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LIFE

飯田りえ

【子育てで大切なこと】常磐大学 秋山邦久教授講演 セーブ・ザ・チルドレンのオンラインセミナー

  • 飯田りえ

2021.07.08

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セーブ・ザ・チルドレン 子どもとの向き合い方オンラインセミナー画像

子育てのスキルって…どこで学んでいますか?

長男が10歳になりましたが、子育てのスキルが自分に10年分備わっているとは到底思えず…。日々、ネットやSNSの育児情報を目にしながら、信頼している教育者の本を読んだり、アドラー心理学を学んでみたり、気になるオンラインセミナーに参加したり。トライ&エラーを繰り返してはいるものの、いつも迷いと自己嫌悪の繰り返しです(苦笑)。

そんな自信のない私を、勇気づけてくれたオンラインセミナーがありました。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン主催で、子どもとの向き合い方を考える『子どもをみつめること、寄り添うことってなんだろう』。これまでも「子どもの視点に立つ」ことの大切さや、「たたかない、怒鳴らない、ポジティブな子育て」など取材させていただき、いつも気づきを与えてくれるので、大切な学び先となっています。

今回のセミナーは常磐大学 人間科学部 心理学科の秋山邦久教授による講演『子どもの気質と文脈から考える子育ての工夫』。その中で秋山先生がおっしゃっていた「子育てには愛情はもちろんですが、スキルが必要です」

そうなんです、私も具体的にすぐ使える子育てスキル知りたかったのです!いくつか参考になるスキルがありましたので、ご紹介します。

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秋山邦久教授●常磐大学人間科学部心理学科(公認心理師、臨床心理士)大阪市立大学大学院修了後、秋田県職員として児童相談所や福祉事務所の心理判定員を16年務めた後、文教大学大学院、桜美林大学大学院、弘前大学大学院、常磐大学大学院などで臨床心理士の養成に携わる。専門は家族心理学や児童福祉臨床で、大学での講義のほか、全国の児童相談所や病院、教育センター、越谷心理支援センターなどで心理支援やカウンセリングを行っている。

スキル1:子どもと向き合う時にまず大切なこと=文脈を合わせること

秋山先生によると、子どもと向き合う時、まず話の背景を揃える「文脈合わせ」が重要だといいます。家族間では甘んじてしまうせいか、大人でも5W1Hを明確にして話すことを疎かにしてしまうこと、大人えもありますよね。

『どんな相手でも話している文脈がお互い一致していれば、短い言葉でもコミュニケーションは取れます。しかし、文脈がずれていると、相手に話は一切入りません。子どもに注意するときも同じで、何に対して注意されているか、その文脈がわかっていないと、子どもにいくら諭しても、言葉は伝わらないのです』

確かに。こちらが何か注意をしていたとしても、文脈がズレていると話は通じず「どうして言っていることがわからないの?」「前にも言ったよね?」とさらに怒りが倍増する、なんてことは日常茶飯事…。では文脈を合わせるためにはどうしたら良いのでしょう。

『まず相手をよく見ること。でも「監視」するのではなく、相手を「観察」する目に切り替えてください。自分の物差しで他人の価値観を測るのは「監視」ですが、他人の価値観を受け入れてみよう、というのが「観察」です』

そう言えば、次男と私の文脈もずれかけていた…!

この話を聞いて、小2の次男とのやりとりを思い出しました。

大好きなお友達と一緒に学校から帰ってきた温厚な次男が、開口一番「〇〇はもうほんと大嫌い!嫌なことばっかり言ってくるし、叩いたり追いかけてきたり、ひどいんだよ!」と。これだけ聞くと「え?なに急にどうしたの?まさか…いじめ?」と胸がザワザワしましたが、以前「最近一番仲の良いお友達」といっていたのを思い出しました。

「この前は大好きって言ってよね?何かあった?」「だってさ、一緒に帰ろうって言っても断るから言い合いになって…」急に距離が近くなりすぎて、ケンカになってしまったようです。子どもの文脈から考えると、学校でのテンション高い状態で帰ってきているので、モヤモヤしたり悲しかったことを聞いて欲しかったのですが、事情を知らない親としての第一印象は、いじめやトラブルの文脈。でも、仲が良い、と聞いていたことで文脈のずれを感じたのです。

『文脈がズレているな、と思った時は子どもをよく観察し、「この子は今、どういう世界にいるのかな」と想像することが大切です。「親」という感じは、木の上に立って見守る人と書きますから、客観的に観察する目が必要ですね。』

アドラー心理学でも「子どもの視点に立つ=憑依する」と教わったのを思い出しました。文脈合わせは、コミュニケーションの基本ですが、家族間でも子どもとの会話でも忘れずに、心にとめておきたいです。

