今年の大河ドラマ『青天を衝け』は2024年からの新一万円札の顔、渋沢栄一(吉沢亮)が主人公。日本資本主義の基礎を築いた偉人だが、意外にもドラマでとりあげられる機会がほとんどなかった。今回、初めて大河ドラマに出演する村川絵梨さんは、そんな渋沢の青春時代を描く前半から、おそらくこれまで誰も演じたことがない渋沢の姉「なか」を演じている。
村川絵梨さん「初めての大河ドラマの現場を心から楽しんでいます」
「渋沢と違い、姉は知られていません。その分、脚本の大森美香さんのオリジナルな人物造形があると思いますが、それがおもしろくて。騒々しくておっかないお姉さんなんですけど、物をはっきりと言う人で、時には栄一とケンカしてひっぱたいたりするんです(笑)。幕末から明治という時代背景を考えると、現代に近い進歩的な女性です。大河ドラマだから所作や言葉づかいなど大変だろうと覚悟していたのですが、『自由にやってください』と言われたので、思いきって楽しく、自由にやらせていただいています」
厳しい父を小林薫さん、おっとりした母を和久井映見さんが演じているが、渋沢の家族関係を描く「中の家」パートは「あったかいホームドラマ」と村川さんは言う。
「渋沢はのちに徳川慶喜などとかかわるようになりますから、そちらのパートでは重厚なシーンがたくさんあると思います。でも、中の家では時代が違っても変わらない、ごく普通の家族愛が描かれています。だからか、渋沢が生きた幕末や明治時代を背負わずに自然に演じられるのかもしれません」
とはいえ、やはり「さすが大河ドラマの現場は違う」と感動することもしばしばだという。
「例えば、渋沢の実家の藍染農家のシーンはオープンロケですが、撮影の1年前から撮影現場になる農家で実際に藍の葉を育て、染料をつくって準備されていました。なんて手間暇がかかっているのだろう!と驚きました」
渋沢を演じる吉沢さんとは共演経験もあり、昔から親交のあるいわば旧知の仲。
「昔から知っているからか、すっと姉弟関係という役柄に入れました。姉弟ゲンカもしっくりきて、やりやすい(笑)。わざわざ本人に確かめていませんが、彼もそう思ってくれているといいなあ」
ところで、村川さんは自他ともに認めるお酒好きでもある。なんと、日本酒のソムリエ「唎酒師」の資格をとったほどだ。
「ワインなども大好きですが、やはり日本人ですから、日本酒をもっと追求したいと思ったんです。知れば知るほど奥深いし、意外と洋食にも合うんですよ」
昨年は「えりごのみ104 純米大吟醸」をプロデュース、自身の誕生日に発売をした。きれいなボトルデザインや500㎖という、やや少なめの分量で女性が手に取りやすい商品だ。
「お酒の味をじっくり楽しみたいので、家で日本酒をのんびり飲むのが最高のリラックスタイムです」
インドア派でコロナ禍でも家にこもること自体は苦にならず、空いた時間で新たな趣味も見つけた。
「BTSです。こんなに“芸能人にハマる”なんて初めての経験。毎日、彼らのパフォーマンスを観て、元気をもらっています(笑)」
元気いっぱいになった村川さんが、幕末に生きた気風のいい女性「なか」に、新鮮な生命を吹き込むのを観るのが楽しみだ。
むらかわ・えり●1987年、大阪府生まれ。2004年、映画『ロード88 出会い路、四国へ』で主演を務め、本格的に俳優の道へ。’05年、連続テレビ小説『風のハルカ』(NHK)のヒロイン・水野ハルカ役に抜擢されて以降、ドラマ、映画、舞台と活躍の場を広げている。’21年は自身初となる大河ドラマ『青天を衝け』で主人公・栄一の姉なかを演じる。
ドラマ『青天を衝け』
大河ドラマ第60作目の主人公は「日本資本主義の父」と呼ばれた渋沢栄一。幕末から明治にかけて、時代に翻弄され、挫折を繰り返しながら、約500の企業を育て、さらに約600の社会公共事業にかかわった。現在の埼玉で藍玉づくりと養蚕を営む農家に生まれ、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の青春と生涯。主演・吉沢亮、脚本・大森美香。NHKにて2月14日(日)スタート。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/フジワラミホコ スタイリスト/有本祐輔(7回の裏) 取材・文/中沢明子
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