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映画『ドライブ・マイ・カー』などで確かな演技力を見せる三浦透子さん。やさしく透明感のある歌声も魅力的で、このたび2枚目のミニアルバムをリリース。

世代の近いアーティストと密に作ったアルバムです
────三浦透子さん

ジャケット¥89100／ビューティフルピープル 青山店（ビューティフルピープル）　ネックレス¥66000／リーミルズ エージェンシー（ジョン スメドレー×ジジ）

「タナダユキ監督のCMでワンフレーズだけ歌う機会があって、タナダさんから“声が素敵だから歌ったほうがいいよ”と言っていただいたのが音楽活動のきっかけです」

その後、タナダさんからCMソングの依頼が。そこから次々に新たな活動へとつながった。

「もともと歌手志望でもなく、自分で曲が作れるわけでも、演奏するわけでもない私がアーティストを名乗っていいのか当初は迷いもありました。でも、作詞家、作曲家がいて、歌い手が歌うことで生まれる素晴らしい楽曲もたくさんある。プロフェッショナルが集まって生まれる楽曲のよさを、自分が歌うことで伝えられたらと思うようになったんです」

楽曲制作を担当するクリエイターには三浦さんの意見や希望も反映されている。今回のミニアルバムでは、音楽ファンから注目を集める新進気鋭が顔をそろえるが、三浦さんと世代の近いアーティストが多い。

「近い世代の方々と、自分も意見を出しながらより密に、一緒に作る感覚で進めていきたいと思ったんです。今回だけでなく、長く一緒にやっていける方との出会いになればという思いもありました」

楽曲制作を依頼するクリエイターとの作業で必ず行っているのが、制作前のコミュニケーション。

「私がどんな人間なのか知ってもらうところから始めたくて。ただ、コミュニケーションの中身はそれぞれ違います。“アルバムの最後に入るこんな曲が欲しいです”と具体的なイメージを伝えることもあるし、雑談や世間話のことも。『intersolid』という曲では、（作詞・作曲・編曲の）小田朋美さんと私の趣味の建築の話をしたんです。そのときに『第3インターナショナル記念塔』という建築物の話をしたことから曲が出来上がったそうです」

音楽活動では、楽曲だけでなくアートワークなどでもアイデアや意見を伝えている。シングル『私は貴方』の題字は三浦さんの手書き、何度も納得いくまで書き直したそう。

「常に“透子はどうしたい？”“これはあなたの活動だから、あなたの意見が必要”と言ってくれるチームで。いい環境で制作できています」

そんな音楽活動での経験は、俳優の活動にも影響を与えている。

「作品とのかかわり方もいろいろあると思いますが、自分の名前で音楽活動をするようになって、俳優としても名前を連ねる以上は作品に責任を持ちたいと考えるようになりました。『ドライブ・マイ・カー』で海外メディアから取材を受けたときに、“映画のメッセージに共感したから出演したんですよね”という前提で質問されたことも、きっかけのひとつです」

責任を持つために、自分の思いも伝えていく。主演と主題歌を担当した映画『そばかす』の制作現場は、まさにそれができた場だったそう。

「作品に深くかかわる喜びや楽しさをすごく感じられました。“恋愛したい気持ちがわかない”というセクシュアルな題材を扱うことに対して、繊細に取り組む気持ちをみんなが共有しながら、自分が感じたこともしっかり伝えることができた。とても風通しのいい現場だったんです」

みうら・とうこ●1996年生まれ、北海道出身。2002年サントリー『なっちゃん』のCMでデビュー。12月16日公開の映画『そばかす』では長編映画単独初主演を務めるとともに、主題歌を担当。音楽面では映画『天気の子』主題歌のボーカリストに抜擢。’20年に1stミニアルバム『ASTERISK』をリリース。
Twitter：toko_miura
公式サイト：https://www.tokomiura.com

『点描』

三浦さん主演映画『そばかす』の主題歌『風になれ』をはじめとしたシングル曲、三浦さんが作詞に初挑戦した楽曲など全7曲を収録。『風になれ』の作詞・作曲は羊文学の塩塚モエカ。「私が映画を通して感じたこと、演じる中で得たものを伝えて出来上がった楽曲。主題歌を含めてひとつの映画として成立するよう意識しました」。12月14日発売。（ユニバーサルミュージック）

撮影／田上浩一　ヘア＆メイク／秋鹿裕子（W）　スタイリスト／佐々木 翔　取材・文／古川はる香
こちらは2023年LEE1・2月合併号（12/7発売）「カルチャーナビ」に掲載の記事です。