スキル2:それぞれの子どもの気質+社会的な流れに合わせた子育てを

セーブ・ザ・チルドレン子育てセミナー画像もう一つ大切なスキルとしてあるのが、それぞれの子どもの「気質」に合わせるということ。秋山先生曰く、人は大きくBeingタイプとDoingタイプ、そこからまた2タイプに分けられるといいます。

●Beingタイプ(のんびり、おっとり、我が道を行くタイプ)
・学者タイプ…自分が判断基準で、自分が楽しければいい
・職人タイプ…自分でも他人でもなく、ルールが基準

●Doingタイプ(活動的で社交的、寂しがりやタイプ)
・母親タイプ…周りが気になるので、他人が判断基準になりやすい
・女優タイプ…その時、その時の感情で動くのでぶれやすい

どれか1タイプだけ、というよりは、さまざまなタイプが同居しながら、「その中でも主の気質はどれかな?」と考えると良いそう。細かく見ると下の表のような内容に。あくまでも人を選別するためのタイプ別ではなく、関わり方を考えるために参考にしたい一例と思って、参考にしてみてください。

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クレッチマーの気質性格理論を基に、森俊夫先生が作成されたものを秋山先生が改訂

子育ては時代によって変わるので、自分からアップデートしなければ!

社会は目まぐるしく変わります。だからと言って、時代に合った具体的な子育て方法を、誰かが教えてくれるわけではありません。

『かつての日本には「愛情があれば殴ってもいい」という考え方がありました。当時、スポーツ根性ものの漫画として人気だった作品も、今では体罰・虐待とみなされます』

大人が「しつけのため」「目標のため」と思って体罰を与えても、子どもには恐怖心しか残らないことが、今では科学的にも証明されています。私も小さい頃、家から出されたり、学校の先生にもゲンコツされたり…経験はあります。しかし、その体験は苦い記憶として覚えていますが「なぜ怒られたか」「何に対した罰則だったのか」はまったく覚えていません。

『時代の文脈を読みといて、わが子の生物学的気質も考えて…生物・心理・社会モデルの3視点で見つめていきましょう。そして、必ず子どもの発達は点で見るのではなく、線で見ること。子育ての最終的な目標は、子どもの自立ですから』

昔は家族そのものが大所帯でしたし、地域全体で子育てしていました。そういった環境下で自然と子育てスキルを得られたり、多様な価値観に触れることができたのでしょうが、今となっては自ら情報を取り入れてアップデートさせなくてはならない…。ですから、こういった自宅にいながら手軽に学べるオンラインセミナーも、どんどん活用したいですね!



スキル3:上手なほめ方と、適切な注意のしかた

最後はより具体的なスキルについて。子どもが大人や社会との関わりを通じて、必要な心の発達を得ますが、心が育っていないと、体は大きくなっても心は子どものまま…ということにつながってしまいます。これらの社会性を学ぶには適切な「ほめ方」と「注意」が重要になるのだそう。

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ほめ方のスキルは比較的取り入れやすくて、ここにいない人を使って間接的にほめることや、プロセスをほめること、最後に「ありがとう」と伝えることは実践できています。難しいのは注意の仕方で、どうしても長々と説教してしまいがち。

『注意するときは、静かに理由を伝えて愉します。決してくどくど言わず、その行動が止まったら「さすがだね!」とほめます。この「注意」と「ほめ」を対で使うことが大切です。危険に関わることは「やめなさい」と言葉一発で制することはありますが、手を出す必要はありません。』

何度言っても効果がない場合はどうすれば…?

最初は静かに諭していても、何回注意しても聞いてくれないと、爆発してしまうことが多いです、その時は…?

『二回目でも止まらなければ「さっきも言ったよね、やめなさい」と再び注意。それでも聞かなかったら「ちょっとおいで」と正面に向かい合って、相手の目を真っ直ぐじっと見てポーカーフェイスで伝えます。長々言わず、注意の仕方にケジメやメリハリをつけることで、子どもの行動にもケジメがつきます。』

なるほど!「注意の仕方にもケジメをつけると、子どもの行動にもケジメがつく」。これは確かにそうですね。親の方も気持ちを切り替えてその姿を見せる、これこそ子育てに必要なスキルと言えると思いました。

文脈を合わせる、子どもの気質を知る、そしてほめと注意を対で使う…、3つの重要なスキルを教わりました。子育ては愛や精神論で語られることが多いですが、秋山先生がおっしゃるような具体的なスキルを持つことで、子育てにも自信がつきそうです! セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのHP「おやこのミカタ」には秋山先生のインタビューも掲載されていますので、ぜひこちらもご覧くださいね。

飯田りえ Rie Iida

ライター

1978年、兵庫県生まれ。女性誌&MOOK編集者を経て上京後、フリーランスに。雑誌・WEBなどで子育てや教育、食や旅などのテーマを中心に編執筆を手がける。「幼少期はとことん家族で遊ぶ!」を信条に、夫とボーイズ2人とアクティブに過ごす日々。

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