今年2月にデビュー25周年を迎えるスガ シカオさん。唯一無二の声、楽曲に触れたことがない人はいないほどの存在。25周年イヤーのキックオフ作品のアルバム『SugarlessⅢ』には、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』主題歌でおなじみの『Progress』の再録も。15年前と同じく、スガさんがボーカルを務めるスペシャルバンド、kōkuaのメンバーが集結！

“もっとうまくできるはず”が25年走り続ける原動力に
────スガ シカオさん

「メンバーとは、楽器も、譜面も、歌い方も『15年前とまったく同じことをやろう』と話したんです。それが、当時と同じように少し頼りなさげな声で歌ってみたら、全然ハマらない。何度もテイクを重ねて、OKになったのは今の歌い方だったんです。僕を含めてメンバー全員が曲への思い入れも変わったし、『Progress』は、東日本大震災や熊本地震の復興支援の思いを込めて歌ってきた曲でもあるし、曲が成長したんでしょうね。演奏する僕らだけでなく、聴いてくれた方たちの思いも糧に成長していくんだと実感しました」

“曲が自分の手を離れて成長する”感覚を、他アーティストへの提供曲で感じたエピソードも。

「嵐の20周年コンサートを東京ドームで観させてもらったときに、櫻井翔くんが僕が提供した『アオゾラペダル』をピアノで弾き語りしていて。大画面に歌詞が流れて観客5万人が大合唱してたんですよ。あの日、俺が鉛筆で書いた曲が、5万人に歌われる曲に成長していた。その光景に『俺すげーな』と感動してしまって（笑）。自分で歌うのとはまた違って、ほかのアーティストに書いた曲だからこそそう思えたんですよね」

さまざまなアーティストから提供依頼が来るのも、スガさんがデビュー以降、音楽界の第一線を走り続けてきたから。そのモチベーションは何だったのでしょうか。

「ほかのものは続けるうちにある程度形になって、『こんな感じでいいかな』と飽きちゃう。でも音楽だけはうまくできたと思えたことがなくて、『おかしいな。もっとうまくできるはずなんだけど』といつも思ってます。どんどん新しい音楽が出てきて、やりたいことも増えていくので、いつまでも一人前になれない。だから長続きしているんでしょうね」

なんとスガさん、最近ギターを習い始めたのだとか。なぜこれほどのキャリアになって？

「中3から弾いてるのに全然うまくならないんですよ。もっと速弾きもしたいと思って、先生を紹介してもらいました。ピックの持ち方から30年分のダメなところを修正してもらってます（笑）。上達していくと、そのテクニックを曲に生かせるし、やっぱり楽しいんですよね。僕の場合はギターも音楽も『もっとうまくなりたい』という劣等感が、モチベーションにつながっている気がします」

スガさんほどの人が新たな挑戦を続ける姿勢を知ると、何歳からでもどんなことでも、始めるのに遅くはないという気持ちに。

また、歌詞の世界も評価の高いスガさん。時間をかけて練られているかと思えば、意外な作詞術が。

「必ずひと晩で書き上げます。翌日に持ち越すと気持ちが変わってしまう気がして。振り返ると、早く書けた詞のほうがいい曲が多いかも。『Progress』も『夜空ノムコウ』も早かったですね」

1997年2月、『ヒットチャートをかけぬけろ』でデビュー。1stアルバム『Clover』以降、すべてのオリジナルアルバムがオリコンTOP10入りを記録。2月26日には東京・中野サンプラザ、3月11日には大阪・フェスティバルホールで25周年記念スペシャルライブの開催が決定している。
Instagram：suga_shikao
Twitter：shikaosuga
公式サイト：http://www.sugashikao.jp/

『SugarlessⅢ』

アルバム未収録曲やセルフカバーを中心に収める『Sugarless』シリーズの第3弾。新曲4曲、東京メトロ「Find my Tokyo.」CMソング『ぼくの街に遊びにきてよ』をはじめとするアルバム未収録のタイアップ曲、さらにKAT-TUN『Real Face』、Little Glee Monster『ヒカルカケラ』など他アーティストへの提供曲と、全12曲の聴きごたえある内容に。

撮影／yoshimi　ヘア＆メイク／下田英里　スタイリスト／大村鉄也（Commune Ltd.）　取材・文／古川はる香　衣装協力／roar guns