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恋人への飾らない思いを、ディズニーの『アラジン』をモチーフにした歌詞にのせた『魔法の絨毯』。この曲が2020年夏、TikTokをきっかけに話題になり、一気にブレイクしたシンガーソングライター川崎鷹也さん。ハスキーな低音ボイスが魅力ですが、塩顔メガネというルックスにも密かに注目が。
思い入れが強すぎて歌えなかった“あの人”の曲に挑戦
────川崎鷹也さん
「『魔法の絨毯』は彼女と劇団四季の『アラジン』を観に行ったのをきっかけに書きました。当時の僕は音楽では全然芽が出なくてお金もない。かたや同じ高校の2つ上の先輩だった彼女はすでにバリバリ仕事をしている。そんな彼女に自分が釣り合っているか、自信が持てずにいたんです」
それでも彼女のことを手放したくないという思いが響く楽曲。プライベートとリンクした曲を書いたのは、実はこれが初めてだったとか。
「それまでは楽曲とプライベートは直結していなくて。その2つが自然につながった歌詞を書くようになったのは、彼女の存在がきっかけです。その彼女が、今の妻ですが(笑)」
昨年、松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバムで歌った『君は天然色』も絶賛された川崎さんがこのたびリリースするのは邦楽の名曲のカバー5曲を収録した『白』。
「僕自身、親世代が聴く楽曲がすごく好きで。親世代の名曲を僕やその下の世代にもっと伝えたいと思ったんです。そのうえで、僕の大切な思い出が詰まった5曲を選びました」
1曲目の『愛燦燦』(美空ひばり)は川崎さんの祖母が愛した曲。
「譜面どおりに歌ってみても、原曲と何か違って聴こえて。やっぱり美空節というか、独特のピッチ感やニュアンスがあるんですね。そこをつかむために音源を何種類も聴いて、歌ってみて、を繰り返しました」
『メロディー』(玉置浩二)は、思い入れが特に強い楽曲だそう。
「人前で歌うと決めたとき、どういう体の使い方をするとあの声が出るのか、ああやって響かせられるのか、玉置さんの曲や映像で相当研究したんです。僕の中で“玉置浩二”という存在は別格すぎて。これまで思いを語ったこともないし、音楽番組で玉置さんの曲を歌ってほしいとオファーがあってもすべて断っていた。でも今回、アレンジを担当してくれた武部聡志さんから“鷹也の大切な曲なんだから、歌わないとダメじゃない?”と背中を押していただいて覚悟を決めました!」
現在、2歳のお子さんの育児中の川崎さん。慌ただしい日々が予想されるのに、前述の奥さまとはケンカはないとか。その秘訣は?
「家事育児分担はもちろんですが、夫婦仲のためには1日15分は会話をしたほうがいいと聞いたことがあって、それはどこかで意識してるかも。“保育園でこうだった”って子どもの話はもちろん、“今日こんな人に会ったよ。こんな仕事をしたよ”ってお互いの仕事の話もよくします」
最後にかわいい盛りのお子さんエピソードをいただきました♡
「僕のアクセサリーをつけてあげたら、一旦どこかに行った後、“たかやです!”ってポーズを決めて登場して(笑)。これが息子の中でのパパ像なのか!と。家でも僕の曲をかけるし、家族で新作MVの確認もするので、僕の仕事を認識はしてるみたいですね。そのうち“パパ、この曲はこうしたほうがいいよ!”ってアドバイスしてくれるかも(笑)」
かわさき・たかや●1995年生まれ、栃木県出身。2018年、インディーズからリリースしたアルバム『I believe in you』収録の『魔法の絨毯』が、2020年8月TikTokで人気に。総ストリーミング回数も1億7000万回を超える。2021年12月、メジャー初アルバム『カレンダー』をリリース。
Instagram:kawasaki_takaya
Twitter:kawasaki_takaya
公式サイト:https://kawasaki-takaya.com
COVER EP『白』
『愛燦燦』(美空ひばり)、『悲しみの果て』(エレファントカシマシ)、『元気を出して』(竹内まりや)、『366日』(HY)、『メロディー』(玉置浩二)と、「大切な人との想い出をつなぐ曲」をカバー。いずれも時代を超えて聴かれる名曲。「『悲しみの果て』は夢を叶えるため、一緒に栃木から上京した高校からの親友(現在のマネージャー)と自分の“テーマ曲”なんです」。9月14日発売。(ワーナーミュージック・ジャパン)
撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/高徳洋史 スタイリスト/李 靖華 取材・文/古川はる香
こちらは2022年LEE10月号(9/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
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