この春、中島さんが届けてくれるのは苦しいほどに切ない壮大なラブストーリー。
Netflix映画『桜のような僕の恋人』を経験して感じた"いつも隣にいてくれる人の大切さ"。
桜が咲き誇る季節に語る、大切な人のハナシ、父と母のハナシ。
profile 中島健人さん
なかじま・けんと●1994年3月13日生まれ。Sexy Zoneのメンバーであり多彩な才能を武器にバラエティ番組等でマルチに活躍。昨年はドラマ『彼女はキレイだった』が話題に。役者としても注目を集めている。
思い出がたくさん詰まった母の手作りおにぎり
「桜を見るたびに思い出すのは入学式や新学期。“今年はどんな出会いが待っているんだろう”とワクワクしながら教室に入った記憶。なかでも忘れられないのが、小6の新学期。僕には小4から片想いしている女の子がいたんですけど、心の中にずっと抱き続けていた“その子と同じクラスになりたい”という願いが、そのとき初めて現実になったんですよ」
そう笑いながら「夢や目標を持ち“叶う”と信じ続けるのは大事なこと。絶対にこうなれる、自分にもできるはずだ……。僕自身、そんな自己暗示に背中を押されここまできたようなものですからね」と言葉を続けた中島さん。
「自己暗示が必要だったのは、自分に自信がなかったからなのかな。ジャニーズ事務所に入ってからの僕は決して順風満帆ではなくて。最初の頃は、注目を集めている仲間をうらやましく思ったり、自分の実力のなさに落ち込むこともすごく多かったんですよ。そんなとき、僕を支えてくれたのが“大丈夫、お前ならできる”という父の言葉と、“おなかがすいたら食べなさい”と母がいつも持たせてくれるおにぎりだったんです。思いどおりに踊れず悔しい思いをした日も、先輩の舞台の出演者候補に自分だけ入れなくて泣きながら帰った日も……。レッスン場や駅のホームで、父親の“大丈夫”を思い出しながら、母のおにぎりを食べると元気が出た。その時々、いろんな具が入っていたけど、僕が一番好きなのはスパムおにぎりで。それが入っていた日はもっと頑張ろうと気持ちが前を向いたりして。母のおにぎりにはたくさんの思い出が詰まっているんです」
悔しさが力に変わるのは今も昔も変わらない
キラキラと輝きながらトップアイドルへの階段を駆け上がってきたように見える中島さんだが、実はたくさんの悔しさをバネに成長してきた人。
「正直、あまり悔しい思いはしたくないんですけど、残念ながらそうなんですよ(笑)。負けず嫌いな性格もあるんでしょうね。目の前に壁が現れるたびに“負けてたまるか、オレならできる、絶対に乗り越えてやる!!”と全集中。結果、それが今の自分の血となり肉となっているっていうね」
そんな自分の性格は主演映画『桜のような僕の恋人』の現場でも痛感。「撮影を終えた今、役者として成長できた実感はあります。それはもう深川(栄洋)監督に厳しく鍛えられて、悔しい思いもたくさん経験したので」と続ける。
「撮影に入る前、監督が僕と共演者の松本穂香ちゃんに言ったのが“恋人役を演じるためにお互いのことを知ってほしい。メモでも手紙でもいいから、自分のことを紙に書いて交換してください”という言葉でした。そこで、僕が作ったのが、パソコンのワードを使い、自分についてみっちり書き込んだ、会議用のレジュメみたいなもので。それをプリントアウトして意気揚々と現場に向かったら、その場にいた全員がキョトン。申し訳なさそうにノートを切った紙を差し出す穂香ちゃんを前に、監督から“健人君はもっと肩の力を抜いて自然体になったほうがいいですね”という言葉が。演技を披露する前からダメ出しされていましたからね(笑)」
シュガーのような父
スパイスのような母
美容師の美咲(松本穂香)に恋をして、彼女にふさわしい男になるべく、カメラマンになる夢と向き合い始めた晴人(中島健人)。二人の恋が動き始めたそのとき、衝撃的な事実が発覚してしまう……。苦しいほどに切ない純愛を描いた、Netflix映画『桜のような僕の恋人』。
「監督から何度も言われたのが“役を生きてほしい”という言葉。撮影中は晴人として生き、切なく愛おしい壮大な恋を経験しました。晴人と美咲の恋が教えてくれるのは、時間は有限であり、今あるものは当たり前ではないということ。今作はいつも隣にいてくれる人の大切さもあらためて感じてもらえる作品になっていると思います」
そう語る中島さんに「あなたの大切な人は誰ですか?」と尋ねると「それはやっぱり家族になるのかな」という答えが返ってきました。
「両親をひと言で表現するなら“シュガー&スパイス”。僕の母はそれはもう厳しい人で。人としてはもちろん、男性としてのマナーにもうるさく、幼い頃からレディファースト精神を叩き込まれてきたんです(笑)。そんな母をスパイスにたとえるなら、父はシュガー。いつも底抜けに陽気で明るくおしゃべりで、僕に前向きな気持ちを届けてくれる人。でも、ただ甘いだけじゃない。それこそ、いくつもの夢を叶えた今、父が僕に言うのは“大丈夫”ではなく“お前はまだ何も持っていない”という言葉で。“今の状況は環境や運に恵まれているだけ。努力を惜しむな、調子に乗るな”と叱咤激励してくれる。両親は今の僕を作り支え続けてくれるかけがえのない存在。実はこの間、母がいなくなる夢を見たんですけど。思わず起きてすぐに無事を確認。ホッとして肩をもみましたからね(笑)。いつもありがとう、長生きしてねって」
Netflix映画『桜のような僕の恋人』
宇山佳佑による同名大人気小説を実写化。中島さんも原作ファンを公言。カメラマンを目指す晴人(中島健人)と難病を抱えた美咲(松本穂香)の切なくはかない恋を描き出す。Netflixにて3月24日〜全世界独占配信
取材・文/石井美輪
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