単行本『おいしい記録』刊行記念! 巻頭Special Interview 長谷川京子さん
「女優」よりも「一人の母」の素顔がのぞくエッセイ集『おいしい記録』【長谷川京子さんインタビュー】
2021.09.25
2014年1月号から2021年8月号まで、LEE本誌で約7年半にわたり長谷川京子さんが毎月綴ってきたエッセイが一冊に! 連載開始からの5年間は日常の「食」にフォーカスし、2019年から最終回までは「暮らし」全般にテーマを広げて書かれた全91回の連載。その中から思い出のエピソードをピックアップし、再編集しました。
連載開始当時は4歳と2歳だった兄妹が、今、小学校6年生と4年生に。母としての素顔が垣間見える家族の話の数々は思わず共感してしまうものばかりです。そして、子どもたちの成長を見守りながら、長谷川さん自身もよりしなやかに、芯を強く持ち続け、その魅力は深みを増しています。約7年半の歳月をかけた「おいしい記録」への思いを聞きました!
『長谷川京子 おいしい記録』(集英社)
幼い頃に母が作ってくれたコーンスープ、初めてのパリで恋に落ちたバゲットと熱々のカフェラテ。短大を卒業して東京で一人暮らしを始めた頃に足繁く通っていたまるで実家のようなお惣菜店。子どもの好き嫌い問題や、日々のお弁当作り。夏になると繰り返し作るとうもろこしごはん……。色鮮やかに景色や匂いまでもを思い出させてくれる、長谷川京子さんの「おいしい記録」の数々。
発売日:2021年9月3日(金) 定価:1760円(本体価格1600円+税)
判型:A5判(224ページ) ISBN:978-4-08-790051-4
長谷川京子さん/Kyoko Hasegawa
1978年生まれ。千葉県出身。女性ファッション誌の専属モデルとして活躍後、2000年に女優デビュー。以降数々のドラマや映画、CMに出演し、話題に。私生活では、2009年生まれの長男、2012年生まれの長女の母。2021年からランジェリーブランド「ESS by」をプロデュースするなど、ますます活動の幅を広げている。
母としての本音をユーモアあふれる文章で綴った約7年半の連載。
幼かった子どもたちも小学校高学年になりました。振り返っていかがですか?
「LEE読者の方に読んでいただく連載なので、仕事や子育ての忙しい毎日の中でクスッと笑ってもらえたらいいなとなるべくポップに書くように心がけていました」
そう語る長谷川さんが綴ってきたエッセイには、女優としてというよりも、一人の母としての素顔がのぞく場面が多く、読者からもたくさんの反響がありました。
「子どもが成長すると育児の悩みの種類が変わっていくし、今がいちばん大変って思ってしまうので、子育てのことってどんどん忘れていってしまうんですよね。でも今こうして読み返すと、子どもとのすごく密な時間を過ごした幼い日々のディテールを思い出せて。あの頃忙しい中でも、意外と子どもたちの成長の機微をキャッチできていたのかなと。振り返る余裕がなかった30代の、本当にいいタイミングで連載を始めさせていただいたんだなとあらためて思います」
連載の主なテーマは「おいしいもの」。
食にまつわるたくさんのエピソードの中でも、印象に残っているものは?
「連載前半に書かせてもらった、20代の頃に海外で出会ったクロワッサンやボンゴレスパゲッティなども、どれも本当に思い出深いですね。でも6、7年前は思い出せた若い頃の詳細が、40代になった今はこんなふうに書けそうにない。自分が年をとったと言えばそれまでですが(笑)、30代の、子育てに集中していたときだったからこそ、自分の奥にある大切な記憶を掘り起こせたのかなとも思うんです」
単行本では、連載中に登場するとうもろこしごはんや豚汁など、普段、長谷川さんが家庭で作るレシピによる料理撮影もしました。
「家で作るごはんを本に掲載してよいのかなと今でも不安ですが、連載の集大成のようでもあって。撮影される角度や光で見え方が全然変わるのですが、料理に背景があるような写真を撮っていただいたので、ポップな文章を引き立ててくれているのかなと思います」
ドラマ、映画、舞台のほかに、バラエティ番組のMC、YouTube、下着ブランド「ESS by」のプロデュース。
連載中も常に進化し続けていました! 長谷川さんの現在地は? 今の心境を聞かせてください。
連載中も常に新しいことに挑み続けていた長谷川さん。2019年からはテレビ番組『グータンヌーボ2』の司会を務め、昨年は自身のYouTubeチャンネルも開設しました。
「子どもが小学生になり、40代でまた仕事へと向かうようになって気づいたのは、世の中の変化の速度が以前とはまるで変わったということ。今までの自分に固執しすぎるとあっという間に世の中が変わっていってしまう怖さがあります。だからこそ軽やかに動けるようにしたいなと試行錯誤中です」
今年はプロデュースする下着ブランド「ESS by」も誕生。
「プロフェッショナルの力をお借りした、いい環境で作らせていただいているので、そこは自分の力と見間違えてはいけないなと常々思っています。わからないことを丁寧に教えてもらえて、その制作過程を心から楽しめています」
『おいしい記録』をこれから手にしていただく読者の方へ、メッセージをお願いします!
「もし、子育て真っ最中で頑張っている方に、たまに手にとって気分転換してもらえたり、一息つけたり、ちょっとしんどい気持ちを笑いに変えていただけたら、こんなにうれしいことはないです。“共感から生まれるパワー”を少しでも受け取っていただけたら。私自身も子どもが小さい頃、東村アキコさんの漫画『ママはテンパリスト』に超救われたんです。共感と笑いから力をもらっていました」
一方で、子どもの成長とともに小さい頃ほどのおもしろいエピソードもどうしても減り、また昨年から続くコロナ禍で、以前よりも風通しのいい食事のエピソードが少なくなってしまったとも。そんな区切りのタイミングで、今回単行本としてまとめることに。
「これからまた私は人生のネタ探しの旅に出てきます! おもしろいことが書けるようになったら、いつか再びお目にかかれますように」
詳しい内容は2021年LEE10月号(9/7発売)に掲載中です。
撮影/岡本充男 加藤新作 ヘア/KENSHIN(EPO LABO) メイク/島田真理子(UM) スタイリスト/長澤実香
※商品価格は消費税込みの総額表示(2021年9/7発売LEE10月号現在)です。
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