からすのパンやさん、だるまちゃんに会いに行こう！

 

東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて、絵本作家のかこさとし（加古里子）さんの展覧会が開催されています。

「だるまちゃん」シリーズや『からすのパンやさん』ほか、『どろぼうがっこう』など、誰もが知っている名作がたくさんありますね。

LEE読者のみなさんも親子何代にも渡ってファン！という人も多いんじゃないでしょうか。

 

かこさとしさんは、2018年に92歳でこの世を去るまで、600冊を超える作品を残しました。今回のかこさとし展では、絵本作家になるずっと前、若いころに描いた油彩画なども展示されています。

 

 

会社員時代にセツルメントと呼ばれる、戦後の子どもたちのためのボランティア活動をしていた、かこさとしさん。当時、仕事の合間に、子どもたちのための紙芝居を作って、集会で披露していたそうです。

その貴重な紙芝居作品も並んでいます。かこさんはこの活動を通じて、どんな作品が子どもの心を動かすのかといった、児童心理をつかんだのです。

その後、彼が描いた絵本に繋がっているということを知ると、また作品の見え方が変わってくるから、おもしろいですね！

 

かこさんが一生をかけて、子どもたちに伝えたかったこと

 

初期から晩年までの作品と資料を第１章～第５章に分けてたどることで、絵本を通してかこさとしさんが伝えたかった想いを受け取ることができます。これまで世に出ることがなかった貴重な原画から、かこさんが実際に絵本を描くときに使っていた道具まで展示されているのです。

 

自分が幼いころ、だるまちゃんを保育園の先生に読んでもらった記憶や、子どもに読み聞かせたときの気持ちなどを思い出したりして……。これからも伝承されていく、かこさとしさんの絵本で子どもたちが育っていった未来は、どんな風だと幸せなのかと考えたりしました。

 

 

未完の大作〝生命図譜〟が初公開に！

 

かこさんといえば、『人間』、『地球』、『宇宙』などといった、科学絵本も描いています。実はかこさん、工学部で応用化学を学び、科学者を目指した経験をもっていたのをご存じですか？

最晩年に描いた「宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜（通称：生命図譜）」（複製）が、今回初公開されています。

地球の生命体すべてを描いたというほどの原画は古く繊細な紙に細かに描かれていたため、現在の技術を駆使して複製し、今回の展示が叶いました。高さ約1,5ｍ、幅約5mという原寸大に復元したものもあります。

 

加古総合研究所 代表の鈴木万里さんは、たくさんの人から同じような質問を受けることが多いと語ります。

 

「（かこ）先生がいらっしゃったら、パンデミックの状況を見てどんな風におっしゃったでしょうか？」という質問です。鈴木さんご自身も聞いてみたかったといいます。

 

「その答えとまではいかないかもしれませんが、もしかしたら、この図譜にヒントがあるのかもしれないと思い当たりました」と鈴木さん。

 

2019年NHKの日曜美術館の中で、この図譜を描く理由を問われたかこさんは、「この人間のアイデンティティをきちんと知るためには、地球上の生物すべてはビックバン以降に誕生したもの。生命の誕生、地球の誕生、宇宙の誕生を一望にして、人間存在の意義と言うものを見ていかなければ確かなことはわからないのではないか？」といった趣旨のことを語ったそうです。

 

〝絵を描く科学者〟が遺した大作を、ぜひみなさんも自分の目で確かめて人間ってどんな存在なのかを家族で語り合ってみてくださいね。

からすのパンやさんのフォトスポットも！

 

言わずと知れた、かこさんの名作『からすのパンやさん』のフォトスポットも用意されています。個性豊かなパンが絵本から飛び出してきたかのようでとても楽しいコーナーですね。夏の思い出に家族で写真を撮ってみてはいかがですか？

 

グッズショップもあり、『からすのパンやさん』や「だるまちゃん」シリーズなどの文房具のほか、ぬいぐるみ、かわいらしい巾着や食器も販売されています。

 

なんと！小学生と未就学児は（保護者の同伴が必要）入場料が無料です！！ぜひ家族で遊びに行ってくださいね。

 

『かこさとし展　子どもたちに伝えたかったこと』

会期：2022年7月16日（土）～9月4日（日）

会場：Bunkamura ザ・ミュージアム

※会期中のすべての土日祝および、8月29日（月）〜9月4日（日）は、一部オンラインによる入場日時予約が必要です。

かこさとし展　公式サイト