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初めてのエッセイを発表した広末さん。哲学者や尊敬する女性たちの名言からインスピレーションを受け、彼女の心に湧き上がったことを書き綴ったパワフルな一冊に。
40代の今だからこそ、“書く”ことに挑戦できました!
────広末涼子さん
「最初は具体的なテーマは決まっていなかったんです。だから“広末涼子ライフスタイル本”でもよかったし、シリアスな告白本でもよかったかもしれません(笑)。ただ私、10代でお仕事を始めた頃から哲学書が大好きだったんです。お芝居で人の感情に浸る分、理論的な言葉に触れ、心を切り替えていました。そうやって哲学を身近に感じていたのに、20代、30代と年を重ねるうちに、だんだん遠ざかってしまっていて。もしかしたら同世代の方々も同じかなと思ったのでインパクトのある名言と、私の短いエピソードをまとめることにしました」
俳優として活躍し続けながら、3人の子を育てる日々。「1日24時間は足りない! そんな生活がもう10年以上も続いています」と笑います。執筆時間はこうキープしたとか。
「子どもたちが起きる前の、朝の2時間で書いていました。もともと朝は家事を全部やり、思い残すことなく仕事に出たいタイプ。ベッドの中でゴローンとか、一杯のコーヒーを楽しんで、みたいなのができない性分なんです(笑)。4時半や5時に起き、洗濯や料理をこなせたら、やったあ! 充実した! と。それが、一人静かに思い出や、今感じることを言葉にする時間を持つのはなんて豊かなんだろう。効率よく動くのもいいけれど、静寂を味わう素晴らしさにも気づかせてもらいました」
そして今回のために原稿用紙と、新しい文房具を用意したのだとか。
「スマホで書いてもよかったのですが、自分の思いに集中するためにも手書きを選びました」
デビュー時の記憶。がむしゃらだった時代。出産や家族、友達への感謝など、彼女の活動を見守ってきた30代・40代にとっては、こんなにポップに伝えてくれるの?と思えるお話がたくさん。「40歳を越えたからこそ、楽しんで書けたのかも」と。
「10代~30代の頃はパーソナルな部分を露出するのが恥ずかしかったし、誰かに読んでもらえる文章を書く自信なんてとてもなかったです。でも自分を何かと比べる意識がなくなったのか、どこでも等身大でいいと思えるようになったのか……年齢を重ねて少し図々しくなったのかもしれません(笑)。出来上がった一冊はわが子みたいな特別な存在になりました。でもそれぐらいお芝居中心で生きてきた私にとってエッセイは、大きなチャレンジでした」
そして今は、仕事と家庭、自分時間のバランスの取り方も少しずつ変わってきたそう。
「長男が高校生になり、趣味の時間を持ってもいいのかな?と思えるようになりました。習い事をすることは、よほど余裕がないとできないと思っていたんです(笑)。でも息抜きやゆとりは大事だし、あえてそういうひとときを持つからこそ、家庭の中で笑顔でいられるんだと気がついたんですよね。陶芸やフラワーアレンジメントと、今、興味があるものはいっぱいあります(笑)。書くことですか? それは受け止めてくださる方がいるならまた挑戦したいです!」
ひろすえ・りょうこ●1980年生まれ、高知県出身。’94年にCMオーディションでグランプリを獲り、デビュー。以来、映画、ドラマ、CMと多方面で活躍中。『おくりびと』『ゼロの焦点』『鍵泥棒のメソッド』など、代表作も多数。出演映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』が6月17日公開予定、『あちらにいる鬼』が11月に公開予定。
Twitter:ryoko_staff
公式サイト:https://www.flamme.co.jp/actress/profile.php?talentid=1
『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』
広末さんが親しんできた哲学者や、尊敬する女性たちの言葉を軸に、これまでの経験や今の自分を綴った初エッセイ。LEE読者と同世代の彼女の本音に、ハッピーをもらえる一冊! 自身が撮影した日常風景や執筆時の写真も掲載。また全60篇のエッセイから選りすぐりの7篇を彼女が朗読した特装版も同時発売。(通常盤¥1650・NFTデジタル特典付き特装版¥2640/宝島社)
撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/倉田明美(THYMON Inc.) スタイリスト/岡本純子 取材・文/石井絵里
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