ロマンスだけでなくサスペンスもヒューマンも時代劇もどのジャンルでもクオリティ高き傑作が目白押し。
伺ったのは
ライター 山崎敦子さん
エクラやSPUR、Harper’s BAZAARなどのwebを中心に韓流ドラマ記事を執筆。歴は浅いものの、見ているドラマの数は半端なし。
Twitter:atuatsuyamazaki
実は、私も韓流ドラマ歴は浅いクチです。というのも、「どうせ記憶喪失とか、実は兄妹とかでしょ」という偏見バリバリの典型的な食わず嫌いだったから。なのに、今は仕事&睡眠以外の時間は、ほぼ韓流に費やしているというハマりようです。そうなったのも、韓国ドラマの圧倒的なクオリティの高さがあるからこそ。
これほど進化し続けているのは、国家的支援やNetflixの参入など、その背景に潤沢な資金力があるのも理由のひとつ。となれば、より多くの才能が集中してくるのも当然のこと。細部までこだわり抜いた大胆にして緻密な演出力、本質や真理を見極めつつ優しい視線も忘れない骨太かつ繊細な脚本力、そして、多彩な表現力とリアルな存在感、圧倒的な吸引力のある俳優力。
どれも半端なく、見ていて何度舌を巻いたことか。そして、私の肌と心がどれほど潤ったことか。食わず嫌いは人生の幅もキレイも狭くする、とつくづく思った次第です。だから、より多くの人に見てほしいなぁと思うのですが、中には「なかなかハマれない」という人も。それは、選ぶ作品の傾向が違っている可能性も。
韓国ドラマは、ジャンルの幅が広く、しかもどのジャンルにもハイクオリティな作品がザクザク豊富。だから、その時々の気分に合わせて選んで見れば、誰でも沼落ち必至です。
下に挙げたのは、そんな観点から選んだ5作品。無条件に号泣したいとき、良質なサスペンスにひたりたいとき、手放しで胸キュンしたいときなど、気分に合わせて選んでほしい。明日の元気とやる気はその良作が必ず運んでくれるはずだから。
1. 号泣して気持ちのデトックスをしたいなら
『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』(2021年)
最近、気持ちがずっと張り詰めている。なんか、ちょっと人に意地悪な気持ちになってしまう。そんな人は、心のデトックスが必要。それには、何も考えずに思いっきり涙を流すのが一番。そこで、このドラマ。
アスペルガー症候群のグルと、彼の後見人となった前科者の叔父。孤独なふたりが遺品整理人を務めながら、成長し絆を深めていくという内容。彼らが扱う遺品の一つ一つには物語があり、そこに遺された思いをまっすぐにすくい取ろうとするグルの濁りない姿に心洗われます。もう、1話から号泣必至。
2. 心揺さぶられる感動サスペンスなら
『秘密の森』(シーズン1 2017年 シーズン2 2020年)
主人公のシモク検事は、脳手術の後遺症で感情を失っている。つまり、感情に左右されることなく、人間の倫理や社会的なルールにのっとって正確に物事を判断できるところがミソ。その彼が、人間味あふれるハン刑事と、謎に包まれる殺人事件の真相を探っていくサスペンス。
ミスリードも多く、登場人物すべてが怪しいミステリーのおもしろさはもちろん、権力や人間としてのあり方にぐいぐいと迫っていくふたりの姿に心揺さぶられます。見終わった後の“シーズン1・2のどっちが好き”論争も楽しみのひとつに。ちなみに私はシーズン2。
3. 切ない胸キュンにひたりたいなら
『雲が描いた月明り』(2016年)
切ない胸キュンにひたりたい……というときは、断然、時代劇の“世子さま(皇太子)”もの。聡明な世子は、権力をほしいままにしたい重臣たちから常に命を狙われている、というのが基本背景。政敵と時代に翻弄されるロマンスはハラハラ・ドキドキ・キュンキュンの目白押し。中でもパク・ボゴムの出世作となったこの作品が絶品。
ボゴム世子と、ワケありの男装ヒロイン(キム・ユジョン)の初々しい恋が何度も何度も阻まれるスリリングな展開はもちろん、凛々しい韓服姿ボゴムのツンデレぶりやユジョンの天衣無縫な可愛らしさなど、見どころ満載です。
4. 癒しを求めているときには
『海街チャチャチャ』(2021年)
最近のロマンスはサスペンスもヒューマンもてんこ盛り系が主流ですが、こちらは殺人などドロドロを排除した久々のロマンス一本釣り。
海辺の田舎街を舞台に都会から流れてきた歯科医ヘジンと街の人から頼られるホン班長のラブ物語が展開されますが、どこか懐かしい景色や愉快で温かな街の人たちとのエピソードにもホッとなごみつつ、性格も立場も正反対のふたりが、反発しながらも惹かれ合っていくさまに、トキメキながら心がほぐされていくという。疲れた心に効くヒーリングロマンスは寝る前に1話ずつゆったり楽しみたいドラマです。
5. 思いきりスカッとしたいあなたには
『ハイエナ-弁護士たちの生存ゲーム-』(2020年)
金のためなら手段を選ばないハイエナ弁護士グムジャと、エリート弁護士ヒジェの壮絶バトルが繰り広げられる法廷劇。逆転に逆転を繰り返す巧みな構成が素晴らしく、キム・ヘス演じるグムジャの踏まれても踏まれても貪欲に突き進むたくましさと、ヒジェを手玉に取りつつ恋させちゃう媚びない女性らしさのバランスも絶品。
グムジャにしてやられながら惹かれずにはいられない男のキュートさをコミカルかつカッコよく演じたヒジェ役チュ・ジフンも最高。ふたりの微妙な恋物語と痛快逆転劇と、最初から最後までガツンとのめり込み必至です。
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