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LIFE

専業主婦を経て47歳で再就職、62歳でホテル経営に挑戦。走り続ける薄井シンシアさんの最終目標とは?

  • LEE編集部

2021.10.28

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薄井シンシアさん

引き続き、薄井シンシアさんのインタビューをお届けします。5月に入社したLOFホテルマネジメントで、人生初のホテル経営に挑戦中。接客経験やセールスはあるものの、ホテル運営は未経験。日々さまざまな問題が起こるものの「そんなに大変じゃないですよ」と笑うシンシアさん。毎日の活力になっている源やホテル経営の課題、ホテルが目指す人材について聞きました。40代そして50代、「私はどう生きればいい?」と悩む人に響く、愛情あふれる鋭い言葉が心にしみます。(この記事は全2回の2回目です。前編を読む)

性別、国籍、人種、年齢。多様性を重視した採用

シンシアさんがLOFホテルマネジメントの社長になったのは今年5月。7月にLOF HOTEL Shimbashiオープンを迎え、現在15名のスタッフを抱えホテル運営を行なっています。年内に秋葉原と東神田に2店舗をオープンする予定です。

ホテルの受付に立つスタッフは、リカ・メイさんとしょうこさん。リカさんは21歳で日本人の父とフィリピン人の母を持ち、定時制高校に通いながら工場勤務をし、今年3月に高校卒業、6月に入社しました。しょうこさんは58歳、以前にシンシアさんが講師を務めたキャリア再発進プロジェクトのホスピタリティ講座に参加し、「考えて動ける仕事がしたい」と9月に入社したばかり。スタッフの制服は白いシャツにデニム、足元はスニーカーとカジュアルながら清潔感にあふれています。シンシアさんは黒いワンピースにオニツカタイガーの赤いスニーカーで、きびきびとホテル内を動き回る姿が軽快です。

LOF HOTEL SHIMBASHI

「『LOF HOTEL』は多様性を重視した採用を行なっています。多様性と言っても“女性がいればOK”ではなく、年齢、性別、学歴、国籍、人種などすべてにおいての多様性で、これらをベースに人を判断しないようにしています。スタッフの年齢は下が19歳から、62歳で最年長の私まで。ヘアカラーも自由で金髪でも問題ありません。これからの時代、多様性はより重要なテーマになると思います。多様性のない会社は淘汰され、多様な環境で働けない人も、仕事を失ってしまう可能性があるのではないでしょうか」

大小問わず問題を解決し続けるのが日課

ホテル経営の仕事は多種多様。施設管理や清掃、接客などから、会計や決済システムなど全般に及びます。取材した日は、クレジットカードのオンライン決済ができないとのことで、本社があるマカオのオーナーと打ち合わせしたばかり。大小問わず問題を解決し続けるのが日課でもあります。

薄井シンシアさん

LOF HOTEL Shimbashiのロビーにて。スタッフのリカ・メイさん(左)としょうこさん(左)とともに。

「小さな会社なので、すべて自分で行います。仕事ができる環境がまだできていないので、環境を整えながら仕事をしています。固定のデスクはなく、ホテル中を動きながら、オンライン打ち合わせやスタッフとのミーティング、パソコン作業を行なっています。よく『大変じゃないですか?』と言われますが、仕事しながら取材を受けているし、本も出します。子どもは独立して子育てもないし、夕ご飯も作らなくていい。時間をすべて仕事に使えますから。昨日の夕飯は、コンビニのアイスクリーム2本でした(笑)」

睡眠と美容医療が美肌の秘訣

今は新店舗のオープン準備で、遅くまで仕事をする日も。そんな忙しい日々を支えているのが睡眠です。「睡眠だけは絶対削らない」と豪語するシンシアさんの肌は、すべすべで透明感にあふれています。さらには47歳で始めたレーザーのシミ取りの効果が「絶大だった」と明かします。

薄井シンシアさん

黒いワンピースに赤いオニツカタイガーのスニーカーがシンシアさんのトレードマーク。スニーカーは東京オリンピック限定モデル。

「若い子はよく医療に頼らず自然にきれいになりたいと言いますが、年を重ねると肌の水分が減り、保水力もなくなります。外からのスキンケアには限界があるんですよね。バンコクにいた頃、優秀なドクターのいるクリニックと出会い、10年ほど通っていました。そのおかげで今でも大きなシワやたるみで悩まされることがありません。実は帰国してからもバンコクに通っていましたが、コロナで渡航できなくなってからは、日本で良いドクターを探していました。やっと目星がついたので、これから通ってみる予定です」



シングルマザーの「レジ打ち経験」も強みになる

多様な人材を雇用したいと考え、ホテルでは主婦やシングルマザーも積極的に採用してきました。しかし長く続かず辞めてしまう人も多く、現実を受け止め、「個人差をどう活かすか」が今のシンシアさんの課題です。

