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LIFE

CULTURE NAVI「CINEMA」

映画『ドリームプラン』様々な障害を乗り越えるブレない家族愛とは

2022.02.10

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cinema culture navi

『ドリームプラン』

『ドリームプラン』

© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

家族の結束力と信念に驚嘆! 信じ難いサクセスストーリー

まもなくノミネート作品が発表される米アカデミー賞に本作がどこまで食い込むかに注目だが、ウィル・スミス(プロデューサーも兼任)の主演男優賞ノミネートは堅いと言われている。彼が演じるのは、10年以上も世界最強のテニスプレイヤーとして君臨したビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父、リチャード。テニス未経験の彼がいかに姉妹を世界チャンピオンに導いたのか、心底驚きしかない!

治安が悪いことで有名なカリフォルニア州コンプトン。ウィリアムズ夫妻は、そんな環境から脱させようと教育熱心に子どもたちを育てている。ある日、TVで優勝したテニスプレイヤーが大金を手にするのを見たリチャードは、子どもたちを最高のテニスプレイヤーにしようと決意。独学で指導法を研究し、78ページにわたる“ドリームプラン”を作成。そして幼い2人に市営コートで教え始める。姉妹はめきめき上達するが、話を持ちかけるテニス指導者は誰も見向きもせず――。

けんもほろろなテニス関係者(リッチな白人コミュニティ)に怒りを覚えつつ、そこへ遠慮なく踏み込んでいくリチャードに終始ハラハラ! でもその押しの強さがなかったら、世界最強の才能が花開くことはなかったのだ。遂に2人の才能を認めるコーチが見つかるが、「指導は無料で」「俺のプランはこうだ」とプロに対しても主張を止めない父に、ヒヤヒヤしっぱなし。地域の若者グループの暴力から身を盾にして娘を守り、数々の困難を根気と熱意で乗り越えていく、ブレない信念がスゴイ。それに劣らず、娘たちの才能を信じて全方位的に支える母の姿に胸を打たれる。

時に独善的な父に辟易しながら、母を中心にバランスを崩すことなく結束する大家族の深い愛情に、感嘆と感動を覚えずにいられない。ビーナスの陰で我慢を強いられた妹セリーナ、姉妹の絆の強さ、莫大なお金が動く全米プロテニス界の仕組みなど、サブストーリーも味わい深い。偏見やいろんな壁を打ち破り、浴びる喝采と敬意にジワジワ涙があふれる。

・2月23日より全国ロードショー
公式サイト

『ブルー・バイユー』

『ブルー・バイユー』

©2021 Focus Features, LLC.

終始胸が震えっぱなし! 哀しくも美しい愛と尊厳の物語

3歳で韓国からアメリカに養子に出された青年(ジャスティン・チョン/監督・脚本も兼任)は、貧しいながらも愛する妻(アリシア・ヴィキャンデル)と自分になつく彼女の娘と幸せに暮らしている。だが差別的な警官に目をつけられ、30年前の養子手続きの際の書類不備を理由に、言葉も通じない母国に送還されることに。

突然の理不尽に潰されそうになりながら、家族3人の愛と葛藤と奮闘に涙、涙。詩的な世界観にも魅せられる。

・2月11日より全国ロードショー
公式サイト

『ゴヤの名画と優しい泥棒』

『ゴヤの名画と優しい泥棒』

©PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020

なぜか心がほっこり温かくなる異色の優しい犯罪映画

孤独な高齢者たちを救うため、60歳のタクシー運転手(ジム・ブロードベント)がゴヤの名画を盗み出し、政府に身代金を要求するが――。相当な事態なのに、彼のスッとぼけた言動につい笑ってしまう。“さすが英国人!”とひざを打ちたくなる、ウィットに富んだ法廷陳述も爆笑必至。なんと’61年に実際に起きた事件が元という。

妻役にヘレン・ミレン。『ノッティングヒルの恋人』のR・ミッシェル監督の遺作。

・2月25日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開
公式サイト

※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。


取材・原文/折田千鶴子


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