困難を乗り越え誕生した「東京グレートベアーズ」
今年6月、東京に新たな男子プロバレーボールチーム「東京グレートベアーズ」が誕生しました。
簡単に聞こえてしまう、この“誕生”までには、「突然のチーム活動休止」「東京からのV1男子バレーボールチーム消滅危機」など、想像できないほど多くの困難に立ち向かった人々がいました。
「バレーボールを注目してこなかった」、そんな人たちさえも熱狂の渦に巻き込み、盛り上げ、夢をみさせてくれるに違いない!
そう実感した、東京グレートベアーズのクラブビジョン&ユニフォーム発表会の模様と、チーム誕生のキーマンとなった、野瀬将平選手と久保田健司代表取締役のインタビューをお届けします。
ネイチャーラボが運営するプロ男子バレーボールチーム
東京グレートベアーズは、昨季で活動を休止した「FC東京バレーボールチーム」を、ヘアケアやホームケアなど、多くのブランドを擁する「ネイチャーラボ」が受け継ぎ発足した、プロ男子バレーボールチーム。
当時、FC東京バレーボールチームは、V1リーグ*唯一の東京のチームとして活動していました。つまり、チームの消滅は、東京および関東地域からトップレベルのチームがなくなるということ。
その危機に立ち上がったのが、かつてFC東京バレーボールチームで活躍していた野瀬将平選手。
ネイチャーラボと何度もコンタクトを取りプレゼンを行い、議論を重ね、多くの人の心を動かすこととなり、ついにはチーム譲渡が実現しました。
後述するインタビューで野瀬選手は「譲渡なんて1%の可能性もなかった。本当に奇跡としかいいようがない」と語っています。
*バレーボールの国内リーグ「Vリーグ」は、V1・V2・V3の3つのリーグで構成され、1番上のレベルがV1リーグ
チーム名&チームロゴはおおぐま座がモチーフ
チーム名とチームロゴは星座のおおぐま座がモチーフ。
おおぐま座の一部である北斗七星のように、7つの星(選手とサポーター)がつながり、バレーボールを通じて、人や地域、世界をつなぐ存在を目指すという意味がこめられています。
クラブ理念は「ひとに強さを(STRENGTH TO HUMANITY)」
そして発表会では、クラブビジョンとユニフォームが発表されました。
チームのクラブ理念は、ネイチャーラボの企業理念と同じく「ひとに強さを(STRENGTH TO HUMANITY)」。
発表会で登壇された、グレートベアーズの代表取締役・久保田健司さんは「バレーボールを通じて、『勝利への執着心』・『諦めない意志』・『チームワークの大切さ』を、社会に向けて発信していきます」と力強く宣言。
一流クリエイターが集結し、バレーボールの魅力を発信
様々な活動方針のなかで、もっとも興奮したのが「クリエイティブインパクト」。
「デザインや音楽、映像、アニメーションなどクリエイティブの力を借りて、バレーボールの魅力を伝えていきます。チームのテーマソングの制作を、東京スカパラダイスオーケストラさんにお願いしました」と久保田さん。
さらに続けて、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』を手がけるアニメ制作プロダクション「MAPPA」や、『ハイキュー!!』のアニメ制作を担当した「プロダクションI.G」など、エンターテイメントの世界を牽引する豪華な名前が続々と発表され、思わず圧倒されるほど。
東京グレートベアーズのもとに集結した超一流のクリエイターたちによって、どんな新しいバレーボールの世界をみせてくれるんだろうと、わくわくせずにはいられません!
未来への夜明けを表現したユニフォーム
クリエイティブディレクターの小杉幸一さんが手がけた新ユニフォームもお披露目。
本拠地・東京で着用するホームユニフォーム「ネイビーブルー」は夜空と意志の強さを、対戦相手の本拠地で着用するアウェイユニフォーム「ピンク」は情熱・炎・好奇心と、アクティブさをイメージされているのだそう。
随所に星をイメージしたイエローが散りばめられ、グラデーションにより未来への夜明けが表現されています。東京グレートベアーズならではのストーリーが詰まった1着に。
野瀬選手「僕たち選手には、子どもに夢を与える責任がある」
発表会後に、久保田社長とコミュニケーションマネージャーも兼任している野瀬将平選手にもお話をうかがいました。
――野瀬選手がチーム譲渡のために奔走されたと聞きました。当時のお気持ちは?
