夏休みに親子で学ぼう!
夏休みが始まり、8月後半に突入!みなさん、楽しんでいますか?私の小学生の頃の夏休みの思い出といえば……8月31日に宿題が終わっていなくて冷や汗が出たことです(笑)。自由研究の宿題、これが何をすればいいのかとくに苦労しました。
いまは、自由研究の宿題はやってもやらなくてもいいという学校も増えたようですが、親子で学べる良い機会になるといいですよね。そこで、3組の親子に昨年の夏休みに「親子で学んだこと」についてお話を聞きました。
1組めは…「誰かの役に立ちたい!」ヘアドネーションに挑戦した、健瑠さん
バレエをこよなく愛する男女の双子、健瑠さんと里都さん。昨年4年生10歳の夏、健瑠さんは、ヘアドネーションに挑戦しました。バレエの発表会ではロングのまま出演したいとのことで、発表会終わりでバッサリと40㎝以上カット!
きっかけは大阪に住む男の子がヘアドネーションをしたというニュースを見たこと。寄付した髪が小児用の医療用ウィッグになると知って、1年生から髪を伸ばし始めたそうです。
今回はJR大久保駅から徒歩2分のヘアサロン「hair&make R」の清水利枝さんがカット。ヘアドネーションする場合は、髪が濡れていると受付してもらえないので、シャンプーする前に束ねてカットします。40㎝以上あるとロングのウィッグが作れるので、よろこばれるそうです。
赤ちゃん時代の術後写真が心を動かした
「実は健瑠は赤ちゃんの頃に頭の手術をして、丸坊主にしたことがあるんです。当時の写真を見て、僕は赤ちゃんだったからよかったけど、これがいまの自分と同じくらいの年の女の子だったら……といつもそばにいる里都と重ねて想像したのかもしれませんね。自分の髪の毛が、役に立ったらいいなと言っていました」とお母さんの里恵さんは語ります。
トイレに入ろうとしたら、見知らぬおばさんに「そっちは男の子だよ」と止られたり、レストランでプリキュアのおもちゃを渡されたり……と、女の子に間違われるシーンもあったそうです。綺麗な髪を保つために、毎日のトリートメントも欠かさず4年間伸ばし続けて65㎝ほどになりました。
自分が健康でいるということは、病気の人もいる……。というように、自分は何ができるかをよく考えて行動する健瑠くんは、本当に素敵ですよね。病気で髪を失った人の全員がウィッグを求めているわけではないとは思いますが、このような活動があることで、ウィッグという選択肢が生まれます。
もうひとつ、別の課題として、人目を気にすることなく、ありのままの姿で生活できる世の中にしていくことも、私たちはしっかりと考えなければなりませんね。
2組めは…「永遠の図書館」で戦争について考えた、吉川さん親子
今年の2月24日、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まりました。5か月以上経ったいまも、事態は収束の目途も立っていません。大人も子どもも戦争について考える機会は増えたと思います。
それでも、日本が戦争をしていた頃のことをリアルに感じることはなかなか難しいことです。改憲についての問題もあるなかで、自分が体験していない戦争について、親としてしっかり子どもに伝えることは、難しいのではないでしょうか。
昨年夏、料理家・ライターの吉川愛歩さん親子は、館山にある「永遠の図書館」へ出かけて、日本の戦争の歴史について考えてきたそうです。2022年7月1日現在、こちらの図書館には6433点の本が集められています。
「当時、中2の長女と保育園年長6歳だった長男を連れて、行ってきました。館山というあまりに東京から近い場所に、戦争の遺跡が残っているということを全然知らなかったのですが、知人から永遠の図書館のことを聞いて、戦争について話すのにいい機会になればと」と吉川さん。
吉川さんは、自衛隊に興味をもっていた長男から「自衛隊って何?」という質問を受けたそうです。説明するためには、戦争や日本の歴史について話すことを避けては通れないと感じていたそうです。
防空壕跡地で感じたリアルが考えるきっかけに
「長女は韓国のアイドルが好きだったのですが、韓国には兵役があると知って、戦争が起こらないでほしいと思ったようです。防空壕の跡地(館山海軍航空隊赤山地下壕跡)にも行って……ここが本当に怖くて。こんな場所で空襲が去るのを待っていたなんて信じられないと話していました」
実際の防空壕のあった場所に行ってみると、本の中だけでは想像ができなかった感情があふれてきたようです。
「息子はアーミー柄や自衛隊の写真が気に入って、図書館でも自衛隊はかっこいいと言ってたんだけど、『悪いことをしていない人と殺し合うのはなんでなの?』 と、戦争自体の意味を理解するにはまだまだ遠そうでした。何度も来ることで少しずつ理解が進めばいいなと思っています」
いま小学生の子どもたちの祖父母も、戦争を知らない世代の人が多いでしょう。世界情勢がこのような状況なので、この夏に戦争について親子で調べる時間をつくることはとても意義のあることですね。
3組めは…「ごみを減らしたい!」とコンポストに挑戦したMさん
「草と話せるよ!」という、植物大好きなMさんの昨年夏の夏休みの自由研究は、コンポストチャレンジでした。実はコンポスト自体はお母さんのゆうかさんが、先に始めていました。日々観察していたMさんではありましたが、改めてオンラインでコンポスト講座を受けるところからスタート。
コンポストとは、生ごみを微生物のちからでたい肥に変えるものです。コンポストについて、かわいらしいイラスト入りの、とてもわかりやすいレポートが完成しました。日本の食料廃棄量が年間、東京ドーム5個分だとか、2050年には魚よりも海のプラスチックごみが上回るかもしれないなどという衝撃の事実を知り、ごみを減らしたいと改めて思った、Mさん。
都会でも循環する暮らしは叶う
実はお母さんは、世田谷を中心に「循環する暮らし」を提案する活動を行う、暮らしmarcheを主宰する、かなざわゆうかさんです。「はじめてのLFCコンポスト講座」や蜜蝋エコラップを作るワークショップなどを、都内のカフェやイベントで行っています。
「こんなにもちゃんとコンポストのことを理解してたのかと、娘の成長に気づかされました。このときまでは、私が主にコンポストを混ぜたりしていましたが、自由研究をきっかけに娘専用のコンポストを作ったんです。〝自分事〟として取り組む姿が嬉しく感じました」とゆうかさん。
ゆうかさんがコンポストをはじめたきっかけは、ご主人の転勤のため、しばらく住んでいた伊豆諸島の新島での暮らしだといいます。島暮らしが始まった頃は、スーパーマーケットがない、飲食店が少ないことに目が向いて「何もない!」と思っていたそうです。
「きれいな海と広い空、手つかずの大地がありました。島の人たちはあたたかくて、人と人とのつながりに助けられて。もしかしたらここには何もないのではなく、何でもあるのかもしれないと感じたのを、いまでもよく覚えています」
都内でのマンション暮らしでも、コンポストでたい肥を作って、ベランダ菜園で土に触れる。とてもリラックスできる、大切な親子の時間となっているそうです。毎日出る生ごみを、自宅で土にかえす。みんなで取り組めば大きな結果を生み出せますね。
今回は、3組の小学生が昨年夏に取り組んだ、課題についてご紹介しました。夏休みもあと少し!「よく学び、よく遊べ」で元気に過ごしてくださいね。
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上紙夏花 Natsuka Uegami
ライター/ビューティープランナー
1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