珠城りょうさんインタビュー。元宝塚歌劇団月組トップスターが「悩んだ末に辿り着いた、退団後の進路」
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高見澤恵美
2021.11.11
【元・宝塚歌劇団月組トップスター、珠城りょうさんがLEEweb初登場!】退団を決意してから〜現在の心境は?【インタビュー前編】
宝塚歌劇団月組トップスターとして活躍し、今年の8月に退団。新たな道を歩み始めた珠城りょうさんの卒業後の舞台第一弾は、宝塚歌劇団の花組と月組の100周年を祝う『Greatest Moment』。退団にまつわるエピソードや現在の暮らし、初仕事への想いについて伺いました。
“本名の自分に戻ったような生活”を過ごした退団後
――8月の退団からこれまで、どんな時間を?
珠城:とにかく穏やかな日常を、ひたすら何もしない、みたいな日常を過ごしていましたね。思いついたときに外に出かけたり、家でのんびりテレビを見たり……スケジュールを決めずに過ごしてました、ずっと。
――お引っ越しはもうされましたか?
珠城:しました、引っ越しは宝塚を卒業してすぐに。一度落ち着いてしまうと動けなくなっちゃうんじゃないかなと思って、なるべく早くに引っ越しを済ませて、引っ越した先でダラダラしました(笑)。
――段ボールの開封も済ませたのでしょうか?
珠城:引っ越しの段ボールはすぐに開けて片付けました。宝塚の全国ツアーや東京公演から帰ってきたときもそうですけど、荷ほどきしないと多分ずっと放置しちゃうんじゃないかなぁと思うので、届いたその日に全部開けるタイプなんです。お洋服なんかは月組の下級生の子や縁のある子たちにもらってもらったりしたんですけど……物を減らしたいなと思っていたので、たくさん断捨離しましたね。
――その後は心置きなく、のんびりと?
珠城:はい、フリーダムな生活を送っていました! とにかく穏やかに、芸名の自分である前に、本名の自分に少し戻ったような感覚で生活していましたね。宝塚に在団していたことが不思議なくらい、普通の生活です。
――街を歩いていて「珠城りょうさん」だと気付かれることは?
珠城:全然ないですよ! 今は普通に帽子もかぶらないで、マスクだけで出かけたりしてますが、誰にも気付かれないんです。
退団を控え、心強かったのは“宝塚OGの存在”
――退団後は早速『Greatest Moment』への出演が発表になりました。お話が来たときの感想は?
珠城:正直に言って驚きました。こんなにすぐ舞台のお話をいただけるとも思ってなかったですし……。花、月100周年という記念のイベントでもありますし、ましてやレジェンドと言われる、錚々たるトップスターさんたちばかりが出られるということで、そこに卒業したての自分がお声がけいただくなんて、夢にも思っていなかった。すごく驚きました。
――まさに夢の舞台ですね。退団の日には、宝塚OGにかけられた言葉についてもお話されていましたね。
珠城:卒業を発表してから、OGの皆さんがすごくたくさん公演を見に来てくださって。縁のある月組の上級生の方だったり……本当にたくさんの皆さんが、あたたかい連絡をくださったんですよ。「卒業したら一緒にお洋服、買いに行こうね」とか。「卒業しても上級生の方たちがあたたかく迎えてくださる」という意味で言ったんです。
――そうだったのですね! 退団を決めて、ともすれば心細い気持ちになりそうな時期に、先輩の言葉は嬉しいですよね。
珠城:そうなんです。今回『Greatest Moment』で共演する方の中には、退団公演でもお世話になった方もいらして。振り付けの御織(ゆみ乃)先生や若央(りさ)先生も、「卒業したらこっちの仲間入りだからね」と稽古中に言ってくださったんですよ。そういう皆さんからのあたたかいお声があったから、あの発言になりました。
――「こっちの仲間入り」なんて言われたら、安心ですよね。
珠城:本当に。「今度はこっちの仲間入りだから」「みんな一緒やから」みたいな感じに言ってくださって、すごくあたたかった。卒業してもそういうふうに思ってくださる方がいっぱいいらっしゃるんだなと思って、うれしかったです。
実は悩み続けた“退団後の進路”
――退団後、すぐに今回のお仕事が発表になり、ファンは安堵したと思います。以前から、退団後も表現するお仕事を続けることは決めていたのですか?
