たくさんのニュースやエンタメがあふれている今の時代。スピード感のあるものが主流になっているからこそ、本を手に取り、時間をかけて物語の世界へ没頭しているときのリラックス感は格別なもの。
今回は、フリーアナウンサー・宇垣美里さんの「これぞ」というおすすめの小説を紹介します。
お話を伺ったのは?
フリーアナウンサー 宇垣美里さん
TBSラジオ『アフター6ジャンクション』にレギュラー出演中。自身のことを綴ったフォトエッセイ『風をたべる2』が発売中。
「言葉を読んで解放される感情ってある気がします」(宇垣美里さん)
信頼する読書仲間のおすすめで本気で徹夜してしまいました!
「小説は、もはや好きになったきっかけもわからないぐらい身近なもの。両親が読書家で、実家に本があふれていた環境もあるとは思うんですが、こればっかりは性格としか言いようがないのかもしれません(笑)」と宇垣さん。
「小学生の頃は週末に親が近くの図書館へ連れていってくれるのがうれしくて。借りられるギリギリの数まで本を選んでいました。私が読んだ作品を見て『ミステリー好きなら、シャーロック・ホームズもいいよ』など、家族で本の話をする機会も多かったです」(宇垣美里さん)
そして大人になった今でも、「本好きの人から、おすすめを教えてもらうのは大好き」だとか。
「ラジオ番組でご一緒している、ラッパーでラジオパーソナリティの宇多丸さんから教えていただき、まさに一気読みしてしまったのが『プロジェクト・へイル・メアリー』。最初は上巻だけ読もうとページを開いたのですが、下巻にも手が…。朝4時まで読み通しました(笑)。あまりにも感動してしまい、宇多丸さんと、やはり読書仲間である声優の池澤春菜さんと3人で、“作品ネタバレ座談会”を開いてしまったほどです!」(宇垣美里さん)
また「抒情的な作風かつ短いお話に引き込まれる」と教えてくれたのが、『わたしたちが光の速さで進めないなら』。
「おすすめの小説を読むのも好きですが、一人で書店へ行き、気ままに本選びをする時間も大事にしています。つい買いすぎちゃって、重さに絶望したりもするんですけれどもね(笑)。これもお店に並んでいてぴんときたもの。一話完結で読みやすく、詩的で優しい世界観に包まれるお話でした」(宇垣美里さん)
自分では形にできない思いが文字になる魅力
また新しい作品だけではなく、「自分にとって読み慣れた物語に触れる時間も大事です」とも。
「忙しくて頭がパニックになっているときこそ、慣れ親しんだ話に身を委ねたい。『恋文の技術』はまさにそんなときの一冊で、旅先でホームシックになったときに飲むとほっとする、味噌汁のような存在。『スコーレN o.4』は、年齢を重ねるごとに感じ方が変わります」(宇垣美里さん)
今、小説を読む時間はどうやってキープしていますか?
「文庫本は仕事先のまとまった待ち時間に、単行本は家で…と、形によって分けつつ。隙あらば読書しています。私にとっては優先順位の高い娯楽。時間を確保する、という意識すらないのかも。『あー、また何か読んでる』と、自分で自分に突っ込むことも多々。
エッセイ、実用書、新書とどんなジャンルも好きですが、やっぱり入っていきやすいのは物語です。私は言葉が持つ力を信じていて。小説という表現方法は、自分では形にできない感情が言葉で示されているから、より魅力的なのかも。『私が思っていたのはこういうことだったんだ』と、心が解放される感覚がありますね」(宇垣美里さん)
宇垣さんの
読み始めたら止まらない4選
#01
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
アンディ・ウィアー 小野田和子(訳)
知性。ユーモア。他者への愛。私の好きなものがすべて詰まった傑作SF
真っ白い部屋で目覚めたヘイリー。彼は宇宙船に乗り、ある使命を託されていた――。
「人類への深い愛、そして怒涛の展開に読んだ後も胸が熱くなってしまって。1カ月ぐらい、感動が押し寄せてきていました」(宇垣美里さん)
#02
『わたしたちが光の速さで進めないなら』
キム・チョヨプ カン・バンファ(訳) ユン・ジヨン(訳)
難しいイメージのSFをくつがえす、軽やかで詩的な世界が魅力
一話読み切りのSF作品が収められた一冊。
「近未来や宇宙が設定の話が多いですが、なぜか懐かしく、慈しみすら感じます。またマイノリティへの圧にNOを突きつける物語もあり、愛にあふれた作品だと思いました」(宇垣美里さん)
#03
『恋文の技術』
森見登美彦
ページを開くたびに心地よいビートに乗ってゆける往復書簡小説
慣れ親しんだ京都から遠く離れた場所へ行った男が、文通修行と称して仲間や妹に手紙を書きまくる―。
「初めて読んだのは大学時代。今や好きな文章を集中して拾い読みするほど、言葉がしみ込んでいます」(宇垣美里さん)
#04
『スコーレNo.4』
宮下奈都
平凡な日々にはドラマがいっぱい。作者の視点の細やかさに心が震える
自分は普通と感じる麻子の、少女から大人へと移り変わる姿を描く。
「何が起こるわけでもなく、ただ女の子の日々がすくい取られる。その細やかさの中に鳥肌が立つような視点があり、美しさや驚きを感じる小説です」(宇垣美里さん)
他にも「『小説』の世界にひたりたい!」を公開中!
次回は「『小説』の世界にひたりたい! 書店店主・木村綾子さん編」をご紹介。
撮影/露木聡子 ヘア&メイク/山下智子 スタイリスト/小川未久 取材・文/石井絵里
こちらは2022年LEE12月号(11/7発売)「『小説』の世界にひたりたい!」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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