「当初ネイチャーラボさんには、FC東京のスポンサー契約のお願いで伺っていたんです。それが突然の休部を受けて、チーム運営のお願いに切り替えた。でも、スポンサーになるのとチーム運営では、動くお金も桁違いです。譲渡が成功する可能性は1%もなくて、正直諦めの気持ちもありました」
――可能性は1%に満たない、諦めの境地のなか、それでも策を練り行動し続けた原動力とは?
「首都・東京からV1男子バレーボールチームが消滅することに大きな危機感がありました。FC東京は東京唯一のV1チーム。他は、大阪や広島、大分など多くのチームが西日本にあります。FC東京が無くなると、関東近辺の人たちがせっかくバレーの試合を見たいと思っても、近くで試合がやっていないんです。バレーボール界を盛り上げていくには、“東京にチームが存在すること”が、とても重要だと考えていました」
――無事に譲渡が決まったときのお気持ちは?
「心の底から安堵しましたし、奇跡だと思いました。チーム譲渡なんて本当に稀なことですから。僕が表で動いているのでフィーチャーされがちですが、スタッフの方々が大勢動いてくださったからこそ、この奇跡が起きたのです」
――野瀬選手の今後の夢・目標は?
「子どもの将来の夢ランキングに、バレーボール選手がランクインしてほしいです! 試合を見た子どもたちが、頑張ろうと思ってくれたり、かっこいいと憧れの存在になったり。僕たちプロのスポーツ選手は、子どもに夢を与える責任があると思っています」
――今、バレーを楽しんでいる小学生や、部活を頑張っている中高生など、未来のVリーガーへメッセージをお願いします。
「悔しいことやうまくいかないこともあると思いますが、バレーボールを全力で楽しんでください。皆さんがバレーを頑張って続けて大人になったとき、今以上にエキサイトにバレーを楽しめる環境を、僕ら先輩が用意して待っています!」
久保田社長「人々の背中を押す存在であるために」
――ネイチャーラボがスポーツ運営することに驚きました。決断に至った理由を教えてください。
「ネイチャーラボの企業理念である、人々の背中を押す存在でありたいとの意味をこめた『ひとに強さを。』を、バレーボールを通じて新しい形でお届けできるのではと考えました。
また、東京は日本で一番バレーボールの競技人口が多いんです。小中高校のバレーチームのレベルも高くて、日本代表選手も多くが東京の大学出身です。それなのに、東京唯一のチームが消滅しようとしている。これは、FC東京の選手やスタッフだけでなく、スポーツ界にとっても良くないことだと思いました。
そして、その危機をなんとしてでも回避しようとする、野瀬選手の熱意がとにかく凄まじかった。彼はもはやチーム単位でなく、バレーボール界全体を思い、行動していました。あの熱意には、やはり心動かされるものがありましたね」
――超一流のクリエイターが集結していますが、特にホーム会場での演出には期待してよいですか?
「ぜひ期待してください! 『バレーボールはこんなにも楽しいんだ』ということを、音楽や映像の力も駆使して必ずお伝えします」
始球式に俳優の斎藤工さんが登場
2022年10月29日(土)に東京体育館にて開催される「2022-23 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 東京グレートベアーズ vs ウルフドッグス名古屋」が初のホーム戦に。
そんなホーム開幕の始球式に、俳優の斎藤工さんの参加が決定!開幕戦では、東京グレートベアーズならではの“クリエイティブインパクト”で、会場をおおいに盛り上げてくれるはず。
新たなチームとして、力強い一歩を踏み出す東京グレートベアーズを一緒に応援していきましょう!
選手一覧、試合情報、ファンクラブ入会方法など詳しくは公式HPをチェック。
東京グレートベアーズ 公式HP撮影/藤澤由加
取材・文/古川晶子
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