昨今、改めて日本ならではの色や風情に親しみを感じるようになったという平澤さん。控えめながらも上質で、美しい調和が心地いいお気に入りの場所へ案内していただきます。

イラストレーター
平澤まりこさん／Mariko Hirasawa

ひらさわ　まりこ●版画、装画や広告、パッケージ、絵本など創作活動は多岐に渡り、旅のエッセイも刊行。著書『イタリアでのこと』（集英社）、『旅とデザート、ときどきおやつ』（河出書房新社）、絵本『ねぶしろ』（millebooks）ほか多数。2021年10月25日まで岐阜県「ギャルリ百草」にて、安藤雅信さんとの陶製作品展「動物たちの宙」を開催。＠mariko_h
■『イタリアでのこと』の詳細はこちら

「日本茶本来のおいしさと奥深さを体験できる安らぎの空間」

「友人と食事をしたあと、落ち着いてゆっくり話したい時に立ち寄ります」といい、向かった先は表参道のスパイラルビル内。

店に一歩入ると日本茶のかぐわしい香りとともに、日頃を取り巻く喧騒や慌ただしさをふと忘れさせてくれる静かな空気に包まれます。

「身近にありながら手軽に飲める場がない日本茶を、生活様式のスタンダードとして発信していけたら」と所長の櫻井真也さん。

産地や製法、異素材との組み合わせ、淹れ方を通じて今の時代に合う幅広い楽しみ方を提案。

各地から厳選した煎茶や玉露、番茶をはじめ、店内で焙煎する「ロースト」、四季折々の自然素材を混ぜた「ブレンド」などに加え、オリジナルの茶器も販売しています。

そして平澤さんが普段、至福のひとときを過ごすという併設の茶房は、和と洋のスタイルが穏やかに調和する空間。お茶各種はもちろん、和菓子や食事、お酒も楽しめるメニューが。

「お茶は三煎いただけるので、一煎目はインパクトがある旨みを感じ、二煎目は柔らかく甘い余韻が広がり……といった風味や色合いの変化が味わえて。日本茶の奥行きに気づかされます」（平澤まりこさん）

＠南青山
櫻井焙茶研究所

入り口正面のカウンターではお茶をデミタスカップで提供。バルのような感覚で気軽に。選んだ長崎県東彼杵の蒸製玉緑茶（￥400）は「淹れたては清涼感が、徐々にまろやかな香ばしさが」（平澤まりこさん）

お茶を淹れる前に居ずまいを正すという櫻井さんの美しい所作を、カウンター越しに眺めて。つくばいをイメージした水場、経年変化で趣が深まった道具なども目に留まり、日本茶を五感で味わえる

６種から選べるブレンド茶は二十四節気の暦に合わせ、果物やハーブを混ぜて創作。

ガラス急須で目も楽しめるように。湯は柄杓でやや高い位置から注いで、温度調整。

「釜炒り番茶といちじく」を桜井甘精堂の栗ようかんと。季節のブレンド茶・お菓子付（￥1850～）。

DATA
櫻井焙茶研究所荘

東京都港区南青山5の6の23 スパイラル5F
☎︎03-6451-1539　11:00～20:00
（茶房：平日～23:00／ラストオーダー22:00
＊’21年10/20現在は、平日〜20:00／ラストオーダー19:00）
定休日：不定休　https://www.sakurai-tea.jp

撮影／馬場わかな　取材・原文／髙井法子
※商品価格は消費税込みの総額表示（2021年10/20発売LEE DAYS VOL.2現在）です。