「ふだん通り掃除してるんだけど、どこかスッキリしないなぁ……」
もしも最近フローリングの掃除でモヤモヤしているなら、「ふだん」プラスαのスペシャルケアが必要なタイミングなのかも?
今回は、あらためて「フローリングってどういう床?」から、おさらい。そしてフローリング掃除の基本、それから「夏ならでは」の汚れ対策、おまけに、フローリング掃除が思わず楽しくなる小ワザまでご紹介します。
「フローリング」ってなあに?
「リビングの床? あ、うちはフローリング」。そう聞いたとき頭の中に思い浮かべるのは十中八九「木で出来てるっぽい床」の映像では?
実際のところフローリングという言葉自体、そのように使われていると思います。とはいえ英語でいうflooringの意味は「床材」。じつは畳もカーペットもリノリウムも全部「フローリング」なんです。
そして私たちが通常フローリングと言っている「木で出来てるっぽい床」の素材も、じつは、さまざま。
基本的には「木質系」の材料を使用した床材のことを指しはするのですが、天然木の無垢材(単層フローリング)も、薄くスライスした木を張り合わせた合成材(複合フローリング)も、木目を印刷した塩化ビニール(クッションフロア)も、どれも「フローリング」と呼ばれています。
このフローリング、畳やカーペットに比べて掃除がラク、ダニがわきにくく衛生的、かつオシャレなどの理由でここ30年ばかりの間に住まいの床材をすっかり席巻しました。今ではフローリングのない(フローリングではない床の)家を見つける方が難しいくらいです。
「フローリング」基本の掃除法
おそらくこのフローリング、最大のメリットとして挙げられるのは、ツルリとしてホコリやゴミが入り込む余地がほとんどない点でしょう。掃除が簡単に済ませられるのです。
従来の畳やカーペットといった床材には、織られたイグサやパイルであるため無数の隙間が存在します。それらは足裏で踏んだ時に柔らかく温かく感じさせる反面、ホコリやゴミが入り込みやすい性質を示します。
もともと掃除機というのはカーペット掃除のために開発された家電ですし、畳にしても目に沿ってほうきをかけることが必須。一方ともあれ布や不織布(ペーパー)でサッと拭うだけで掃除が完了してしまうフローリングワイパーを使ったフローリング掃除に勝る簡単掃除は、はっきり無いといえるでしょう。
そう、この「乾(から)拭き」がフローリングの基本の掃除方法です。乾拭きは繊維クズ、細かなホコリ、カビ胞子や花粉、抜け毛といった床の上に積もる住まいの塵、ホコリを手早く衛生的に取り去ることができ、かつフローリング自体に与える影響も小さい、非常に優れた掃除方法といえます。
乾拭きでは落とせない汚れって?
しかし乾拭きでは落とせない汚れもフローリングには付着します。それは例えば手指や足裏などから出る皮脂、キッチンなどでの調理で出る油煙による油脂、屋外から入ってくる排気ガスなどの煤煙、タバコなどによるヤニ、それから空気中の湿気とホコリ等が相まった重みのあるホコリ汚れ、上記の諸々が混じり合った汚れ。また食べこぼしや、子どもやペットによる粗相汚れなども、「乾拭き」だけでは処理できない汚れといえるでしょう。
とはいえ食べこぼしや粗相は局所的に目に見えるので分かりやすいかもしれませんが、皮脂や油煙による汚れはそこはかとない違和感でしか感知できないような薄く広がった汚れなので、気づくまでに少し時間がかかる傾向があるのです。
裸足になりがち、炒め物などの料理が増え、窓を開けての換気頻度も高く、高湿度になりがちな夏場は、こういった諸々の理由でフローリングが汚れやすいのです。「乾拭き」だけのいつものケアではスッキリ感じられないのは、目に見えない汚れが蓄積してしまっている証拠なのです。
ベタつくフローリングの正解掃除方法は
知らず知らずの汚れでベタつくフローリング。その掃除方法の正解はずばり「水拭き」なのですが、いくつか外せないポイントがあります。
まず、水拭きとは言っても水でべちゃべちゃにしたモップや雑巾などは使わないこと。
通常フローリングは木質系で、基本的に水気を嫌います。「基本的には」なので厳禁ではありません。ただ多すぎず少なすぎずの適切な水分量がわからない場合は、雑巾などではなく市販の床掃除用ウエットシートを使って拭き掃除にあたるのが無難です。
その際、床の素材や汚れの度合い、経年状況に応じて、シートに含まれる成分を勘案しましょう。
1:無垢フローリング→天然の油脂やワックス成分入りシート
無垢フローリングの場合は洗剤成分や合成樹脂成分よりも、天然の油脂やワックス成分が多く含まれている掃除シートのほうが、無垢の良さを生かす上で向いています。
2:樹脂系コーティングがなされた合成材フローリング→住居用洗剤入りシート
水回りに敷かれているなど、樹脂系のコーティングがなされている合成材のフローリングならば、汚れ落しに特化した住居用洗剤がたっぷり含まれているタイプが良いでしょう。合成材でも窓の近くなど紫外線劣化が進みがちな場所ならワックス成分の多いシートを使用する頻度を高めたほうが劣化スピードを遅らせることができます。
3:木目風クッションフロア→住居用洗剤、メラミンスポンジ
木目風のクッションフロアの場合はそもそも材質が木ではないので水気に強いのですが、油煙など油を含んだ汚れが木よりも吸着しやすい傾向があり、通常の乾拭きや水拭きでは汚れがうまく落とせないことがあります。
少しアルカリの強目な住居用洗剤を薄く塗布、汚れを浮き上がらせたところをメラミンスポンジで軽くこするとこびりついた皮脂、油脂汚れが落ちることがあるので、くれぐれも目立たないところでまず試してみてください。
そんな夏のフローリング掃除。使用するいつものウエットシートを冷蔵庫でキンキンに冷やしてから掃除すると……床からヒヤ~ッと涼しくなるんです!?
億劫なフローリング掃除がちょっとワクワクしちゃうこと請け合いです。騙されたと思ってぜひ一度お試しあれ!
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
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藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。
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