矢井田 瞳さん
〈 ミュージシャン 〉
今年でデビュー23年目になる矢井田 瞳さん。“ヤイコ”の音楽とともに、青春時代を過ごしたLEE読者も多いはず。当時からスマイルの印象が強い彼女の作品作りへの変わらぬ思いや、母として奮闘する姿、息抜きの時間など……肩ひじ張らずに日々を楽しむ“今”の笑顔の秘訣に迫ります。
楽器を鳴らすと心が整い、モヤモヤが吹き飛ぶ! 音楽は、気持ちを切り替えるスイッチになります──矢井田 瞳
● 矢井田 瞳 Hitomi Yaida
1978年7月28日、大阪府生まれ。2ndシングル『My Sweet Darlin’』が大ヒットし、デビューして23年目に。9月に12thアルバム『オールライト』をリリース。井村屋「あずきバー」のCMソング『さらりさら』のほか、全10曲を収録。10月7日には東京・LINE CUBE SHIBUYA、22日には大阪・メルパルクホールでアルバムリリース記念ライブを開催。
Instagram:hitomi_yaida
Twitter:yaiko_official
公式サイト:https://yaiko.jp/
矢井田 瞳さんの
パーカッションを鳴らすと、家族みんなが笑顔に!
撮影当日に持ってきてくれた楽器たちは、すべて矢井田さんの私物。自宅にはこの10倍はあるそう!「ゴーヤのシェーカーは、歌のリズム感を培う練習にもぴったり。その右の口琴は、口の中に入れて指ではじいて音を鳴らすもの。シェケレのような民族楽器も好きですね。楽器が楽曲作りに影響することももちろんあって、今回のアルバム『オールライト』に収録されている『shadow/alone』は、右上のタンドラムの音色が素敵で、奏でていたら生まれた曲です」
何かあったら助けるつもりで思春期の娘とはほどよい距離を
シンガーソングライターとして長く愛され続ける矢井田 瞳さん。「デビュー当時から好きでつい集めてしまうんです」と話すのが、多種多様なパーカッションの数々。電子ドラムにタンドラム、すず、タンバリン、シェーカーや民族楽器まで……家じゅうにところ狭しと置かれている楽器たちは、矢井田さんはもちろん、家族みんなの笑顔の素になっているそう。
「半年に1回ぐらいはパーカッションの専門店に足を運んでお気に入りの音を探したり、雑貨屋さんやおもちゃの楽器の中にも掘り出し物があったりして。楽曲作りに使える、使えないに関係なく、キュンとしたものは買っちゃいますね。楽器って日常の中での“場面転換”にいいなと思うんです。例えば、今日は何だかモヤモヤすると思ったら、シェーカーを手にとってシャカシャカと振ってみる。リズムをとっていると、心も整っていくようで、だんだんと『何を悩んでたんだっけ? まぁいっか、次いこう!』と。前向きに気持ちを切り替えてくれるものだなと。
テレビを見ていて好きなCMソングが流れた途端、中学1年生の娘も夫も、思い思いに楽器を手にして集まって、別々に過ごしていた家族がひとつになることも(笑)。みんな笑顔になるし、やっぱり音楽ってパワーがあるなと思います。娘も音楽は好きみたいで、電子ドラムを通りすがりに1小節だけ叩いてみたり、ピアノも習っていて。歌も歌うけど、私が娘の鼻歌に参加すると声が大きいからか『私の歌を取らないで!』と怒られることもあります(笑)」
娘さんとの仲のよさが伝わってくる、ほほえましいエピソード。思春期を迎えることで、これまでとは少しずつ距離感や接し方も変わってきていると言います。
「もうほとんどのことは自分でできるけれど、中学生になって環境の変化も。『何かあったら助けるよ』ぐらいの距離で、手を出しすぎないようにしています。娘が生意気なことを言うと『あ、反抗期来たね!』と大きな声で言ってみたりして、できるだけ楽しく乗り越えたいなと(笑)。出産当初は、先を予測してそのとおりにいったらいいなと思っていたんですけど、この考え方は育児に向かないことを2年ほどで悟って。予想できないことだらけだから、何かあったら対応できるように、余白を残しておくことを心がけています」
また、こんな息抜きの時間も。
「生のお笑いライブを見に行くのが好き。会場の空気が震えるようなライブ感が楽しくて、その後しばらくは思い出し笑いができる余韻もいい。下北沢とかで、芸人さんの卵たちが『タダでいいので見てください』というのを、勉強になるならと思って母のような気持ちで見に行くことも(笑)」
『さらりさら』は朝のイメージ。一日の始まりに聴いてほしい
矢井田さんの最新作が、アルバム『オールライト』。約2年間、じっくり時間をかけてできた曲が収録されています。
「世の中があまりに変わってしまって、どんな言葉を投げかけたらいいんだろうと詞を書くのが難しくなったことも。でも、巡り巡って身近なことや周りにいる大切な人を笑顔にすることが、世界をよくすることにつながるのかもと思います。各曲ごとに、聴いた人がこういう気持ちになってくれたらいいなと想いを込めて作っていて。例えば『さらりさら』という曲は、一日のスタートに一歩踏み出せたらきっとうまくいく、という感じで朝に聴いてもらえたら気持ちいいかなと。
歌で皆さんの生活の中の、いろんなスイッチが押せるといいなと思いますね。『駒沢公園』という曲は、娘の成長と何気ない日常を感じながら、いろんな可能性を秘めた子どもたちにどんどん羽ばたいてほしいという願いを込めて書きました。
母になってからは生活リズムが変わったし、午前中に曲作りをすることで歌詞に健康的な言葉が増えた気がします。でも昔書いていた“真夜中のラブレター”みたいな世界観も変わらず好き。最近は自分の中にいい感じでドロドロした言葉が出てきたら、メモをして書き留めておくようにしています」
「教えて! 笑顔の素」記事一覧撮影/須藤敬一 ヘア&メイク/板倉タクマ(nude.) スタイリスト/野見山 唯 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2022年LEE10月号(9/7発売)「教えて! 笑顔の素」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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