竹内涼真さん・横浜流星さんインタビュー 「作品づくりが楽しい。だから、その過程にはこだわっていきたい」
【竹内涼真さん×横浜流星さんインタビュー】映画「アキラとあきら」での共演を経て、今思うこと
2022.09.15
池井戸潤原作の話題作、映画『アキラとあきら』でまったく別々の境遇で育ちながら戦友となる2人を演じた竹内涼真さんと横浜流星さん。素顔の2人も同じ熱い想いを抱える戦友だった!?
これしかない配役! と思いきや実は逆もありだった!?
正反対の環境で育った2人が、運命の巡り合わせで同じ銀行の同期に。数々の宿命をくぐり抜け、ともに戦う唯一無二の友になる池井戸潤さんの小説『アキラとあきら』が映画化。
幼少期に父親の工場が倒産し、苦しんだ経験から、同じような境遇の人を救いたいと熱い想いを持つ山崎瑛(アキラ)に竹内涼真さん。
大企業の御曹司で頭脳明晰、誰もがうらやむバックグラウンドながら、親族同士の争いに辟易する階堂彬(あきら)に横浜流星さん。作品を観ると、「彼らしかいなかった」と思えるハマり役!
横浜さん(以下横浜) あきらほど見栄っ張りじゃないけど(笑)、クールなタイプに見られるのは似ているかも。内面に何か抱えていると思われがちですが、思ったことはため込まず口に出すほうです。
竹内さん(以下竹内) 僕はアキラみたいに想いに突き動かされて行動するよりも、実はけっこう考えてから動く慎重派で。演技でも「こうなってこうだから」と理論づけてから取り組みます。もちろん根本には情熱があるし、そういう意味ではアキラと重なる部分があります。流星くんとはキャスティングが逆でもおもしろかったかもって話をしたよね。
横浜 でしたね。皆さんが考えるイメージとしては今の配役なんでしょうけど、想いに突き動かされて行動するアキラに共感する部分も多いです。
アキラが冷徹な上司と対峙するシーン、あれを自分もやってみたくて。どれだけ想いをぶつけても、壁のように跳ね返されるのはどんな感覚なのか、興味を惹かれます。
竹内 僕もあきらと弟の龍馬のシーンは演じてみたかったですね。家族とは一定の距離を置いているあきらだけど、弟を守りたい気持ちがにじみ出てるのがいいよね。
ネガティブな面が見えたときに人との距離が縮まるのかも
生い立ちからして正反対な2人がやがてお互いがなくてはならない存在に。2人にもアキラとあきらのような関係の友達はいる?
横浜 まず、僕に御曹司の友達がいないので(笑)。育った環境が違いすぎると、どこで出会えるかわからないですよね。
竹内 そうかも。あきらみたいな御曹司が集まるパーティーに行ったことはないし(笑)。
横浜 でも、仲よくなるのに育った境遇はあんまり関係ないかな。僕と仲のいい友達は“嘘をつかない”ところが共通してます。
竹内 それ大事だね。
横浜 かっこつけたい気持ちって誰にでもあるものですけど、必要以上に自分を大きく見せない相手は信用できるなって。
竹内 「この人いいな」って思う瞬間って、実はかっこいい面よりも、本人は隠したいネガティブな部分が見えたときかもしれない。
横浜 うん。それありますね。
竹内 あえて見せるんじゃなくて、ふっとそういう一面がのぞくと、「わかる!」って共感できて、距離が縮まるような。
横浜 そうですね。僕はかっこつけることも、わざわざ弱点見せることもなく、ありのままを見せちゃうタイプですけど(笑)。
共演の先輩から教わった俳優としてのこれから
映画の中で見逃せないのが、竹内さんのガシッと厚みのあるボディ。いかにもアキラらしく、ピンチを救ってくれそうで頼もしい!