「シングルマザーを2人採用しました。1人は、とても真面目な人だったのですが、パソコンスキルがストレスになるから清掃をメインにやりたいと言うので希望に沿って清掃をやってもらうことにしました。1週間後、次は体力がない、汚れたものを触るのが苦手なので退職したいと申し出てきました。私の会社はトレーニング(研修)が10時間ほどあり(時給1200円)、その時点で1万2000円かかります。2、3週間で辞められてしまうと会社は損になってしまう。

薄井シンシアさん

他にも週2回だけ働きたいという人もいましたが、ホテルの仕事は週2では覚えられないので、来るたびに教え直さないといけない。そう考えると、前職で7年間ひたすらレジ打ちをしていたもう一人のシングルマザーは、パソコンスキルはないものの肝が座っていて目の前で何が起こっても焦らない。忍耐と覚悟がある、それは彼女の強みでもあると思います」

価値観を定めることで、自分で決められる

仕事をすると決めた時、まず何がしたいか、どうなりたいかを考えることが多いはず。しかしその前にやるべきなのが、自分のキャパシティがどれだけあるかを理解する、その上で何を優先させるか、選択するかを自分の意思で決めることが大事だと言います。無理ならギブアップしてもいい、受け入れて自分で決めると、楽に生きられるようになると言います。

そんなメッセージを込めて書いたのが、最新著書『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP社)です。重要になるのが「価値観を決める(定める)」こと。判断基準になる価値観を決めることで、迷うことがなくなり、自分で決められるようになると言います。

シンシアさんの最新刊『人生は、もっと自分で決めていい』〈日経BP社)

「ブランディングのハウツー本はたくさんありますが、その前に大切になるのがコンテンツ=自分がどんな人かという価値観です。自分の価値観が定まっていないと決断もできず、前に進むことはできません。社会や他者、友人などさまざまな声や意識があるので一番大切なことが見えにくい世の中だと思います。でも周りの人は、自分の責任を取ってくれるわけではありません。自分にとって何が一番大切なのか、自分で考え、価値観を定めることが大切です」

毎朝鏡に映る自分の顔を確かめる

はっきりとした物言いと正義感あふれる性格から、講座やイベントで会った人から声をかけられたり、メッセージをもらって相談を受けることも。「モヤモヤの悩み相談に私は乗ってあげられないけど(笑)こうすると決めた人には全力で応援します」とパワフルなシンシアさん。LEE読者にエールをくれました。

薄井シンシアさん

LOF HOTEL Shimbashiの最上階のラウンジ。ここでもよく仕事をするそう。

「世の中は、歩み寄ったり空気を読むことが大事だと言われがちですが、別々でもいい、考えが違ってもいいじゃないと私は思います。決めるのは自分で、その価値観を決めるのも自分。後悔しないためにも、自分の考えには素直でありたい。私は毎朝鏡に映った自分の顔にとても満足しています。それは自分で選んだこと、決めた人生を生きているからですよね。考えることはいつだって遅くないんです、40代でも50代でも、今から始められます」

“薄井シンシア”が商品になり独立することが目標

シンシアさんの目標は“薄井シンシア”というブランドをいかに魅力的にするか。大企業の社名や肩書きで求められるのではなく、“薄井シンシア”が商品となって、独り立ちできることだと言います。

薄井シンシアさん

「ANAインターコンチネンタルホテル東京、シャングリ・ラ東京、日本コカ・コーラ社。華やかで誰もが分かる有名企業であればあるほど色々なところから声がかかると気づきました。であれば、ブランドや肩書きが無くなっても、“薄井シンシア”そのもので勝負できるのが理想だと思います。薄井シンシア=会社でもあるので、ブランディングも必要です。どんな商品を持っているのか、きちんと発信する。商品とは、経験や知識、自分の強みになるものです。知識や経験を積み重ね、商品を増やし、より魅力的に“薄井シンシア”になれるよう、目の前の仕事を一生懸命やる。それだけです」

薄井シンシアさんに聞きました

身体のウェルネスのためにしていること

睡眠

「睡眠です。私は、どんなに忙しくても睡眠時間は減らしません。プライオリティも睡眠、運動、食事の順です。日によって睡眠時間は異なりますが、12時前には横になるようにしています。昨日は6時間、ワクチン接種した日は8時間以上寝ました。だいたい6〜8時間睡眠が多いですね。自然と目覚めるので、目覚まし時計はかけません。体が必要な分だけ、寝るようにしています」

心のウェルネスのためにしていること

自宅のベランダから夕陽を見る

薄井シンシアさん

写真提供:薄井シンシアさん

「自分の家が大好きで、家に帰ると心の底からホッとします。帰宅したら、一歩も家から出たくないほどです。運河沿いに立つ角部屋のマンションなのですが、窓から釣りができそうなくらい川が近いです。夕日をただぼんやり見たり、ベランダから景色を見るだけで心が穏やかになります」

LOF HOTEL

LOF HOTEL

薄井シンシアさん

撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子

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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
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