LEE読者がティーンの頃に通ってきた(?)さまざまなカルチャーが今またブーム! そこで「あの頃の映画」にガツンと影響を受けた皆さんのおすすめ名作をご紹介! 一度見ている作品も、年齢を重ねて、親の目線で見るとまた違う魅力に気づくはず。
お話を伺ったのは
映画監督、脚本家 佐向 大さん
脚本・監督作に『ランニング・オン・エンプティ』(’10年)、『教誨師』(’18年)ほか。『夜を走る』(’21年)が’23年2月3日DVD発売予定。地元の映画館で2本立て三昧の10代の頃、ほかに客もなく併映作目当てで寝転んで見た『恋する人魚たち』に大感動。他のマイベストに『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』『ガープの世界』。小5男児、小3男児の父。
怪物やドラゴン好きの子どもが大興奮間違いなし
’85『ネバーエンディング・ストーリー』
ミヒャエル・エンデの児童文学『はてしない物語』をもとにしたファンタジー映画。いじめられっ子の少年が絵本の世界に没頭し、ともに大冒険を味わうが――。「子どもは怪物、特にドラゴンが大好き。うちの子も描く絵といったら、ドラゴンとなぜかサーベルタイガーばかり。そんなちびっこたちは、大空はばたくファルコン(たぶんドラゴンだけど顔は犬、ひょっとするとウナギかも)に大興奮すること間違いなし。
ただ一点、劇中いじめっ子たちへの仕返しがあまりに度を越えている描写も。現代社会ではNGなので、そこだけ注意してあげてください!」(佐向 大さん)
今を精いっぱい生きようねって親子で前向きな気持ちに!?
’92『マイ・ガール』
’70年代アメリカの田舎町、11歳の少年少女の淡く切ない初恋を綴る。「’90年頃に大人気だったカルキン坊や(マコーレー・カルキン)主演の甘酸っぱい初恋ものと思いきや、実は死にとりつかれた少女のちょっと変わった物語。
年を重ねるごとに、どうでもよくなってきますが、“死への恐怖”って小学生のときが一番強かった気がします。そんな年頃にぴったりなのが、本作。しかも、あまりに衝撃的な展開が訪れるので……“人生って、ホントどうなるかわからないから、今を精いっぱい生きようね!”と、親子揃って前向きな気持ちになれる。……ハズです」(佐向 大さん)
お話を伺ったのは
映画評論家 森 直人さん
著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』ほか。『週刊文春』や『朝日新聞』『メンズノンノ』ほかで執筆。映画トーク番組『活弁シネマ倶楽部』でMC担当。『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』『汚れた血』『マイ・プライベート・アイダホ』など、この時期に見た映画は学校で教えてくれない教科書。人生丸ごと変わっちゃいました。小4男児の父。
人の“集団心理”に子どもも感じるところが
’90『少年時代』
昭和19年、東京から富山に疎開した小学5年生の進二が経験する、地元の少年たちとの友情や葛藤を綴る。篠田正浩監督作。「いまゲームの『フォートナイト』に夢中な小学4年の息子が、一昨年の夏休みにハマった映画。原作者・藤子不二雄A先生の実体験をもとにした戦争中の疎開先での物語。
息子は男の子たちの集団心理をリアルに感じたようで、いわく“みんなひとりだといい人なのに、群れるとヤバくなる。もし自分が進二と同じ立場だったらどうするだろう”と。子どもなりの『社会』や『政治』の形は、いつの時代も変わらないのかも、と思いました」(森 直人さん)
どんな乱世でもマイペースで走り続けていく主人公
’95『フォレスト・ガンプ/一期一会』
知的障害があるが俊足のフォレスト・ガンプの、数奇な半生を綴る。トム・ハンクス主演、アカデミー賞を多数受賞。「20世紀アメリカの歴史絵巻になっていて、ベトナム戦争、ヒッピームーブメント、アップル社の設立など、怒涛の現代史をイノセントマンである主人公ガンプが駆け抜けていく。
僕自身がたまに見たくなる一本でもあり、透明な楽天性が素晴らしい。21世紀、ますます激動ぶりが増していくであろう乱世でも、あくまでひとりの個人として、マイペースで走り続けていく。そんな“世界との付き合い方”が、本作には刻まれてると思います」(森 直人さん)
【特集】子どもと見たい80’s 90’sの名作映画
イラストレーション/SAWAMI 取材・原文/折田千鶴子
こちらは2023年LEE1・2月合併号(12/7発売)「子どもと見たい80’s 90’sの名作映画」に掲載の記事です。
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