LIFE

「花とグリーンのある暮らし」がくれたもの

前田有紀さんに聞く鎌倉での「花とグリーンのある暮らし」がくれたもの

2021.06.10

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Flower&Green 自然を身近に感じる生活の中で考えた、家族のこと、これからのこと―― 「花とグリーンのある暮らし」がくれたもの

花を愛する人が口を揃えて言うのが、「一輪の花が暮らしの中にあることで、自然への敬意や環境の大切さ、そして未来へも思いを馳せることができる」ということ。おうち時間が増えたことで、身近にあるグリーンの素晴らしさを再認識し、家族や食のこと、子どもの将来などについて、さまざまな気づきを得た人たちも。

背伸びをすることなく、自分らしく自然と向き合う、フラワーアーティスト前田有紀さんのライフスタイルに迫ります。

おうちの中でも、庭でも……花と木々に囲まれた鎌倉での暮らし 前田有紀さん(フラワーアーティスト)

フラワーアーティスト 前田有紀さん

テラスを囲む庭にはティートゥリーやオーストラリアンローズマリー、南アフリカ原産のメリアンサスなど、近所で見かけない品種を。「いつか子どもが遠い世界を想像してくれたら、と思いを込めました」(前田有紀さん)

フラワーアーティスト
前田有紀さん

フラワーアーティスト 前田有紀さん

profile

フラワーアーティスト。テレビ朝日アナウンサーとして活動後、イギリス、日本で修行を経て独立し、フラワーブランドgui(http://gui-flower.com)を主宰。現在は鎌倉に拠点を移し、夫、4歳の長男、0歳の次男と生活。

“鎌倉の自然や庭の木々、家に飾った花からあらためて植物の力を感じる毎日。10年後もその先も、同じ景色を残したい”

Yuki Maeda

リビングからつながる居心地のよいテラスの先に庭が。全盛期を迎えるヨーロッパ原産のエリカが可憐に咲く。

リビングからつながる居心地のよいテラスの先に庭が。全盛期を迎えるヨーロッパ原産のエリカが可憐に咲く。

「お部屋に植物を置くときは、ぽつんと一点ではなく、ガラスの花器同士、観葉植物同士と仲間をまとめて配置すると、バランスがとりやすいですよ」(前田有紀さん)

「お部屋に植物を置くときは、ぽつんと一点ではなく、ガラスの花器同士、観葉植物同士と仲間をまとめて配置すると、バランスがとりやすいですよ」(前田有紀さん)



お花に助けられた私が、
今度は恩返しをする番です

約10年間、テレビの世界で活躍したのち、花の世界へ飛び込んだ前田有紀さん。自身が立ち上げたフラワーブランドも軌道に乗り、仕事もますます忙しくなっていた3年前、出産を機に鎌倉へ移住。コロナ禍によって、生活スタイルにさらに変化があったと言います。

「もともと子どもに緑のある環境で育ってほしいと思い引っ越したのですが、長男はすでに親の想像以上に自然と遊ぶのが上手になっていたことを実感。保育園のお散歩でも日々海や山へ出かけているので、山道も大人を先導して軽々よじ登って私たちを驚かせてくれたり、庭の植物の水やりを遊びのひとつとして楽しんでいたり。

今振り返ると、あの大変な外出自粛期間を自分たちなりに乗り越えられたのは、身近にある自然のおかげだったなと思っています」(前田有紀さん)

普段は都内のアトリエで行うフラワーアレンジメントの作業も、当時は家のガレージで行うことに。

「作業の合間に通りかかった近所の方に少しずつお花を配って、今までお話しする機会がなかった方々とも仲よくなりました。私自身、アナウンサー時代は時間に追われて心に余裕がなくなったことも……。そんなとき部屋に飾った一輪の花の力に癒され救われた経験があるので、不安なときこそお花の力をお裾分けできたらいいなと」(前田有紀さん)

そんなステイホーム期間を経て、あらためて自然環境に対する意識も強くなったそう。

「この地域は、海で遊ぶときに大人がビニール袋を持参して、ごく自然に子どもとビーチのゴミ拾いをしているんです。その姿が素敵で、私も見習うようになりました」(前田有紀さん)

また、家族で近所をお散歩をするたびに、発見もありました。

「季節の移ろいとともに、おもしろいほど順番どおりに、開花時期に花が咲くんですよ。フキノトウが顔を出したら次はミツマタ、木蓮、コブシ、そして桜。今見ているこの景色が、子どもたちが大人になる頃、その先の未来も、同じようであってほしいなと」(前田有紀さん)

「地元野菜を購入した八百屋さんが、ハーブをおまけしてくれたので、ハーブティーにしてみました」(前田有紀さん)

「地元野菜を購入した八百屋さんが、ハーブをおまけしてくれたので、ハーブティーにしてみました」(前田有紀さん)

手洗いボウルは、家族で作陶した思い出の品。そのわきには香りのいいスイートピーとゼラニウムを。

手洗いボウルは、家族で作陶した思い出の品。そのわきには香りのいいスイートピーとゼラニウムを。

30代は自分に力を注いだ分
40代は子どもたちの未来のために

穏やかな笑顔で話す前田さんも、幼い2児の母。仕事も忙しくこなし、普段はバタバタ。なかなか丁寧な暮らしとはほど遠くて……と、飾らない笑顔で話します。

「それでも家にお花があると、やっぱりウキウキするし、心が満たされます。でも実は食品ロスと同じように、売れ残りなどで廃棄されてしまう『ロスフラワー』も社会問題のひとつなんです。これからの未来に、お花を身近に楽しむ人が増えて、捨てられる花を少しでも減らせるように、今後は子ども向けのお花のワークショップなどもできたら。

環境保全というと少し大げさだけど、今まで花に与えてもらったパワーははかり知れません。これからは、少しずつでも、お花に恩返しできるような活動を増やしていけたらと思います」(前田有紀さん)

“食品ロスのように破棄されてしまう「ロスフラワー」を一本でも減らす未来のために”

仕事で余った花や、近所の生花店で買った花をキッチンに。「お花も野菜と同じで、農家の方が丁寧に育てて出荷されています。そんな作り手の顔が見える取り組みもしていきたいです」(前田有紀さん)

仕事で余った花や、近所の生花店で買った花をキッチンに。「お花も野菜と同じで、農家の方が丁寧に育てて出荷されています。そんな作り手の顔が見える取り組みもしていきたいです」(前田有紀さん)

「ピークを過ぎたチューリップも、まだまだわが家では現役。お花を生けるときは、考えすぎずに“かわいいかも”と思う感覚を大切にするのがコツのような気がします」(前田有紀さん)

「ピークを過ぎたチューリップも、まだまだわが家では現役。お花を生けるときは、考えすぎずに“かわいいかも”と思う感覚を大切にするのがコツのような気がします」(前田有紀さん)


詳しい内容は2021年LEE7月号(6/7発売)に掲載中です。

撮影/須藤敬一 ヘア&メイク/杉山えみ 取材・原文/田中理恵

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