ジェンダー、女性差別、貧困、性教育、政治……と各分野に詳しい、エッセイスト小島慶子さんがおすすめ作品をセレクト。ストーリー性が高く、楽しみながら考えさせられる作品ばかりです。
エッセイスト 小島慶子さん
エッセイストとして各種媒体で連載多数。⼦育てエッセイ集『曼荼羅家族』(光文社)、⼥性アナを通じてジェンダーを考える⼩説『わたしの神様』(幻冬舎)など著書多数。
小島慶子さんが選んだのは、社会的な苦境にある女性たちに目を向けた作品。
「『サンドラの小さな家』はDV被害者である女性が家を失い、自立を模索する物語。このような困窮女性は日本にもたくさんいるので、自分なら日本のサンドラたちに何ができるだろう?と考えながら見てほしい。また、家づくりを無償で助ける人たちがサンドラに『信用してくれてありがとう』と言うシーンが印象的。本当の意味で人と人をつなぐものが何かを考えずにはいられません」(小島慶子さん)
小島さんが興味をひかれる作品の特徴とは?
「パーソナルなストーリーの中から社会課題につながる過程が、丁寧に重層的に描かれていること。フェミニズム運動の中で生まれた言葉『個人的なことは政治的なこと』そのものです。自分には見えていないものがある、死角があると意識して作品を見て、気づき、学び、変化し、行動する。この繰り返しで価値観はアップデートされるはず」(小島慶子さん)
映画 【サンドラの小さな家】
シングルマザーがホームレスの危機、女性を取り巻く問題が丁寧に描かれる
「DV被害者であるシングルマザーのサンドラが、住む家を失い、ホームレスの危機に。彼女はなんと、自力で手づくりの家を建てることを決意します。DV被害の深刻さ、女性の貧困、非主流の人々の連帯など、女性を取り巻く社会課題が丁寧に描き込まれ、同時に格差社会の中で真の豊かさとは何なのかを示唆する、極めてすぐれた作品。サンドラの家づくりを手助けする、多様な登場人物にも注目です」(小島慶子さん)
映画 【パッドマン 5億人の女性を救った男】
感動ストーリーの中に、インドでの深刻な女性差別が描かれます
「インドで妻のために自力で生理用品を作った男性の実話ベースの映画。生理用品が十分に手に入らない“生理の貧困”が話題ですが、インドでの深刻な女性差別、生理をタブー視する習慣、さらには女性の経済的自立の難しさなど、多くの課題が織り込まれた感動ストーリー。主人公が真剣に女性の健康を願い、ナプキンを作る姿に胸を打たれます」(小島慶子さん)
【特集】映画・ドラマで価値観をアップデート
詳しい内容は2021年LEE7月号(6/7発売)に掲載中です。
取材・原文/野々山 幸(TAPE)
※商品価格は消費税込みの総額表示(2021年6/7発売LEE7月号現在)です。
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