更年期のはじまりから閉経後まで、エストロゲンが減ることで心身には具体的にどのような影響が? あくまで目安で個人差はあるけれど、おおよその時期と起こりがちな不調を知ることで、心構えやできる限りの対策を。
教えてくれたのは
産婦人科医 高尾美穂さん

女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。「すべての女性によりよい未来を」をモットーに、日々の診療を中心に、メディアやセミナー等でも活躍。『いちばん親切な更年期の教科書』(世界文化社)ほか著書多数。
Instagram:yoginidr_miho
Twitter:mippolin78
公式サイト:mihotakao.jp
40代前半
月経の変化
生理周期が短くなる、経血の量が減るなど
最もわかりやすい更年期の最初のサインは、生理の変化。卵巣機能の低下により、順調だった周期が3週間程度に短くなったり、経血量が減るケースが多い。逆に周期が長くなるor量が増える人もいて、現れ方には個人差が。

45歳〜50代前半
自律神経失調症状
のぼせ、冷え、異常発汗、動悸、めまいなど
エストロゲンの減少によって脳の視床下部の働きが乱れ、自律神経のコントロールにも支障が。突然の発汗や、冷え、動悸などの身体症状が現れ、更年期の不調は種類も程度もピークに。そんな中で50歳前後で閉経を迎える。
●閉経の平均年齢は50.5歳

40代後半〜
精神的な不調
倦怠感、不眠、不安、イライラ、怒りっぽさ、落ち込み、もの忘れ、集中力の低下など
エストロゲンの減少にともなって、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンや睡眠物質のメラトニンの分泌も減少。自律神経の不調による症状も重なり、不眠や不安、イライラなど精神的な不調も起こりがちに。

ほかにも並行して、こんな症状が出がち!
白髪・抜け毛・薄毛、肩こり・腰痛・頭痛、太りやすくなる、老眼・疲れ目、むくみ、シミ・シワ・肌の乾燥など

精神的な不調と並行して、更年期初期から、上記のような体や美容面での変化も出始める。エストロゲンは皮膚・粘膜の保水力、髪の太さや密度などにもかかわるため、分泌量が減ることで美容面に大きな影響が。腰や肩の痛みといった体への症状が現れる人も多い。
50代半ば〜
血管への影響
脳卒中、動脈硬化、高血圧
閉経してエストロゲンの分泌量がとても少なくなることで、太りがちになったり、コレステロール値が上がって血管が硬くなりやすくなる。高血圧や動脈硬化など生活習慣病のリスクも増大。
50代後半〜
泌尿器や生殖器のトラブル
尿漏れ、頻尿、腟炎、外陰部の乾燥、性交痛など
エストロゲンは筋肉量の維持にもかかわるため、減少で子宮や膀胱を支える骨盤底筋も弱くなり、尿漏れや頻尿、性器脱などのリスクも上昇。また、外陰部や腟内の潤いや弾力が減り、性交痛が出ることも。

60歳頃〜
骨量の低下
骨折、骨粗しょう症
骨密度は閉経後2年で急激に減り、その後は年に2%ずつ減少。閉経後15年ほどでかなり低下してしまう。骨粗しょう症や骨折のリスクが高まるため、年一度は骨密度を測ることが望ましい。

ほかにも閉経後に増えるリスクは…
生活習慣病、歯周病、脂質異常症、糖尿病、骨盤臓器脱、がん、メンタルダウンなど
女性のあらゆる健康にかかわっていたエストロゲンがなくなることで、生活習慣病から骨粗しょう症、性器脱までさまざまな病気や不調のリスクが増大。でも早いうちから運動や生活習慣を改善することで、確実にリスクは下げられる!
▼【特集】備えあればうれいナシ!「更年期」徹底予習
詳しい内容は2022年LEE6月号(5/7発売)に掲載中です。
イラストレーション/黒猫まな子 取材・原文/遊佐信子
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