日本最古の温泉と言われる愛媛県松山市にある道後温泉。市街地から近く、シンボルの道後温泉本館を中心にコンパクトにまとまっているので、徒歩移動しやすく、よちよち歩きの子供と一緒でも満喫できるのが魅力です。
そんな道後温泉が今、温泉×アートという新たな試みでも注目を集めているのをご存じですか?
2014年に本館改築120周年を迎えたのを記念し、アートフェスティバル『道後オンセナート 2014』を開催。続く2015年には写真家の蜷川実花さんとコラボレートして『蜷川実花×道後温泉 道後アート2015』を行い、国内外から若い女性を中心に多くの人が訪れました。
そして今年度は日本を代表する現代美術家・山口晃さんをメインアーティストにした『「街歩き旅ノ介 道後温泉の巻」山口晃 道後アート2016』を開催しています。
今回はLEE世代に向けた子連れで楽しめる『道後アート2016』を前後編に分けてナビゲート! 前編は立体作品を中心にお届けします。
現代美術家・山口晃さんとは?
日本の伝統的絵画の様式をベースに、過去と今を混在させたり、画面を埋め尽くすように描き込む絵画など、ユーモアとシニカルを織り交ぜた作風が山口さんの特徴。
成田国際空港や東京メトロ副都心線のパブリックアートを手がけるほか、新聞小説や書籍の挿絵・装画、CDジャケットなど活動は多岐に渡ります。2007年に会田誠さんと上野の森美術館で行った二人展『アートで候。会田誠 山口晃展』をはじめ、2013年には群馬の県立館林美術館で『山口晃展 画業ほぼ総覧ーお絵描きから現在まで』などを開催。2012年11月には平等院養林庵書院に襖絵を奉納し、特別公開されました。
スタートは道後温泉駅から
道後温泉の最寄り駅は、道後温泉駅。『道後アート2016』はこちらを起点に出発!
駅には復元された蒸気機関車の『坊っちゃん列車』も。こちらも運行されており、乗車できます。
道後の玄関を湯玉でドレスアップ
「道後温泉観光の顔となる場所なので、お化粧しよう」という地元からの発案で誕生したのが、駅の正面にあり、道後温泉本館と繋がる道後商店街の入口に設置された『鈴生り門』。
山口さんの手による道後と描かれた大きな提灯を中心に、たくさんの小さな提灯が集まっています。小さな提灯に描かれたイメージは、お湯がわき上がる泡をイメージした道後温泉のシンボル『湯玉』をモチーフに、山口さんがデザイン。
『鈴生り門』をくぐって商店街に入ったら、商店街の店舗で販売されている『道後エトランゼマップ』を手に入れましょう。
これは道後を巡った山口さんが特に印象深かった風景を10点描いたガイドブックで、道後歩きの参考にしたり、山口さんの絵と実際を見比べたりなどの楽しみ方ができます。
山口さんの希望で本館裏に登場したものは?
道後商店街を抜けると、本館に辿り着きます。本館の周囲にも2つの作品があります。
本館の裏手にあるのが『要電柱』。本館の周囲は景観上、電柱を埋設してありますが、電柱好きの山口さんたっての希望で立てたそう。
緑青色の屋根など、本館の造作とリンクさせています。
『要電柱』のすぐそばにあるのが『見晴らし小屋』。坂の上の湯神社へと続く途中に設置されています。
小屋は全部で3つ。こちらも本館に似せた緑青色の屋根が目印です。
一番上まで上ると、本館を見渡せます。
TVや雑誌などで本館が紹介される時は、正面からがほとんど。あまり見る機会のない上からの姿は新鮮に映りますよ!
また『見晴らし小屋』の近くには、1ページ目で紹介した『道後エトランゼマップ』の中からピックアップした『上人坂』もあります。山口さんの絵と見比べてはいかがでしょう。
後編は本館や各ホテルに飾られてある山口さんの作品をご紹介します。
■『「街歩き旅ノ介 道後温泉の巻」山口晃 道後アート2016』
日本最古の温泉にアートを取り入れ、新たな道後温泉の魅力を発信するアートフェスティバル。
道後に縁の深い夏目漱石の没後100年、小説『坊っちゃん』発表110年となった2016年は、メインアーティストに山口晃さんを迎え、夏目漱石が“よそもの”の視点で『坊っちゃん』を書いたように、山口さんも“よそもの”視点で道後を描く。絵画や立体・建築的手法、インスタレーションなどで、見慣れた街の風景を少し不思議に見せる作品たちが街に出現する。
2017年8月31日(木)までの展示。
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。