会話が多い円満夫婦には、良好なコミュニケーションを維持する秘訣や、話を弾ませる努力が。会話レス脱却や、夫婦の関係を見直すヒントにもなるはず。

笑ったり、ツッコんだり。ちゃんと会話しなくても、お互いの言葉に“反応”するのが大事

フリーアナウンサー　中村仁美さん

フジテレビのアナウンサーとして活躍後、フリーに転身。テレビ、イベント出演などで活躍。’11年さまぁ〜ずの大竹一樹さんと結婚。’12年、’15年、’19年に出産し、3児の母として育児に奮闘中。
Instagram：nakamurahitomi.mg
公式サイト：https://www.amuse.co.jp/artist/A8870/

忙しくて一方的な会話が多く、言葉のドッジボールに（笑）

中村さんは、3人の男の子の育児真っ最中。日々慌ただしく「夫婦で“じっくり話す”なんてことはあまりないですよ」と言います。

「特に産後すぐや子どもたちの入園、入学など生活環境が変わるタイミングは、余裕がなくて会話レスになりがち。話しても私が『もう少し学校のことに興味を持ってくれない？』と怒ったトーンになってしまって。夫もケンカ腰で険悪なムードに。普段も、常に時間がないので、まだ夫が寝ぼけている早朝に話しかけたり、その日の予定を早口でまくし立てたり。キャッチボールじゃなくてドッジボール、言葉の当て合いになっていることも多い気がします（笑）」（中村仁美さん）

それでもコミュニケーション不足という感覚はなく、夫婦間の意思疎通はとれているそう。

「夫に子どもの連絡帳の記入を頼むと『朝ごはんは何？』『今日の天気は？』と全部聞いてくるんですよ。『忙しいんだから調べて！』と言うと、夫はこれも大事な夫婦の会話だ、と（笑）。いつも独身時代のような会話やお互いの深い話をしなくても、まずは夫婦間のやりとりが毎日あればいい。もっと言うと、ちゃんと相手に“反応”できていればOKなのかなと。

夫が子どもに絵本を読み聞かせしている様子を見て一緒に笑うとか、正直つまらないダジャレを言ってもツッコんであげるとか（笑）。相手の言葉を流さずにリアクションすることで、その後の会話にもつながっていくと思いますね」（中村仁美さん）

「テニスやめたら？」と言われて、自分の想いを訴えた

“夫に直してほしいこと”。中村さんはどのように伝えていますか？

「夫は私の声のトーンでわかるみたいで『あのね、息子がさ』と真剣に相談するとすぐに反応してくれるのですが、文句を言おうと『ちょっとさ〜』と話しかけても耳を貸してくれない（笑）。家事や育児をもっとやってほしい、といったことは長文のメールで送ることが多いです。私たちは話すと口ゲンカになりやすいので、メールだとひと呼吸置いて、冷静に言葉を選べるのがいいと思いますね」（中村仁美さん）

とはいえ、理解してほしいことは、面と向かって訴えることも。

「私はテニスが趣味なのですが、あるとき、テニスから帰ってソファでだらだらしていたら『そんなに疲れるなら、テニスはやめないとね』と言われて『は？』と。『テニスは私のストレス発散で、1週間これを楽しみに頑張ってる。24時間すべてを子どもと家庭に捧げないといけないの？　テニスをやることも許されないの？』とすごい剣幕で、自分の気持ちを細かく伝えたんです。夫は『ここは尊重しなきゃいけない』と感じたみたいで、それ以降、テニスのときは快く送り出してくれるようになりました（笑）。

私のほうも長年一緒に暮らして、夫のこだわりが強いポイントがわかってきて。家探しや旅行のときなどは夫主導で決めてもらい、私は口出ししない。お互いに“ここは越えない”というラインを理解しておくと、言いたいことを言い合っても円満でいられるのかもしれません」（中村仁美さん）

撮影／露木聡子　ヘア＆メイク／yumi（Three PEACE）　イラストレーション／沼田光太郎　取材・原文／野々山 幸（TAPE）
こちらは2022年LEE12月号（11/7発売）「夫婦“会話レス”にならないための心得」に掲載の記事です。