テレビでも映画でも見かけない日がないほどご活躍されている西田尚美さん。幅広い世代に支持される西田さんの“何気ない魅力”がたっぷり詰まっているのが、映画『青葉家のテーブル』。ネットショップ/ECメディア「北欧、暮らしの道具店」内で配信された短編ドラマからの続投で、西田さんはシングルマザーの春子を演じている。
きっと友達が恋しくなる、そんな映画です
西田尚美さん
「映画では、春子の青春時代の親友・知世との関係や、彼女の娘・優子の悩みが中心に描かれています。優子の若さゆえの行き詰まりや悩みを、今の自分たちが見たらどう思うのか。同時に、ちょうど同じ時期の自分たちを振り返る作りになっているので、すごく刺さるなぁ、と。そして親世代としては、いろんなことがあったから、今こうして楽しく生きられている。これから先もきっとおもしろいよね、これから何をやっても、何を始めてもいいよね、と感じました」
春子は息子、飲み友達とそのカレの4人という不思議な同居生活を送っている。そのほどよい距離感の日常生活が観ていて心地よい。
「お互いがお互いを尊重し、いいところは受け入れ、悪いところは受け流す。それが上手にできている気がします。ちゃんと自分のことを大事にし、なおかつ人がいることによって成立している空間というか。決して無理をせず、自然にすっと入ってくるうらやましい家族だと思います。普通は、いちいち“今、なんて言った?”なんて引っかかったりしちゃいますが」
そう言ってふんわり笑う西田さんは、そんなときは、どんなふうに解決するのでしょうか?
「私は何か嫌なことがあると、料理をがむしゃらに作ります。野菜を刻みまくって、千切り野菜だらけの鍋になったりして(笑)。ただ黙々と料理を作るので、むしろ家族からは喜ばれますが(笑)。娘は12歳でちょうど思春期に入ってきた頃なので、時々虫の居どころが悪くなることもあって。そんなときはサッと逃げたり、本を読んだり。あまり根掘り葉掘り聞かず、ある程度の距離を保って、話したくなるまで待つようにしています」
春子と知世の関係も、LEE世代には特に響きそう。ずっと一緒に過ごして夢をはじめなんでも話していたのに、あるきっかけで疎遠になってしまうなど、身に覚えがある人も多いだろう。
「仕事と家庭の両方に時間を取られてしまうと、友人と疎遠になりがちですよね。でも今回、モデル時代に親しくしていた市川実和子ちゃんと20年ぶりくらいにお会いしたのですが、不思議なほどパッと当時の空気に戻れて。それが役の春子と知世の関係ともリンクして、すごく新鮮でした!」
2人の子どもたち世代、春子たち世代、それぞれが立たされる人生の岐路。どう立ち向かい、あるいはどう対応すればいいかのヒントが詰まった本作。でも本作の魅力は、それだけに留まらない。
「インテリアや食器や衣装なども、観ていて楽しい。みんなでごはんを食べたくなるし、友達が恋しくなるんじゃないかな。若い頃を思い出し、仕事や子育てで忙しい隙間に、ちょっとやりたいことを見つけてもらえたら素敵だな、と。そういう気持ちに寄り添ってくれる映画なので、作品を観て心にゆとりが生まれたらうれしいです」
にしだ・なおみ●1970年2月16日、広島県生まれ。『ひみつの花園』(’97年)で第21回日本アカデミー賞新人俳優賞他を受賞。近作に映画『凪待ち』『新聞記者』『五億円のじんせい』(すべて’19年)、『空はどこにある』(’20年)、『あの頃。』(’21年)など。今後に連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』、映画『護られなかった者たちへ』が控える。
映画『青葉家のテーブル』
シングルマザーの春子(西田尚美)は、息子と春子の友達とそのカレの4人で共同生活をしている。そこへ、春子の旧友・知世(市川実和子)の娘がしばらく居候することに。しかし実は知世と春子の間には、気まずい過去があった。ECサイト「北欧、暮らしの道具店」で配信された短編ドラマを長編映画化。6月18日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開予定。
撮影/イマキイレ カオリ ヘア&メイク/茅根裕己(Cirque) スタイリスト/岡本純子 取材・文/折田千鶴子
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