竹内 そうですか!?(笑) むしろ撮影のときは、体を絞っていたタイミングだったんです。
横浜 そういえば、僕たちのスーツのシルエットがかなり違いますよね。僕のほうはタイトなシルエットで、体型に合わせてフルオーダーで作っていただいたもので。
竹内 僕のスーツはクラシックなボックス型なので、それでがっちり見えてたのかも。スーツだけじゃなくてカバンも時計も全然違うんですよ。アキラが身につけているものは、タフな作りで営業向きだと思います。
2人のキャラクターをきわだたせるディテール、そして豪華な共演者も注目したいポイント。
横浜 僕は父親役の石丸幹二さんが印象的です。初めてお会いしたときから包み込まれるような父親らしさがあって、安心感と信頼感を持って芝居ができました。
竹内 アキラの上司である不動役の江口洋介さんとのシーンは、緊張感がありました。不動さんのたたずまいは、今回の物語に不可欠です。江口さんと撮影の合間にお話しして心に残っているのが、「今がすごく充実している」という言葉。僕も流星くんもそうだと思うんだけど、20代前半にいろいろな経験をさせてもらったからこそ、20代後半の今、ものすごい勢いで自分の内面が変わっていく感覚があって。
横浜 半年刻みくらいで、どんどん変化していくような。
竹内 そうそう。そうするとたまに自分の内面の変化と、それが周りに浸透するスピードがズレることもあるけど、江口さんは50代になった今、それが一致して、やりたいことができているっておっしゃっていて。
横浜 かっこいいですね。
竹内 「かっこいい…」ってなったよ。僕もそういう50代を迎えられるように頑張っていこう、って思えました。
楽しい瞬間を明確にしていけば試練は試練ではなくなる
劇中のアキラとあきらのように、竹内さん、横浜さんもこの年齢にして、多くの試練にぶつかってきたはず。どう対峙してきた?
竹内 仕事に限定して話すと、僕らは作品づくりが好きなので、出演作が話題になったり人気になったりすることはうれしいですが、それ以上に作品づくりの過程をどれだけ充実させるかが大事だと思うんです。自分が楽しい瞬間、好きな瞬間を明確にして追求する。そうすれば、試練も乗り越えられるんじゃないかな。
横浜 こうやって作品づくりにかかわれている時点で、もうすごく幸せなことだなと思うんです。それで“試練”なんて言ってたら、贅沢すぎる話だなって。
information
『アキラとあきら』
父親の経営する町工場が倒産し、過酷な幼少期を過ごした山崎瑛〈アキラ〉。大企業の御曹司に生まれながら次期社長になることを拒絶する階堂彬〈あきら〉。
対照的な宿命を背負った同じ名前の2人が、日本有数のメガバンクに入行。ライバルとしてしのぎを削っていた2人は、やがて立ちはだかる「現実」と戦うことに! 全国東宝系にて公開中。
●『アキラとあきら』公式サイト:https://akira-to-akira-movie.toho.co.jp
アキラ(竹内さん)とあきら(横浜さん)が
こっそり教えてくれた隠れた見どころは?
「アキラが福山に異動になるエピソードがあるのですが、地方支店のエキストラの皆さんは本物の銀行員なんです。稟議が上司に通らないときは本当につらい! など、現場の生の声を聞けました」(竹内)
「あきらはフェーズごとに、細かく髪型を変えてるんです。内面の成長とともに変わる髪の分け目にも注目を」(横浜)。
Profile
竹内涼真さん
たけうち・りょうま●1993年生まれ、東京都出身。2014年『仮面ライダードライブ』に出演し話題に。映画、ドラマ、舞台に幅広く活躍中。これまでドラマ『下町ロケット』『陸王』と、池井戸作品でも印象的な役柄を演じている。主演ドラマ『六本木クラス』が放送中。
●Instagram:takeuchi_ryoma
●Twitter:takeuchi_ryoma
横浜流星さん
よこはま・りゅうせい●1996年生まれ、神奈川県出身。ドラマ『初めて恋をした日に読む話』『DCU』、Netflixドラマ『新聞記者』、映画『嘘喰い』『流浪の月』と話題作に続々出演。映画『線は、僕を描く』『ヴィレッジ』と主演作も多く待機している。
●Instagram:ryuseiyokohama_official
●公式サイト:yokohamaryusei
撮影/田上浩一 ヘア&メイク/吉村 健(竹内さん) 永瀬多壱(Vanites)(横浜さん) スタイリスト/徳永貴士(竹内さん) 伊藤省吾(sitor)(横浜さん) 取材・文/古川はる香
こちらは2022年LEE10月号(9/7発売)「竹内涼真さん×横浜流星さん『作品づくりが楽しい。だから、その過程にはこだわっていきたい』」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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