環境問題に興味はあるけれど、なんだか難しそう? 日常の中で何ができるの? 小さな一歩でも、始めることが大切だから——おしゃれで簡単なうえに環境にも優しい、いいことずくめのサスティナライフを福田麻琴さんと考えます。
福田麻琴さんが環境問題に興味を持つきっかけとなったのが小野りりあんさんの一言だったことから、今回の対談が実現! 楽しみながら、けれどまじめに取り組むお二人ならではの、無理のないサスティナ生活の始め方を教えてもらいました。
(右)モデル・環境アクティビスト 小野りりあんさん
@_lillianono_
1989年青森県生まれ。環境問題に関するウェブメディア「Spiral Club」、アクティビストハウス「the Roots」、オンラインプラットフォーム「Green TEA」を設立。
(左)スタイリスト 福田麻琴さん
@makoto87
1978年生まれ。時代を超えて愛されるベーシックスタイルに定評あり。現在小学3年生の男の子を持つ母として、楽しく続けられるサスティナライフを勉強&実践中。
基本はそれぞれの立場でできることを少しずつ
福田麻琴さん(以下福田) 私がサスティナブルな生活を意識するようになったのは、実はりりあんの一言からだったんです。撮影のときに『ゴミ処理場がおもしろいんですよ』って教えてくれて。まあ、ファッションの撮影中にそんな話をしているのも私たちくらいだと思うけど(笑)!
小野りりあんさん(以下小野) そうでしたよね。なんでいきなりゴミ処理場をオススメしたんだろう(笑)。
福田 子どもと一緒に行ける楽しいところ、って話になったときに教えてくれたの。それで早速、見学を予約して子どもと行ってみたら、大量のゴミを機械でつかむ様子が大迫力で、巨大なUFOキャッチャーみたいって大興奮! 私の行った処理場では最後にゴミ収集車のミニカーももらえたりして、すごく楽しかった。で、そうすると自然に『出したゴミはどうやってここに来たの?』とか、『燃やした後はどこに行くのかな?』って話すきっかけになったんだよね。
小野 私も小さい頃からゴミの行方が気になっている子どもで(笑)。デンマークの学校に留学していたときに、環境の授業でゴミ処理場を見学に行き、サスティナブルに対して本格的な興味を持つようになりました。サスティナブルにとって、ゴミをゴミとして見なすのではなく、資源として扱えるように生活や環境を循環させていくことが重要な考え方のひとつ。ゴミになる前、ものが生まれるときにそもそも大量のエネルギーが使われていて、しかもゴミを処理するのにも大量のエネルギーが必要になる。だからこそ燃やすもの=ゴミそのものを減らすことが大切っていうことが、目で見て理解できるといいですよね。
福田 もうひとつ、国際環境NGO「グリーンピース」の活動についても教えてもらったよね。サイトを見て早速、面接を受けてボランティア登録して、勉強会やワークショップに参加したり。
小野 麻琴さんは、興味を持つとすぐに自分で調べて行動を起こすところが素晴らしいです。
福田 その活動として、代々木公園のアースデイというイベントで店番のボランティアをしていたら、偶然りりあんに会ったね!
小野 環境にまつわる活動を始めたら、いろいろな人とつながることができたんですよね。皆さんがそれぞれの立場で、できることを無理なくやっている。そういうことが少しでも多くの人に広がっていけば、ちょっとずつ世の中が変わっていくんじゃないかと思って。
福田 団体に参加したり、ボランティア活動をするのは難しいという方もいると思うんだけど、簡単にできることってなんだろう?
小野 実は、エコバッグやマイボトルよりも簡単でとってもエコなのが「パワーシフト」。家庭から出る年間のCO2排出を半分くらいまで減らせるし、地球温暖化や大気汚染に還元しなくていい自然エネルギーに対して電気の使用料を払えるんです。
福田 私もりりあんに教えてもらって電力会社を変えたんだけど、環境に配慮できることはもちろん、電気代が安くなったこともうれしいポイント。電力会社の方から活動報告のメールが来たりして、まさに「顔が見える電気」という感じ!
小野 そう、電気にもつくり手がいるんですよ。野菜と同じ。同じお金で同じ電気なわけだから、それなら圧倒的に環境のためになるほうを選べたらいいなって。
福田 電力会社もいっぱいあるから選ぶときに心が折れそうになったんだけど(笑)、私の場合は大好きなオーガニックコットンのブランドが、会社としてパワーシフトしたという記事を読んで。このブランドが使っている電力会社なら間違いないだろうと、同じ会社を選びました。
小野 信頼している人や会社、ブランドの情報は指針になりますよね。
福田 ミーハーでいいと思うの、いい意味で! 尻込みしてしまうよりも、まずやってみるのが大切だから。
おいしくてハッピーなサスティナ生活とは?
福田 今日りりあんが持ってきているマイボトルみたいに、日常の中で心がけていることってほかにもある?
小野 ボトルは毎日持ち歩いているからあちこちへこんじゃっているけど(笑)。やっぱりまずは「ゼロウェイスト」かな。ゴミをどう処理するかではなく、“ゴミ自体を出さない社会を目指す”という考え方。そのためには、なるべくゴミを出さない買い方が大事。野菜を買うときにも直接農家から取り寄せて、ビニールを使わず新聞紙で包んでもらうように頼んだりしています。
福田 オーガニックのものやビーガンのものって、どうしても高いっていうイメージがあるじゃない?
小野 そうなんですよね。
福田 私の場合、食卓によく登場する“なくてはならないもの”で従来のものよりもきちんとおいしければ、ある程度割高でも納得できると思っていて。例えば毎朝食べている、ビオセボンで買ったビーガンのバターもそう。この選び方だと無理なく続けられるんだよね。
小野 私は市販のものでは好きな味がないから、米油や豆乳を使ってマヨネーズを手づくりしています。これもおいしくてハッピーで、しかも安い、結果としてのビーガン。
福田 私たちには買う権利も、買わない権利もあるから、それをうまく意識していけたらいいよね。
小野 やはり環境のためにはできるだけ菜食ベースの生活がいいんだけど、それも無理する必要はなくて。
福田 和食中心の食生活なら、気づいたらこの日は菜食だった、ってこともありそう!
小野 あとは「ミートフリーマンデー」というキャンペーンもあります。1週間に1日、例えば月曜日だけお肉を食べないことで、地球温暖化対策に貢献できるというもの。
福田 環境のためでもあるんだけど、単純にヘルシーな食生活のために週に1回お肉をお休みするのもよさそうじゃない? それで地球も私もハッピーになれたらいいよね。ファッションについてはどう?
小野 まずは、ずっと使いたいと思えるものを選ぶということが大前提。服をたくさん買って、着ないまま持っていても仕方がないから。
福田 もはやトレンドを次々と追いかける気分ではないし、そういう時代でもないし……。特に経年変化が楽しめるようなアイテムは、おばあちゃんになっても使っているかな、っていう視点で物を選べたら楽しいね。
小野 新品だけでなく、セカンドハンドを選ぶのもひとつの手。
福田 選択肢があるならもちろんエシカルなブランドを選ぶけれど、ファッションのワクワクする感じも大切だから“ほどよいバランス”で頑張れたらいいなあ。
小野 いきなり100を目指すのではなく、できるところから少しずつ、という気持ちが大切。
福田 それでも絶対に、やらないよりやったほうがいいもんね!
次回は、福田麻琴さんと一緒に「まずは“可愛いサスティナベーシックのデニム”をひとつ」をお届けします。
取材・原文/発田美穂
※商品価格は消費税込みの総額表示(2021年8/5発売LEE9月号現在)です。
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