珠城:実は表に出る仕事を続けるかどうか悩んでいたのですが、この14年間、音楽学校を入れたら16年、この仕事にすべてを捧げて生きてきたので……。今、自分が持っているものはこれ(宝塚での経験)しかないんです。せっかく今までこういったたくさんの経験をさせていただいたのだから、世の中で自分を求めてくださる方が少しでもいらっしゃるのであれば、今の“珠城りょう”を作り上げてくれた、これまでの大切な時間を無駄にしないで、それを生かせるお仕事を少しでもやっていくほうがいいのかな、という心境になりました。
――芸能の道を選んでくださって、ありがたいです。
珠城:私たちのお仕事は求めてくださる方がいてこそ。今、ありがたいことに配信もありますけど、舞台は劇場に見に来てくださるお客さまがいてこそなので。“珠城りょう”は、それを求めてくださる人がいないことには成立しないお仕事だと思います。
あとは、海外で何かボランティアしたい、何か活動したいと思っても、結局英語が話せないと行けなかったり。卒業して時間ができたら、少し英語を勉強しようかなと思ったこともありました。
――転職やスキルアップに悩む……LEE読者が共感するような感覚をお持ちなのですね。
珠城:今までトップとしていさせていただいて、宝塚歌劇団に在籍しているから定期的に公演が決まっていて、お仕事いただいて、という状況でしたが、卒業したら本当に自分の足で歩いていかなくてはいけない。今の自分に何ができるんだろう、自分の持っている力で何に挑戦していけるのだろうか?ということを、一人間としてずっと考えていました。
――すごく謙虚な印象です。
珠城:私は立場とか関係なしに、人はみんな一緒だと思っているので。そのことを在団中から一番大事にしてきました。タカラジェンヌであろうが、スターと呼ばれようが、トップと言われようが……人と向き合うときには、対・人であって。立場は関係ないと私は思っていますし、そういうスタンスでやってきました。
――立場を気にしないその姿勢が、月組のアットホームな雰囲気に繋がっているのですね。
珠城:自分がそういうスタンスでやってきたから、学年の離れた下級生も気軽に話しかけてくれたり、慕ってくれるのかな。今振り返っても、このスタンスは間違っていなかったんじゃないかなと思っています。
後編に続きます。
宝塚歌劇 花組・月組100th anniversary『Greatest Moment』
1921年に宝塚歌劇の花組・月組が誕生してから今年で100年。その偉業を讃え、それぞれの時代を彩った伝説のスターたちが集結。さまざまなバージョンで懐かしの楽曲や名シーンを披露する。11/13(土)からいよいよ東京公演が開幕。さらに自宅で楽しめるライブ配信も決定!
【東京公演日程】
●2021年11月13日~11月22日:東京国際フォーラムホールC
【ライブ配信日程】
11月13日(土)17:00公演(ALL)
11月20日(土)17:00公演(月組B)
11月21日(日)12:00公演(花組B)
(※アーカイブ配信はなし)
【ライブ配信チケット料金】
視聴券のみ4000円(GoToイベント適用で3200円)
(※各公演の開演30分後まで購入可能)
珠城りょう 1st CONCERT『CUORE』
【公演日程】
●2022年4月30日~5月3日:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
●2022年5月13日~5月15日:東京国際フォーラム ホールC
シャツ¥60500・パンツ¥60500 / 共にエリコカトリ(ムール)℡03-5787-8911) コート¥72600 / リト(℡03-3470-4157) リング・ブーツ/スタイリスト私物
※商品価格は消費税込みの総額表示(2021年10月現在)です。
撮影/富田恵 ヘア&メイク/赤松絵利(ESPER) スタイリスト/重光愛子(A.K.A.)
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高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。