリアにもなじみます」(石井佳苗さん)
Designer: Verner Panton
Denmark, 2020
小さくなってオブジェのようにも。新たなスペックを備えた名デザイン

幅160×高さ232×奥行160㎜(1.5mの充電用USB-Cケーブル付き)¥38500/ルイスポールセンジャパン
ヴァーナー・パントンが1971年に発表した「パンテラ テーブルランプ」は、近未来的でありながら温かさを感じるフォルムが特徴。その最小機種かつ初のコードレスタイプとして2020年に登場したのが「パンテラ ポータブル」。「それ自体がやわらかに発光しているかのような美しさ。照明はオブジェでもあることを体現するアイテムです」(石井佳苗さん)
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美 デザイン/サイトヲヒデユキ
こちらは2023年LEE3月号(2/7発売)「スタイリスト石井佳苗の「インテリア名品」」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
▼「照明」関連記事はこちらもチェック!

この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。