男性の「産休」制度が拡充予定
この連載でも、少子化対策や子育て支援について取り上げる機会が増えています。政府がそれだけ力を入れている表れでしょう。
6月上旬には、育休に関する改正育児・介護休業法が成立しました。その内容について触れておきましょう。
今回の改正で話題になったのが、「男性の産休」です。
子どもが1歳になるまで取得できる従来の育児休業に加えて、出生後8週以内に4週間までの育休が取れることになったのです(2回まで分割して取ることも可能)。
この“産休”を取るには、原則として休業する2週間前までに申し出をすればいいのですが、それでは仕事が心配なパパもいるでしょう。
そのため、労使が合意し、事業主との話し合いの上で、育休中の就業も可能としました(どのくらい働いていいかの日数上限などは、今後定められます)。
むろん、育児休業給付の対象にもなり、育児休業開始から180日までは賃金の67%が給付されます(休業中に会社から賃金が支払われていないなどの条件を満たした場合)。また、従来の育休についても2回までの分割取得が可能になるという改正も。
これらは2022年度中に施行の予定です。
有期労働者でも育休が取れる条件が緩和へ
育休が取れるのは常時雇用されている労働者(無期雇用労働者)のほか、パートなどの有期契約労働者であっても①入社1年以上、②子が1歳6か月になるまでの間に契約が満了することが明らかでない、という2条件を満たすと対象になります。
それが、今回の改正により①の要件が撤廃されることになりました。
つまり、育休後に仕事に復帰し働き続ける契約であれば、無期雇用の労働者と同等の扱いになるということに。こちらは2022年4月1日から施行されます。
今回の改正は、男性に育休取得を促すことを通じて、企業側の意識改革を求めるものだと感じました。
制度があったとしても、なかなか育休を言い出せなかったり、取得によって職場に迷惑をかけるのではとか、キャリアへの影響があるのではと不安に思う仕事環境が足かせになっているのが現状でしょう。
2019年度の男性の育休取得率は7.48%と1割以下。それを政府は2025年には30%まで上げたいとの目標を掲げており、今回の改正でも従業員1000人超の企業を対象に、育休取得状況の公表を義務付けました。男性の育休取得についても公表を求める予定です。
「男性でも育休がとりやすい」と聞くと従業員を大切にする企業だと評価され、優秀な人材を集めるアピールにだってなるはず。企業にとってもプラスになる改正だと感じます。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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